大型バスとトラックによる正面衝突事故で大きな犠牲が出た。双方の運転席が側で衝突し、バスの運転席の後ろに座っていた3人と、双方の運転者が亡くなった。
トラック側にブレーキを掛けた痕跡がないことが今のところ明らかになっている。居眠りないし意識不明での事故と思われる。居眠りだとすると、勤務体制の問題も考えられるし、意識不明になるような病気があったとすれば、申告していない本人と見逃した会社の責任になるのだろう。
筆者もクルマの運転は好きだが、昨今の逆走や、アクセルの踏み間違いなる運転に対して反応して避けるだけの自信はない。通常の歩行者の飛び出しに対する0.6秒で反応できたとしても、対向相手も同じ速度で近づいて来る訳だから、反応に必要な時間は半分の0.3秒、しかも相対速度は2倍だから、時速50kmで走っていても、衝突の際は2倍の時速100km の衝撃になる計算になる。
双方がブレーキを掛けて減速すれば衝撃は緩和されるが、今回の北海道での正面衝突ではトラック側にブレーキを掛けた形跡がないという。まさに破壊的である。
事故が起きた区間は事故多発区域と認識されていたが10年間、対策が行われていなかったという。しかし、何をもって対策ができるというのだろうか。もともと交通量は少なく、したがってどうしてもスピードを出しがちになり、しかも曲がりも少ないので眠気に襲われる区間だという。道路側の対策は限定的ではないだろうか。
すると、今度はクルマ側の対策になるのだが、今回のような車両半分ずつの正面衝突は、最も損傷が激しく、車体前方にクラッシュゾーンがあったとしても運転席まで損傷するのはやむを得なくなってしまう(オフセット衝突テストと呼び,最も厳しい条件での衝突試験になる)。
AI による瞬時の画像分析と回避操作の連携技術が求められるが、結局、搭載車と非搭載車が混在していれば役に立たない。
クルマが,みんなにとって安全・安心な乗り物であるというのは,幻想だと思う。まず,人が動かすモノは,すべて凶器になりうる。人が狂うからである。筆者も,クルマに乗ると性格が豹変する,と言われる。自分中心になっているな,と感じる。それほど,他のドライバーの運転が,自分の常識とはかけ離れていると見えてしまうからである。
クルマ,電車,新幹線,航空機,いや自転車すら,人が運転する乗り物は,相手にとっては危険である。そこにさらに電動キックボードが道路に加わり,空にはドローンや空飛ぶクルマが加わろうとしている。もはや道路も空もカオスである。
ドローンは,人力で操縦するのではなく,決められたルートをGPSを使って自動運転するものだけに限るべきだし,空飛ぶクルマは絶対に止めてほしい。
同じように,クルマもすべてレベル5の無人運転車のみにすれば,暴走もなければアクセルの踏み間違いといった言い訳もなくなる。あるいは,新交通のような制限された軌道内のみを走るようにすべきだろう。かつての未来都市と言えば,交通機関は透明のチューブの中を無人運転で移動するものだったはずだ。人の自由勝手に動かすべきではないとも言える。そもそも,運転免許の交付があまりにもいい加減すぎる。
多くに安全アシスト車も,暴走車相手には無力である。もし無力でないと言うのなら,暴走車回避モードも搭載すべきだろう。そこまで言い始めたら,おそらく1m走るたびに停止してしまうだろう。
筆者は,70歳には運転免許を返納したいと思っている。3輪の電動アシスト自転車が,移動手段として適当かなと考えているところである。スピードは出さないので,できれば歩道を走るのを許してほしいと思うのである。
その歩道も,安全とは言えない。人が運転するクルマが走っている以上,また人が運転するドローンが飛んでいる以上,歩行者の安全は保証されないのである。