jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

高度成長期のインフラはもう「ボロボロ」。徹底的なリフォームをするタイミングである

リフォームはいろいろなトラブルと表裏一体である。もともときちんと作ってあった家を基本を残したまま,また基本を崩さないように工事をすることが求められるのだが,往々にしていい加減な工事が行われる。たとえば壁を貼り替えるとして,その壁の裏にある筋交いが邪魔になって切ってしまったりする。工事の後は壁をきれいに貼ってしまえば,隠れてしまうのでだれも分からない。地震が起きたらたまったものではない。

 すべての業者が悪質というわけではない。現場の末端の作業者がうっかりミスをしてしまって表沙汰にならないこともある。会社がわざと隠さなくても,ミスは起きがちである。

 ところで,なぜリフォームするかというと,家の場合は中古住宅を次の購入者のためにきれいにしたり,賃貸住宅で新しい入居人のためにきれいにしたりする以外に,築後数十年も経つとガタがきたり,水漏れの影響があったりして,ユニットごと新品に交換したりする。風呂,トイレ,シンク,レンジなど後付のものそのものは問題ないが,配管の位置が微妙に違っているのを無理につないだりしていると,そこから水漏れが起きることもある。ユニットの裏側なので実際に被害が出るまでは気が付かない。

 最近の異常気象による土砂崩れや河川の堤防の決壊,橋の崩壊,トンネルの天井の崩落などは,建設や土留めを設置してから数十年が経過して,建設当初の性能を維持できなくなっているところに,想定以上の力が加わったことで崩壊したと考えられる。

 これらのインフラは,もうリフォームの対象である。残念ながら,人間の作ったものは,いずれ壊れる。特に高度成長期に作られたインフラは,30~40年を経て,正直「ボロボロ」になっていると考えてもおかしくないのである。鉄筋やコンクリートで作られたこれらのインフラは,サビとヒビ割れによって一気に強度が落ちる。

 一級河川の堤防の崩壊で大きな被害が出ているが,堤防は普段は水の影響を受けていないのでメンテナンスもリフォームも可能だったはずである。しかし最大の問題はダムである。膨大な水圧を常時受けているダムは,常時監視をされているはずだが,ヒビ割れを発見するのは難しいし,仮にヒビ割れがあっても修復は難しい。修復するためには,水を抜いて大規模な工事をしなければならないが,水を抜くのに数日かかるし,修理におそらく数ヶ月はかかる。その間,灌漑や発電などの機能も止まる。

 しかも,一度不具合ができた構造物を当初の性能まで回復する工事そのものも保証ができない。完全に性能回復するには,正直言えば「全取り換え」しかない。目先の修復では,結局10年後には大崩壊を招くのではないかと危惧する。

 高度成長期には,人も時間も材料もおカネもたっぷり使って作られた現在のインフラだが,もし設計どおり完璧な工事ができていたとしても耐用年数はせいぜい100年だったろう。しかし当時も,人の行為に完璧は期待できないし,まして手抜き工事も行われていた。作業員による手抜きも,会社による手抜きも,そして材料の偽装なども行われていた。監督官庁との癒着や汚職もあった。当時の関係者は現在は第一線を退き,年金での悠々自適生活をしているか,責任を取ることもなくあちらの世界に旅立ってしまっている。

 経済の停滞した現在,危険な建築現場の作業を引き受ける企業も作業者もいない。監督官庁も予算を付けない中,作業に対する工賃も出ない。ズルズルと何もしないまま,インフラは放置され,規模が大きくなった自然の力に対して,対抗できずに崩れていったという訳である。

 確かに,地球温暖化によって豪雨の規模は大きくなり,台風や竜巻などの規模も大きくなっている。しかし,一級河川の堤防崩壊や橋の崩壊は,防ぐことができたと思っている。経済も停滞している上にCOVID-19禍でも政府や監督官庁の対応は後手後手に回っている。保身,カネ・・・権力を持った者による人災と言っても過言ではない。また,企業の経済原則によって,仕分けられ,トリアージュされた結果と言ってもいいだろう。

 高度成長期のインフラのメンテナンスは本来,国民の命を守るために最初に処理をしなければならない赤色トリアージュとしてもおかしくない。しかし,世界の注目を集めるために誘致したオリンピックで恰好をつけるために国立競技場をゼロから作り直し,新しい競技場を2つ,選手村は高額なタワーマンションとして建設して分譲,という「世界に対するパフォーマンス」が最優先された。首都高速を地下に移すという計画も間に合わなかった。

 昨日8/24の開会式からスタートした東京パラリンピック2020は,SDGsに対する認識を新たにしてくれることは期待できる。しかし,より大きな問題,つまり人災とも言える高度成長期のインフラの不整備や,医療崩壊に対して何の手も打てていないCOVID-19対策などに,本気で取り組んでほしい。

 パラリンピックは14日間で終えるとして,その間,オリンピック期間中のように浮かれて何もせずに水害・土砂災害,医療崩壊を招いてしまった前例を反省して,パラリンピックと並行して強い措置を取るべきである。緊急事態宣言や特別措置の対象県を増やすだけでは,正直言って「何の意味もない」。

 まず,酸素ステーションや野戦病院の設置(1週間で10000床単位が必要)と同時に,本気で今回は「ロックダウン」が必要だと思う。菅首相がコメントしたように「テレワークの徹底」はもちろんのこと,公共交通機関を利用する人の徹底的なPCR検査によるフィルタリングがまず必要である。そしてワクチン接種の確実な進行をしなければならない。正直,総裁選挙だの解散総選挙だの,そんな「ウチワ」話ばかりで,うんざりである。