jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

クルマのマナーをもう一度

筆者がクルマの運転をするのも,あと10年がマックスと考えている。自宅の壁の角や,駐車場の曲がり角の柱,バック時の交通標識など,さまざまな場所にぶつけたりこすったりしてきたが,何とか対人・対物事故はこの40年間一度も起こしていない。とはいえ,最近は免許の更新が5年になったことから,ゴールドをキープするのはなかなか難しい。数年前に間違えて右折禁止交差点で右折した違反のために,今でもブルー免許である。

 クルマの運転の得意な人や業務で乗っている人からすると,筆者の運転はカッタルイと見られていると思う。車種もワンボックスのノーマルタイプなので,加速も悪いし,後方から来たクルマにとっては視界を遮る厄介なクルマなので,きっと追い越したくなる運転をしているのだと思う。

 そんな筆者から見ても,最近のクルマのマナーは著しく下がっていると感じる。ジジイのたわごとではあるが,まとめてみたいと思う。

①曲がる直前までウインカーを出さないクルマ

 一番イラつくのは,信号待ちしているときのウインカーを出さないクルマである。ウインカーは,次の自車の動きを周囲に知らせて接触されたりすることから自車を守るため,つまり自分のためにある。対向するクルマがある場合は,直進するのか,右折するのかによって,相手にスムーズに加速してもらうことで,交差点を早く抜けたりできる。それを,信号が青になるまでウインカーを出さず,青になってから急に右折ウインカーを出すケースが非常に多い。ウインカーを出すことで,車内でもランプが点滅するので,それが嫌なのか,それとも点滅を繰り返すことでランプが早く切れるのが嫌なのか,とにかく「ケチくさい日本人」を象徴している。

②縦列停車中に非常警告灯の点滅をやめないクルマ

 非常警告灯は,基本的に後方から来るクルマに対して減速や停止をするための合図と,単独停車中の周囲へのアピールが目的である。1台だけで停まっている場合は,近づくクルマに対するアピールとして使用しても問題ない。しかし,縦列停車をしている時に,最後尾でもないのに非常警告灯を点滅させる意味はまったくない。自車が停まっている後ろにクルマが停まったら,点滅を停止するのがマナーだと考えている。でないと,後ろのクルマの運転者はずっとこの点滅をずっと見せられ続ける。まことに迷惑である。周囲に気が回っていないことを感じる。「思いやりのない日本人」を示している。

③ブレーキランプを乱用するクルマ

 ほぼ定速走行中に,前のクルマがいきなりブレーキランプを点灯させることがある。減速するのかと思ってビクッとして当方はアクセルを緩めて減速するが,実は前車はそれほど減速しない。これは,右足でアクセル,左足でブレーキという使い方をしているドライバーに多い。つまり,アクセルを緩めてエンジンブレーキを使って減速する,という技を使わずに,ブレーキを踏んで減速するという方法で運転しているのである。

 前方に赤信号が見えてきて,筆者のクルマはエンジンブレーキで減速した後,停止のためにブレーキを踏んでそのまま停止する。つまりブレーキの踏み込みは1回である。しかし,左足ブレーキ車は,おそらく停まる前に5回はブレーキランプが点灯する。点灯しては消え,また点灯しては消えを繰り返す。まことに迷惑なブレーキングである。

④時速8kmまで10秒かけてバッテリー運転しようとするハイブリッドカー

 エコ運転の基本は,急加速をしないことだという。基本は,時速20kmまで10秒かけてゆっくりと加速してエンジンの回転数が上がってから,アクセルをより深く踏み込んで加速すると,エンジンのちょうどトルク効率のいいところで回転させられるため,燃費向上につながる。

 これに対してハイブリッドカーは,バッテリーで運転する時間が長いほど,ガソリンの使用が少なく,総合燃費が上がる。バッテリーからエンジンに切り替わるのが,時速8kmなので,ハイブリッドカーの運転者は,クルマを動かし始めてもなかなかスピードを上げず,なるべくバッテリーで動かそうとする。信号が青になっても,ノロノロと動き始めるのがハイブリッドカーである。これが迷惑である。

