筆者は、基本的には国産主義である。かつて、日本のものづくりは世界一だった。高い品質でしかも安い。これを選ばない理由がなかった。
当時でも今でも、「舶来至上主義」の人は多い。「高いモノはやはりいい」という考え方である。外車も海外ブランドものも同じである。時間をかけ、人手をかけて作っているので、悪いはずはない。そこに本当に価値を見抜けるかどうかは、考え方次第である。こちらの人格を理解してそれに合ったオーダーに応じてくれるならば、いいものを入手できる。しかし、ただカネを払うことができるというだけでは、騙されていても分からない。偽ブランドに大枚をはたかせるビジネスモデルも出てくる。
さて話題はiPhoneである。筆者はその前段階であるMacbook Proを持っている。全体がアルミニウムからの削り出し。機械加工の粋が生きている。構造的な強さと同時に、電源スイッチ回りなど、ほとんど隙間のない加工でガタのない押し心地を実現している。 Windows系のプラスチック筐体が本当に安っぽく見える。
iPhone のものづくりもすばらしい。妥協のない平面デザインのコンセプトは一貫している。ソフトの使い勝手に合ったOSを提供している。
しかし、筆者はiPhone を使わない派である。周りからは偏屈者扱いである。買わない理由は、完璧過ぎて面白くないのと,買い替えのときの選択肢がなくなることである。
筆者的貧乏人の考えでは,たとえばクルマは,「タイヤが4個ついていて,屋根がついていて,ワイパーがついて」いれば,移動手段としては「どれでもいい」のである。ただ,事故車は外見では分からないので,最近のシェアカーやこれまでのレンタカーはできるだけ避けるし,中古車は基本的に除外している。グレードダウンするのも嫌なので軽自動車への乗り換えもいまのところ考えていない。
携帯電話も同じ様に,電話とメールとナビがあれば,あとはどれでもいいと思っている。スマホへの乗り換えが遅れたのは,電話の通話の品質が悪い(PHSを使っていたので,ガラケー時代の携帯電話の通話品質の悪さが頭から離れなかった),バッテリーの持ちが悪い,という理由だった。その後は,カメラの撮影品質は欠かせなくなっている。iPhoneの写真の写りがあまりにもいいので,この点はAndroid系にももっとがんばってほしいところだが,現在所持している格安スマホのカメラ性能は,十分な域に達している。
おそらく,一度iPhoneを使い始めたら,何も考えなくても済むのでラクチンだと思う。ユーザーの視点で作られているからだと思う。機種変更をしても,使い方が基本的に同じなので,迷うこともなく,ラクチンだと思う。筆者にとっては,この「ラクチン」が「創造力をかきたてない」ため,Androidで苦労しながらベストの使い方を目指している,というところである。買い替え時のメーカーへのこだわりもない。いちばん考えに考えて買ったのはSamsungだった。カメラ性能,バッテリー性能など,今でも文句ない選択肢だったと思っている。
その後,IGZO液晶搭載のシャープの機種を使っているが,これはシャープの技術を買ったもので,実際はホンファイが作っていることも特に気にならない。ちょっと残念な気もするが。
iPhone向けにも多くのアプリが作られているが,Android向けの比ではないだろう。iPhoneはきちんと審査されているから安心して使える。Android向けは怪しげなアプリも多くあり,使うかどうかは頭の使い所である。良さげに見えたアプリでも,使い物にならないことが多く,8割以上はダメアプリだと思う。この辺りは,PCのフリーソフトの世界とよく似ている。この混沌とした中から輝くソフトに出会う楽しみが,Androidにはある。おそらくこれが筆者がiPhoneに手を出さない理由だと思う。
一つだけ残念なのは,筆者の命とも言えるファイルメーカーがAndroidでは供給されないことである。もともとApple系の企業だからか,とても残念に思っている。Webベースのデータベースソフトは,Microsoftもgoogleも供給していないので,何とかならないかと思ってさまざまなアプリを試しているが,さすがにファイルメーカーに匹敵するようなアプリには出会わない。筆者がiPhoneに乗り換える可能性があるとすると,この1点だけかな,と思ったりするのだが,次のWindows 11にAndroidアプリが動く環境が入るということなので,もう少しAndroidに期待しようかなと思っているところである。