jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

今こそ,家族を支え社会を支える仕事を担う男になれ

日本が迷走している。経済が崩壊し,仕事の構造が崩壊し,人が崩壊し,家庭が崩壊するという悪循環に陥っている。

 このブログで筆者は,男性中心社会が限界を迎えていると書いた。女性に本格的に活躍してほしいと書いた。そのためには,男性に頼らずに仕事をバリバリするために,勉強して理論武装し,それでも男社会は制御できない場合は,女性だけの国まで作る必要があるかもしれないと提案していた。IT技術がこの味方になってくれるとも書いた。

 このパラダイム・シフトは,今,新型コロナウイルスによって弱っている全世界に対して大きなメッセージになると思う。しかし口で言うのは易しいが,実現には大きな障害があることも確かである。

 女性中心社会ができることは一つの理想である。しかしそれには,男性社会も健全に発展し,お互いが切磋琢磨できるような環境になっている必要があると思う。社会がこれほどガタガタになって,男性社会もガタガタでは,女性社会が仮に健全な発展をしても,世界は良くならない。

 第二次世界大戦が終わり,その後の急速な経済成長で日本は「世界の工場」となった。敗戦国というどん底から這い上がるのに,日本一丸となって世界に追いつこうとし,追いついて追い越した。これを支えたのが製造業だが,2000年を境に迷走している。

 戦後の日本経済の発展の陰には,アメリカ製造業の衰退があった。日本はアメリカのお株を奪った形でモノづくりのNo.1になった。その日本の製造業は,台湾,韓国,そして中国,インドにお株を奪われて衰退している。アメリカはその後,ITとバイオテクノロジーで世界をリードするパラダイム・シフトを実現した。GAFAと呼ばれるITをフル活用した企業形態を生み出した。

 アメリカの教育の特徴と言われるディベート。お互いの意見を本気で闘わせる。初等教育の場でも大学でも,基本は同じである。学生同士はもちろんのこと,相手がノーベル賞受賞者の教授であっても容赦なくディベートが行われる。これは筆者が実際にアメリカの某大学院に研修生として1年間留学して,目の当たりにした。中国から来た女性が,延々30分にわたって教授とディベートを繰り広げた。その迫力は圧倒されるものであった。

 筆者も含めて,今の日本の男性にこのようなパワーがあるだろうか。戦後の泥沼から這い上がるときに,本田宗一郎松下幸之助など数人の異端児が起業して発展させた大企業に“おんぶにだっこ”で紐付いたピラミッド構造を作り上げた。企業の中も,終身雇用制,年功序列というぬくぬくとした構造ができ,給料取り生活を続けてきた。会社という組織の中で生産性の低い仕事の仕方をしてきたツケが,今の日本の生産性の低さを物語っている。

 東京大学が,世界の大学の序列の中では20位前後とはるかに下にあるのに,いまだに「東大に受かること」が絶対的な価値を持っているように語られるのは,本当に不思議である。たしかにかつては,日本を支える優秀な官僚を輩出することが東京大学の使命だった。今でも,東大生のかなりの割合で官僚への道がベストと思っている人がいる。「お上」と呼ばれるポジション,有利な年金システムなどが居心地がいいのだろうか。その官僚の不祥事や天下り問題,一般企業との贈収賄体質,など,化けの皮が剥がれつつある。それでも東大に行かせたいのかといつも思う。世界にはもっと驚きの別世界があることを,ぜひ知ってほしいが,単一民族・単一言語国家の日本のガラパゴス体質はなかなか変えられそうにない。

 大学に進んでも,闊達な議論をする環境もなく,新しい知識に触れることもなく,一方で自由になった時間を使って世界を旅したりすることもなく,サークル活動とアルバイトでキュウキュウとした4年間を送り,必死の就職活動をしても入れる企業が限られる。夢を持つことも,安定志向もどちらも実現できないのが今の世の中である。

 女性に向かって自立を呼びかけている筆者だが,男性に対してももっと必死になって未来の日本,未来の世界を考えてほしいと思うようになって,この文章を書いている。

 筆者は,高校のときに瀬戸内海の石油コンビナート損壊による油汚染のニュースに接し,「環境問題に技術で取り組む」という意識を持って大学で工学部に進んだ。就職活動でメーカーも含めて複数の面接を受けたが,すでに形が整った企業の一つの歯車にしかならないことに違和感を覚えた。改めて学生部に来ている就職案内を見て,マスコミからの募集が目に止まった。その中の1社が,技術職ではなく「科学記者」を募集していた。一気に自分の考えがクリアになった気がした。面接官がその後の直属の上司であり,現在に至る40年以上のお付き合いが続いている。何がきっかけになるかわからないが,常に周囲に問題意識を持っていることが大事なのではないかと思う。

