先日，筆者は危うくクルマを暴走させるところだった。筆者宅の路地から大通りに出る際，路地に進入してきた対向車を避けてハンドルを切った際，「前に進む」という意識があったのでアクセルを踏んでいたのだが，対向車が寄って来たため，思わずそれを避けようとしてアクセルをさらに踏み込んでしまったのである。
通常の道路で運転している場合は，「アクセルを踏んで対向車をかわす」行為は普通なのだが，何しろ路地から大通りに出る部分なので，歩道を横切ることになる。ここでアクセルをさらに踏み込めば，歩道に突っ込むことになり，もしそこに歩行者や自転車が来れば，はねてしまう可能性があった。筆者はすぐに気づいて，いったんアクセルを踏み込んで加速した後，すぐにブレーキを踏み込んでクルマを歩道の手前で停めることができた。幸いにも早朝で歩行者はいなかったが，通学路なので時間帯によっては大変な事故を起こしていたかもしれないと思うと冷や汗をかいた。急ブレーキをかけた際，後部座席に座っていた息子がまだシートベルトをしていなかったので，前につんのめってしまった。
家族にはそのあとで状況を話し，場合によってはもうクルマに乗らない，と宣言してある。ちょっと自信がなくなった事件だったのである。
今回は，急加速した際，ブレーキペダルを踏んだと思っていたがそのペダルの軽さからアクセルを踏み込んだことに気づいて，即座にブレーキに踏み直すという判断ができたので大事に至らなかったが，判断力が衰えてくると，アクセルペダルを踏み続けてさらに加速し，パニックになるということなのだろう。運転のベテランや運転の慣れがあっても，動物的な瞬時の判断力が衰えれば，事故につながることを実感した。
今朝はイヌの散歩をしていた。横断歩道の手前で立ち止まり，歩行者用信号が青になり，右側のクルマが停まっていることを確認してから横断歩道を渡り始めたのだが，ふとここで「このドライバーが今，何らかの理由でペダルを踏み違えたら，あっと言う間に轢かれてしまうな」と一瞬思ってしまった。
これまでも，横断歩道を渡る際，近づいて来るクルマが本当に減速しているのか，停止線で停まるのかを，クルマの挙動とドライバーの顔を見つめて感覚的に判断していた。信号に気づかずに突っ込んでくる可能性を否定できないからである。筆者自身が，その加害者側になることは「絶対にない」と思ってきたのだが，「絶対にないはない」と思い知った。
クルマが信号待ちをする場合，ちょっとスマホを触ったり，カーナビを操作したりすることが多い（運転中に操作するのはもちろん絶対にダメである）。すると信号が青に変わったのに気づかないことがある。慌てて発進しようとして歩行者などに気づかずにブレーキからアクセルに踏み替えて発進してしまう可能性を否定できない。
この「慌てて発進しようとする」ときに起きる可能性のある事故を防ぐには，基本的に停車するたびにハンドブレーキをかける習慣をつけるのがいいと考えた。これまでにも，信号待ち時，ブレーキ踏み続けをやめよう--これが「踏み間違い」の原因だ - jeyseni's diary 2021/11/12 や，自動車なんだから，停車中のブレーキは「自動車」（ハンドブレーキ）に任せてはどうですか - jeyseni's diary 2021/11/19 でハンドブレーキを使うことを推奨した。我が家の日産セレナは20年を超えているのだが，車検のたびに「ブレーキパッドの減りが少なめですね」と言われる。もちろん，走行距離が少ないことも一因だが，「信号停止でもハンドブレーキを使っている」ことを告げると，「それが要因ですね。大事に乗られていますね。」と褒められた。
クルマは動かなければ事故は起こさない。アクセルやブレーキを踏む行為は，ドライバーの判断に任されている。「うっかり」「慌てて」で踏み間違いが起きる可能性が否定できない今，とりあえず確実なのは「停車中はハンドブレーキをかける」ことだと思う。
ハイブリッド車やEV車，そしてアイドリングストップ車は，停止すると騒音がほとんど聞こえなくなる。信号が青になった，と思った瞬間，アクセルを踏み込むと，特にハイブリッド車やEV車はモーターのトルクが最大のポイントにあるので一気に加速する。これが事故につながることも要因として大きい。エンジン車なら，アクセルを踏めば大きなエンジン音が聞こえ，踏み間違いに気づく可能性も高い。
一方，アイドリングストップ車はブレーキペダルから足を離した瞬間にエンジンがかかり，アクセルを踏んでも動き出すのに若干のタイムラグが生じる。それに慌ててアクセルを踏み込みすぎて，飛び出す危険性がある。
近年の5割のクルマがこれらの「新型車」である。皆さん，ハンドブレーキをもっと使いましょう，と言いたい。