 モーターのいいところは,ゼロ回転のところでトルクが最大になることであるが,ほとんどのハイブリッドカー運転者,電気自動車の運転者はこれを知らない。ガソリンエンジンは,低速回転ではトルクが出ないので,エンジンの回転を上げ,この回転を変速機で低回転数に変換し,トルクを稼いで発進するが,モーターはこの変速機なしで発進できるのである。テスラモーター車や慶応大学のエリーカがスーパーカー以上の加速性能を持っているのはこの発進時トルクのおかげである。日産自動車e-powerが,駆動をモーター1本に絞り,小型エンジンを発電専用にした理由はここにある。同社のスポーティカーであるスカイラインがこのe-powerでモーター駆動にしたのもうなづける。

 したがって,ハイブリッドカーでも,発進時にモーターで加速して,その速度でエンジンの最適回転域につなぐ流れも,燃費向上には役立っているはずである。トロトロ発進しなくても大丈夫なはずである。筆者も,初代プリウスから関心があったのだが,残念ながら財力がなく,いまだにハイブリッドカーすら試すことができていない。

 時代の流れとして,エンジンカーはモーター車に代わる可能性が高い。問題は,いまだにバッテリーの最適解がないことである。リチウムイオンバッテリーも,希少メタルの供給の問題,リサイクルの問題,安全性の問題を抱えている。化学反応を利用する電池に比べて,物理の原理を利用するキャパシタのクルマ用への実用化が待たれる。

⑤夜の信号待ちでの前照灯を消さないクルマ

 道路交通法では,「夜間走行時には前照灯を点灯すること」が義務付けられている。これを根拠に,夜の信号待ち時に前照灯を消さないことが正しいと主張する評論家がいる。ならば,信号で停車しているときは,前照灯を消しても問題はない。むしろ,前照灯を消す方が周囲には優しいと,筆者は考えている。

 まず対向車に対して。前照灯の照射角度は,平らな状態で基準が決められている。ところが,実際の道路が平らであることは稀である。軽い上りから平らな道につながる交差点では,対向車の前照灯は上を向いている。まぶしい。消してほしい。

 もう一つは歩行者に対しての安全面での問題である。歩道のある交差点で,対向車の前照灯の光があると,歩道を歩く人がこの光の中に消えてしまう。そこに右折しようとすると,右側のクルマの前照灯の光の中に歩行者が消えてしまう。まことに危険である。

 新車紹介をするテレビ番組を持っていた著名な自動車評論家は,交差点での前照灯消灯に否定的だった。理由は,歩行者の足元を照らして歩行の助けにする,というものだった。街灯のない真っ暗な交差点ならこの理屈はわからないわけでもない。筆者も,真っ暗闇の道では前照灯は消さない。しかし,普通の横断歩道があるような道路は街灯があり,歩道が真っ暗なことはあり得ない。

 もっとも,最近のクルマは,なんでも自動化されている。暗くなれば自動的にライトが点灯するようになっている。トンネルの出入りの時も特段の操作をしなくてもライトが自動的に点灯消灯する。夜間は,走行時も停車時も前照灯が点いたままになるのである。シートの位置,ミラーの角度なども,運転者によって自動的に調整されるクルマもある。確かに,夜間無灯火走行などの細かい操作のミスを減らすことはできるかもしれないが,クルマに乗る場合は運転者がもっと主体的になるべきなのではないだろうか。それは,自分の身を守り,周囲にも迷惑をかけない,ドライバーとしての最低の心構えなのではないだろうか。

 ほかにも,あおり運転,キープセンター走行,年配者のスロー走行など,クルマのマナーはますます悪くなっているように思う。事故に巻き込まれる危険も高く,筆者自身もだんだん運転したくなくなってきている。視力に低下,判断力の低下などもこれから進むことだろう。一時期,無人走行車に否定的な考えを持っていたが,街や道路のインフラ整備も含めた人に優しい街づくりの中で,無人走行車が使われることに期待するようになっている。この面では,トヨタ自動車が先行している様子なので,がんばってほしいと思うが,首都圏はまだ遠い先だろうなと絶望感も持っている筆者である。