 今は,就職して正社員になっても終身雇用制は崩壊している。かと言って,非正規社員は,まだまだ安定した収入が約束されない。就職できたと思った先が,いわゆるブラック企業であることも多い。男性にとっても,目的意識を持ちにくい世の中になっている。新型コロナウイルスの影響もあり,モノづくりの次の社会を支えるはずだった華やかな観光産業も,海外からのインバウンド需要はおろか国内の需要も落ち込んでいる。IT,バイオも,欧米や中国が牛耳っている。

 文化として世界に発信されたアニメ,和食文化も,どこか方向性を失っているように思う。キューティーハニーやOne-Peaceなどは,ある意味で勧善懲悪であったり,日本の伝統的なサムライ文化を取り入れたりして世界にアピールしたように思うが,その後のアニメの本質的な血生臭さには一種の思考の暴走を感じて,筆者は付いていけなくなっている。食文化の果てしないアレンジにも,もう付いていけない。

 いまや,将来の仕事の第1位にYoutuberが挙げられる時代なのだそうだ。確かに,これまでは企業単位でしか情報発信できなかったものが,個人で情報発信ができ,しかもそこに広告という収入の手段が得られる時代になった。ぱっと見た目は単純なプレゼンテーションで簡単に制作できて簡単にアップロードしてその瞬間に収入が得られる,というビジネスモデルが構築できそうだが,自分のブランド化,差別化,マーケティングの工夫が必要なことはあまり知られていない。裏事情を知ってしまうと,怪しげな手法に手を染めないとも限らない。

 漫才などのエンタテインメントも,いまや大活躍の場となっているが,これも成功するのはごく一部である。世界に100人しかいないというF1ドライバーや,テニスプレーヤーなどと同じである。

 「将来は会社員」と言えた時代の方が平和だったのかもしれない。戦時中はこれが「軍人」である。兵役のある国ではそのまま軍人になる道もあり,国を守るエリートとして将来の保証が得られる可能性もある。官僚や教員を含む公務員の道も,安定した仕事だが,いまや災害対応,医療問題,教育問題,移民問題などに対峙しなければならない。医療関係者は,人の命と向き合うストレスの高い仕事であり,新型コロナウイルスの登場で自らの命も危険にさらされる仕事になってしまった。社会秩序を守る警察官や緊急事態に備える自衛官消防官なども,腕力や体力だけでは対応できなくなってきた。知識も知恵も必要な時代である。

 身の安全がある程度確保され,金銭的な収入が得られ,面白いと感じるのは,投資などのマネーゲームをすることかもしれない。この新型コロナウイルス禍においても,喜々として投資している人たちがいかに多いかを知らされる。緊急事態宣言が出た翌日の株価が急騰したのを見て,愕然とした思いがしたものである。

 しかし,サラリーマンでも「自分の将来の資金を確保するためには,積極的な投資が必要です」という時代になっている。銀行の定期貯金にあずけていても,お金は増えない。長生きすればするほど,年金の額は減らされるし,支給開始年齢も引き上げられる。年金生活になっても,医療費の自己負担額は年々上がっていく。介護に至っては,等級を付けられて制限される。とても子供たちの生活の応援をしてあげられるだけの余裕がない。

 将来が見えない時代の若者に言うのも酷だが,特に男性はもっと必死で将来の日本や世界のあり方を考えて,自分のできることを発揮できる仕事を必死になって考えてほしい。女性が活躍する社会ができたとしても,男性が遊んでいいという理屈ではない。男性もさらに活躍する必要がある。基本的に頭脳労働であれ肉体労働であれ,すべての男性は社会を支え,価値を生む仕事をし,そして家族を支える役割を担っていく点は変わらないと考える。

 宇宙開拓をして月や火星に行くことが人類にとって幸せをもたらすことなのかどうか,そろそろ考えてほしい。正直言ってこれは,アメリカもロシアも中国もインドもすべて,軍事力強化の隠れ蓑としての宇宙開発である。すでに,一歩間違えれば地球が破滅するだけの武器を開発してしまった人類である。もっと足元で必要なことに一致協力してお金と知恵を使うべきではないのか。人口問題,食料問題,環境問題,エネルギー問題,貧困問題に目を向け,目先の損得だけでチャラチャラと動かないでほしい。また「日本を守る」ことが最大の仕事にならないであってほしい。

 これまでのような製品の世界供給,日本文化の発信といった世界貢献以外に,知識の発信,技術の発信が求められる。目先の新型コロナウイルスを日本で抑え込むと同時に,世界の人たちを救える知識と技術の発信をして,「さすが日本」と世界に言わせる必要がある。

 まず,日本の新型コロナウイルス研究者の成果をいち早く発信できるように願っている。