jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

割引があるから行く,なくなったらキャンセルする,っていう根性が気に入らない

テレビ局各社のワイドショーがこぞって「勝負の3週間」の検証と,「Go Toトラベル」の12/28からの中止要請についての糾弾を行っている。

 まず,「勝負の3週間」はマスコミの造語である。「この3週間が勝負の期間と認識している」という西村経済再生大臣の発言を,勝手にこのような標語に書き換えたのである。これは引用の範囲を越えている。国民感情として,政府に勝負してほしいという気持ちがこのような言葉を産んだ。しかし,何の政策もなかったことはすでに分析したとおりである。

 今日もワイドショーを見ながらブツブツとコメントしていたら,家族から注意された。「割引があるから行く,なくなったらキャンセルする,っていう根性が気に入らない。」

 旅行に行くのは「行きたいから行く」のではないのか。ならば割引がなくなっても旅行に行くことで,旅行先のホテルや土産物店,交通機関にお金が回って,旅行先の人たちがハッピーになる。それを割引がなくなったからといってキャンセルするのは,そもそも行きたいから行くのではなく,「安くなるから行く」というだけの話なのか。安くならなければキャンセルするのか。それもキャンセル代が発生しないからキャンセルする,というのは,本当に情けない気持ちである。

 むしろ,旅行に行くのなら,自腹でPCR検査を受けて陰性であることを証明すべきである。旅先の旅館や土産物店などは,無症状感染者が来ることで観光地の感染者数の拡大がないことを祈ってピリピリしながら受け入れ準備をしているので,少なくとも精神的な負担を下げてあげられる。検査費用は割引額でほぼ充填できる。でもそういう使い方はしない。

 Go ToトラベルでPCR検査がセットになったプランについて,以前「すばらしいアイディア」とコメントした。むしろ,すべてのプランでPCR検査を義務づければキャンペーンを取りやめることもない。旅に出る人も,受け入れる側も安心できるのではないか。正直,政府も旅行会社もすべて無策である。

 東京新橋駅前の民間企業が,4000円の格安PCR検査をするという報道以来,12月中旬現時点では2021年1月末まで予約でいっぱいだそうだ。どうしても仕事で移動しなければならない人,どうしても故郷に帰らなければならない人には朗報だが,これも結局は東京近辺の人にしかメリットがない。本来のPCR検査費用が自費だと1万5000円~2万円かかることからすると,格安だが,唾液での検体であり,精度もやや劣るのではないかと思われる。それなら自宅で唾液を使って15分で検査できる抗原検査の方が,人の移動,検査機材と要員の浪費という点からみて合理的なのではないのか。

 「Go Toトラベル」キャンペーンの中止のタイミングが遅かったのではないか,という批判が殺到しているが,「PCR検査を受けることを条件に割引で旅行できる」「キャンセルすればキャンセル料は発生する」として,検査で陰性の人には積極的に旅行に行ってもらうようにすれば良かったのではないだろうか。この場合,PCR検査費用について全額を国が負担する,ということにすれば,本当に旅行に行きたい人は検査を受けてから出かけるのではないだろうか。陰性の人の移動は問題ない。5月の連休ではPCR検査体制が整っていなかったが,今ならある程度十分に検査できるのではないか。そして今までとは違うゾーンの人たちの検査をすることで,隠れ陽性者をあぶり出すことができるので,これも感染拡大防止につながる。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大を火事に例えたが,これまでのところ,すべて火が大きくなってからの消火活動のように後手後手に回っている。すでにクラスターの発生している大学での全員PCR検査は提案済み。これより感染拡大の確率の高い「接待を伴う飲食店」向けには,店,あるいは地域に立ち入る前に抗原検査で陰性を確認して入場を許すホワイトロックダウンを,それぞれ提案した。

 忘年会などで5人以上の飲食を控えるようにというお願いが出されているが,これも店に入る前に15分の抗原検査を受けて陽性でなければ入場できる,とすればクラスター発生はほぼ回避できる。人数制限ではなく,すべての飲食の前に抗原検査を,というのも,以前に提案している。どれも実現していない。

 事件が起きた場合,現場の立ち入り禁止のテープが張られるのは半径10mぐらいである。爆発物があれば,半径100mぐらいは非常線を張られるだろうが,この立ち入りを制限するには,警察官100人ぐらいは必要かもしれない。しかしこの範囲の立ち入りを制限することはできる。この非常線をどんどん拡大できればいいのだが,警察官の数にも限界がある。約束破りをするやんちゃな奴は必ず出てくる。居直ったり反抗したりする輩も必ずいる。これを抑え込むだけの警察権力も法律的な抑止力も日本にはない。

 PCR検査とのセットによるGo Toトラベルは,一つの結果を産むと思う。この「セットキャンペーン」による感染者数の拡大はなかった,という結果である。これで「移動する人はPCR検査または抗原検査が必須」という方策の有効性が示され,経済も人の流れも止めずに感染拡大を抑制する,感染源をあぶり出す,という“政策”が取れるのである。

 このブログが心ある政治家に読まれるのは,取り返しがつかなくなってからだろうか。