2020/12/1に『2020 ユーキャン新語・流行語大賞』(現代用語の基礎知識選)が発表された。「年間大賞」に「3密」が選ばれたとのことである。小池東京都知事が結果としてこの言葉を広めたことは,4月の段階でブログで紹介した。
電車の「密」を避ける術 - jeyseni's diary (hatenablog.com)
その後,マスク着用のほぼ日常化に伴い,飲食店を中心に,換気で「密閉」を避け,アクリル板やビニールシートによる仕切りで「密集」を避け,アルコール消毒液での手指消毒と机などの拭き取りにより「密着」による感染のリスクを下げて,営業をするという,「アクセルとブレーキの同時踏み込み」が行われた。夏頃の第二波が少し収束し,旅行や飲食のさらなる拡大を目指した「Go To」キャンペーンというアクセルが一つの要因となって,第三波が年末に向けて拡大している。政府や自治体は再び,高齢者の移動の自粛というブレーキを踏みつつ,2021年3月頃までのキャンペーン継続というアクセルを踏み続けている。言葉だけは「勝負の3週間」と言っているが,ほとんど無策に近い状態である。おそらく,感染拡大防止効果はほとんどないと見ている。
筆者は,自衛策として,台所の三角コーナーに使う不織布を使って簡易のマスクの自作をする方法から始まり,アルコール,エアシールド,鼻ワセリン,と比較的お金をかけずに試せる方法を順次導入してきた。使ってみて初めていろいろな不具合に気づき,改良,買い替え,使い方の工夫などを提案してきている。同時に,電車の窓開けを電鉄側がすることや,空調机,ダウンフローによるエアシールドの提案など,施設側への提案もしてきた。
それでも結局,日本で感染拡大を終息できない理由は,やはり一部の“不届き者”が自分勝手な行動を取っているからである。報道側のインタビューを見ると,みんな真面目に対策をしているような答えが返ってくるが,そもそも,不届き者はマスコミのインタビューには引っ掛からないように行動しているので,街の声が常識であると考えるのは滑稽なことである。映像に顔出しをするような状況では,人は自分を美化するものである。正直に答えている人は少ない。むしろ,「月曜から夜ふかし」のような視点での番組がインタビューした方が不届き者の本音が聞けるような気がする。
さて,2020/11/28のブログで,「移動をしたい人は,抗原検査キットで自宅で陰性を自己証明すべき」と書いた。
筆者は,2月から自主テレワークでしばらくは一切出社していなかった。5月の連休明けから,会社からの要請により週1日出社の半テレワークに移行した。夏明けには終息して普通出勤ができると思っていたが,第二波,第三波で,相変わらずの週1出社テレワークが継続している。Go Toトラベルなるキャンペーンにも参加しない。外食はこれまでも最低限しかしてこなかったので,Go Toイートにも参加しない。我が家は観光国日本にはこれまでもほとんど協力していないのである。
したがって,外出自粛をしようが,テレワークをしようが,基本的にストレスをほとんど感じていない。「緊急事態宣言解除」となっても動きに変化はないし,もう20年以上も安全食材の宅配サービスを受けているので,飲食環境も変化がない。しかし,子どもたちはちょうど大学生であり,学業以外の友人との交流の機会をまったくなくすわけには行かないようである。
最低限の移動,「三密」の防止,自己防衛策を普通に講じ続けており,これで新型コロナウイルス禍を終息できなかった日本は,世界から失望の目で見られることになるだろう。地域単位で立ち入り時に抗原検査をして陰性の人のみ入場を許す,という策も,おそらく取り入れる地域はないと思われる。
ワクチンの接種が可能になるまでにおそらくあと半年は必要なのではないかと思う。それまでは,自らが感染源にならない努力を続けることと,万が一の時にいち早く自分の状況を把握できる仕組みがほしいと思った。
感染を受けたかもしれないとして保健所に相談するには,高温が続き(これはその後,必須条件ではなくなった),呼吸がこれまでと違う状況にあることが前提だが,何らかの電話相談したあとでも,症状が軽ければ自宅待機,症状が明確に出たら急いで保健所に連絡ということになるのだろう。気になる症状が多少あったとしても,おそらく電話では確実に「もう少し自宅待機して様子を見てください」となって,検査もしてもらえない状態が続くことが予想される。いざ症状が出たら急速に悪化する可能性があるこの新型コロナウイルスで,自宅で様子を見ることがどれほど心配なことだろうか。もちろん医療ひっ迫を防ぐにはこの判断がされるのだが,これまでちょっと咳が出るとか,微熱があるとかぐらいでも医者にかかっていた日本人にとって,これは非常に耐えがたい対応ではないかと思われる。
外出をなるべく控え,「三密」の場を避け,マスク,アルコール消毒を励行したとしても,第二波までに比べて感染力が高まった変異型によって感染拡大スピードが速まっているとか,病院がそろそろひっ迫状態だとかいう状況を目の当たりにすると,「ひょっとしたら自分がすでにどこかで感染しているかもしれない」という疑問を完全に打ち消すだけの自信がない。接触確認アプリ「cocoa」もまったく信頼できないし,「三密チェッカー」も行動の参考にはなるが,感染したかどうかの判断には役立たない。
