jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

五輪,万博で今さら何をアピールするのか--ただちに中止してその予算・資材・人力を能登半島復興に振り替えよ

フランス・パリで行われるオリンピックの日程は,2024年7月24日~8月11日である。筆者にとってフランスは,文化の点で一目置いており,そこでどのようなイベントが行われるのか,ワクワクした気持ちになる。

 パリ市内でセーヌ川の船を使って行われるという開会式の演出も楽しみだし,新しい競技場をカネをかけて作るという類の報道がまったく聞こえてこないのが心地よい。既存の施設をうまく活用するのだろうか。

 一方で,2025年4月13日~10月13日に予定されている関西万博は,まだ1年も先だというのに,巨大施設の建設を巡って問題噴出している。ムダと言われる木製のリング,土地からのメタンガス噴出,そして高騰する建設費に,出展を取りやめた国すら出てきている。チケット販売もまだ低調なようである。ワクワク感が感じられないのである。

 1964年の東京オリンピックと1970年の大阪万博は,戦後の日本の復興の活力をいかんなく発揮し,世界に日本の力と魅力をアピールできた。アジアの国で唯一,世界的なイベントが開かれたことでも,その象徴になっている。

 その後,アジア地域でオリンピックが開かれたのは,1988年の韓国ソウル,2008年の中国北京,そして2020年(2021年)の東京である。韓国も中国も,その当時の世界的な経済発展進行形の国であり,活力を見せつけた。しかし,2021年の東京オリンピックは,コロナ禍の真っ最中で1年延期してまで開催に漕ぎ着けた異例の年だった。オリンピックの裏金の仕組みも噴出した汚点だらけの会だった。

 今回のフランス大会は,「粋な」演出を期待したいし,期待どおりの大会になると思われる。一方で,関西万博は無理やりハコモノを作って,閑古鳥が鳴く,というイベントになる可能性が大きい。

 もともと,この万博に合わせてカジノをオープンする,という計画があったようである。カジノ予定地も,万博と同じ夢洲埋立地である。現在は,2030年の開業予定というから,ひょっとしたら例の木製リングもそのまま利用しようと画策しているのかもしれない。何しろ,大阪府大阪市の行政は日本維新の会が握っている。万博もカジノも同党が推進している。またぞろ,「大阪都構想」も持ち上がっているという。自由民主党がガタついている現在,維新の会が政権を取る絶好のチャンス到来と思っているのだろうか。万博で花火を打ち上げた後に,カジノ投資を呼び込むという作戦なのだろうか。

 2021年の東京オリンピックでバッハ会長の一族の横暴ぶりが露呈したが,ある意味,スポーツというきれいごとの皮を被った上手いビジネスだったとも言える。競技に参加する選手には,試合の機会を設けてもらっているという意味では重要なイベントである。引き続き個人的に参加すればいいだろう。しかし,会場の誘致に国としてカネを出す価値のあるイベントではないと思う。

 同様に万博も,今さら何を「博覧」するのかを考えるべきだろう。この地球環境破壊の時期に,日本がもしアピールできるとすると,その環境対策技術のはずだが,今回の万博にはそのカケラも見えない。木製リングが陰を作ることで省エネをアピールするとか苦しい言い訳をしているが,単なる言い訳である(そもそも,誰が設計したのだろうか)。人を呼び込み,カネを落とさせ,それで運営費を賄うというビジネスモデルは,呼び込むための魅力が必要だが,今の日本にも,今回の万博会場にも,何の魅力も感じられないし,実際に見るものは何もない。それこそ,「日本の伝統文化」を見せておしまい,ということになりかねない。

 建設資材の高騰と,建設要員の不足によって,パビリオン建設が遅れているという。その最中に能登半島地震が起きた。3ヶ月経ってもまだほとんど復興が進んでいない。単純に考えれば,「関西万博を中止し,その予算と人力を能登半島の復興に振り向ける」というアピールが,最も政策として妥当だと思われるし,世の中の支持も受けられると思うのである。