jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

昭和回顧ドラマ,昭和ベスト歌謡曲,昭和時代映画--安易な昭和アーカイブでの番組作りは「当時の意図を尊重し」,女性差別を容認している

昭和時代にテレビ放送されたドラマや歌番組,そして当時の映画は,明らかな男尊女卑の筋書きが描かれている。平成,令和時代に,そのような筋書きのドラマも歌番組も映画も作ったり放映したりできない。

 そこで,「昭和・平成・令和,それぞれの世代の心に残る音楽」とかタイトルをつけて,昔の音楽や,その時代の人のインタビューの中で,明らかに男性上位目線のコメントを流したり,当時の映像を流したりする。

 昭和時代のオススメ映画を紹介して「心に残る映画」とし,その筋書きをインタビューアーに語らせ,その映像を流す。力強い男性と素直で心優しい女性,というステレオタイプのストーリーは,今の時代では口にしてはならないが,当時の映画のシーンを使えば,実際にそのように描かれてきたという事実を伝えることができる。

 歴史をオモチャにすると,今の時代も将来はオモチャにされる--歴史ドラマの品位が低下 - jeyseni's diary (hatenablog.com) (2023/10/9)に歴史ドラマについても言及した。戦前はおろか,武士の時代,貴族の時代であっても,常に男性優位な時代である。女性はしとやかにして男性を支え,子供を産み育てるというステレオタイプが描かれる。多少,女性の発言を多く取り入れたような筋書きでは,歴史を茶化している面も見られる。明らかに,その時代という隠れ蓑を使って,男性優位を描こうとしているとしか思えない。

 NHKの朝ドラも同様である。多くのストーリーが,女性差別の社会で立ち上がって道を切り開き,成功した女性主人公を描いている。当時の時代考証であれば,女性主人公に対して差別発言がセリフとして使われる。これも,時代を隠れ蓑にした女性差別である。

 男女平等,多様性の容認が基本的スタンスとなった現在,シンデレラストーリーは時代錯誤なはずだが,本質的には女性が求める1つの姿である可能性は高い。しかし逆に,男性が頼りなく,定職も得られず,収入も家族を維持できない現在,シンデレラストーリーを夢見ても叶わぬとあきらめている女性も多いかもしれない。結婚年齢の高齢化どころか,結婚しない若者が増えている現状は,30年にわたって家庭を維持できる安定的な生活ができなくなっているからである。

 多様性の時代に,テレビや映画という最大公約数的なメディアは,もはや存在意義を失っている。今の時代を描いているのが,YoutubeでありInstagramでありtiktokである。全員が情報発信源となっており,個人と個人が結びついていく。テレビがこの多様な今の時代を描いていたら,視聴者がいなくなってしまう。だから,安易にアーカイブを見て「いい時代ですね」と感想を言っておしまい,若い世代に押し付けておしまい,となってしまっているように思える。

 筆者が好んで視聴するサスペンスドラマも,警察やメディアが正義である,という前提のストーリーしか興味がない。悪い人を捕まえる,という単純な図式は,いつの時代にも成立すると信じているからである。それだけに,警察官や教員,弁護士,そして政治家が,不正や犯罪を犯すという現実の事件がやりきれない。さらに,親が子供を虐待したり,子供が満足に食事も与えられないといった家庭や,教育,医療,介護,そして運輸などのエッセンシャルワーカーが,過酷な労働環境と低賃金にあえいでいる実態がやりきれない。