jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

嫌いな“生涯現役”という言葉--明らかなハラスメント用語である

テレビCMでサプリメントと言えば,この“生涯現役”という言葉が何でもかんでも使われる。若い女性がMC,使用者はほぼ白髪混じりの男性,とパターンが決まっている。ということは,死ぬまでセックスを続けるためのサプリメントということである。

 いわゆる強精サプリメントだが,セックスは男女とも続けるものだ,という概念がベースにある。必要だと思っているのは,男性側の論理である。女性にとってセックスは,必要なものではなく,パートナーに寄り添っていくための必要悪なものである。

 結婚して子供を出産した後,女性にとってのセックスは基本的に不要なものになる。もともと,セックスによって快楽を得られるのは男性だけである。「女性が快楽を得る」という概念は,男性側の都合のいい解釈でしかない。

 男性がセックスするために興奮するには,女性もセックスが好きでセックスで快感を得ていると思い込むことが必要である。若いころ,または結婚後しばらくは,女性は男性のためにセックスを付き合ってくれる。パートナーとしての男性をつなぎとめておくため,また子供を作るためである。目的が達成できれば,基本的にセックスの相手をしてくれなくなる。

 ところが男性は,歳を取っていってもセックスを続けたいと思っている。実際男性はほとんどの場合,女性をセックスの対象としか見ていない。

 結婚したパートナーが,男性のセックスの要求を我慢して受け入れてくれるのが,本当は一番平和なのだが,お互いに面倒くさい関係になり,惰性で生きていることも多い。

 すると,男性が向かうのは家の外である。これを浮気というのだが,わざわざ外に出かけるのに,相手の選択肢としては若い女性になることがほとんどである。男性にとっては若い女性の方が楽しいし安上がりで済み,女性にとってはジイさん相手とはいえ,それをちょっと我慢すればいいお小遣い稼ぎとなる。妙なギブアンドテイクの関係が成立するのである。

 つまり,公認であれ非公認であれ,性産業を助長するのが,これらの強精サプリメントである。そして,このサプリメントを表現する言葉が“生涯現役”である。

 これは明らかな性差別用語である。つまり,暗に若い女性にしか男性にとって魅力がない,全世代の男性が若い女性をセックスの対象にするための産業が成り立つ,ということを示している。

 時代劇を見れば,悪代官が町娘を手篭めにする,サスペンスドラマを見れば,官僚や政治家,金持ちが若い女性をカネで買う。新聞の社会面は,中年男の痴漢行為や盗撮行為が毎日のように報じられる。

 一心不乱に仕事に精を出す若手には,一直線な恋愛行動が許される。しかし,地位も経済面でも余裕のできた中年以降に,若い女性がエジキにされるような世の中は間違っている。ましてや,仕事を現役引退しているくせに,過去の栄光で影響力を発揮する高齢者が,わざわざサプリメントまで飲んで悪事を働くのを許す社会は,中世の社会となんら変わりはない。知性の片鱗も見られない。

 「生涯健康」は必要である。閑人蟄居して悪事を成すのたとえではないが,仕事の現役を下りたらもっと別の建設的な活動をすべきだろう。過去の栄光と過去の遺産だけで悪事を働く中年男性・老年男性が出しゃばると,次世代の日本を憂いてしまう。