ということで,保健所も当てにならない,病院も当てにできない,という状況での最後の自衛策として,「抗原検査キット」を購入することを決め,まず1セットを注文したところである。
通常の使い方は,「移動する必要のある人」が自分が感染していないことを証明するために使うものであったり,エリアへの入場時に入場者が感染していないことを確認するために使うものだったりする。我が家への導入は,自分の症状に対する不安を確認して,医療機関により短時間に適切な対応をしてもらえるようにすることである。
現在のPCR検査による感染確認者数は1日2000人前後で推移している。検体数はおそらくこの10倍の2万人として,10%前後の人が感染している状況だと思う。しかしこの場合,検査した90%の人は「感染していないこと」を証明されただけで,検査の翌日に感染しない,と保証されたわけではない。つまり,1検体あたり延々15時間もかけた最新鋭のPCR検査のほとんどが「無駄打ち」ということになっているのである。これは医療資源の無駄遣いなのではないだろうか。
検査のために,検体を採取する人も医療関係者である必要がある。さらに,野球やサッカーなどの人気スポーツの選手やお偉いさん方,そしてテレビに顔を出すようなアーティストやタレントは,週に1回ぐらいでこのPCR検査を受けて感染していないことの確認を繰り返している。これこそ,本当に無駄な作業である。正直,このような有名人は,他人との接触や会食の機会も多いが,おそらくマスク会食やシールド越しの会話などほとんどの対策をせずに暮らしている。その代わりにPCR検査を受けて,その週は「何も対策しなかったけど感染しなかった」とのうのうと過ごしているのである。すでに多くの俳優や歌手が感染確認されているにも関わらず,一向に自粛自衛はしない。この無駄打ち検査を,高齢者施設や学校などの全員検査に使うなどをすれば,もっと早期に封じ込められるのではないかと考える。
インフルエンザの場合,熱が出て医者に行き,そこで抗原検査キットで調べると,たぶん90%の確率で陽性反応が出て,特効薬の処方という流れになると思う。検査時間も15分ぐらいであり,患者さんもつぎつぎに検査して効率よく振り分けることができる。しかし新型コロナウイルスのPCR検査では,とにかく結果が出るまで時間がかかる。仮に陽性だとしても検査結果が出るまでの15時間を拘束するわけにいかないから,その間に感染を拡大させてしまうかもしれない。しかも,現在のPCR検査は,1人の感染者が出たらその周辺の濃厚接触者を検査して,10本に1本の当たりを見つける,という作業である。ほとんどが無駄な検査行為に終わってしまっているのではないだろうか。
ということで,筆者は家族に対して,発熱,呼吸の不具合,おかしな咳など,通常の風邪やインフルエンザと違う症状が出た場合と,そのような症状のあった人物と接触した場合に,自宅でまずこの「抗原検査キット」で検査することを考えている。仮に陽性であった場合は,すみやかに保健上などで正確なPCR検査を受けることを考えている。保健所に対して「こんな症状があります」と言っても「しばらく様子をみてください」と言われるのがオチなので,「こんな症状があり,自宅で抗原検査をしたら陽性でした」と言えば,よりスムーズにPCR検査が受けられ,おそらく8割以上の確率で陽性であることを確定できると思うからである。
「抗原検査キット」のもう一つの利点は,唾液で検査が可能な点である。PCR検査と同じように鼻の奥の粘膜を採取するタイプもあるが,舌の下で唾液を綿棒で採取することで検体を採取できるキットがある。PCR検査は鼻の奥の粘膜を長い綿棒で採取するので医療行為であり,若干の苦痛を伴う。また「抗体検査」の場合は血液を採取する必要があるため,指先を針で突いて数滴の血を出す必要がある。これに対して,唾液で検査が可能な抗原検査は,身体にも精神的にも最も負担が軽い点も優れている。懐的にも,PCR検査が1万円~1万5000円なのに対し,抗原検査は4000円,抗体検査は3000円(いずれも税別,送料別)で,インフルエンザワクチン接種程度の負担で済む。
本来は,保健所が「自宅で様子を見てください」と告げる際に,「有償ですが,抗原検査をされてはどうですか」として抗原検査キットを送付し,陽性だったらすぐにPCR検査をする,陰性だったらもう少し様子を見てもらう,という切り分けをすべきではないかと思う。現在,「抗原検査キット」は約4000円。送料と消費税を入れると5000円を超える。できれば送料込みで2000円ぐらいにできれば,もっと利用が広まると思う。妊娠検査キットが600円~1000円ぐらいなので,薬局で1200円ぐらいで買えるようになるというのが理想と考える。しかし,薬局で販売するとまた買い占めて転売する,という不届き者が出てくるのだろうな,と考えると,またうんざりである。
自宅での「抗原検査キット」の使用は,いわば「勝負服」と同じである。本当に相手のことを大事に思うときに,自分が感染していないことを証明するための強い自信となるからである。家族の誰かが疑わしい症状を出した際も,一次確認として使うつもりである。それは家族のため,そして周囲への感染拡大防止のためである。もちろん,この抗原検査キットを使わないで過ごせる日が早く来てほしいことに変わりはない。いわばお守りである。