階段を下りるのは,歩行の中でも危険を伴う瞬間である。山道の下り坂も同様である。というのも,「下りだから楽ちん」という意識がどこかに働いて,緊張感がなくなるからで,段の踏み外しや足を滑らせると,勢いもついているため,一気に下に進んでしまい,足首や膝に強い力がかかって捻挫したり,ひねったり,時には骨折したりする。登山のときも登りは苦しいが比較的安全なのに対し,下りは登ったという達成感で気が緩んでいることで,足を踏み外したり,最悪の場合は崖下への滑落につながることもある。雨の日の階段,雨の日のぬかるんだ山道なども同様で,登りなら滑っても手を着けば支えられるが,下りは滑り台状態になって,極めて危険である。
歩ける喜び--おそらく自己流整体法によって子供のころに左脚に力が入らなくなったことからの回復プロセス - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/12/9 と書いてから半年が経過しようとしている。まだまだ左右の脚の感覚は同じではないが,これまで使っていなかった左脚の筋肉の感覚が蘇ってきている。たとえば膝のすぐ上の辺りとか,内股の後ろ側とかである。と同時に,右脚も内股の後ろ側の筋肉が働いている感覚が意識できる。足の指から足首,ふくらはぎ,膝,太もも,股関節,臀部と,歩くたびに異なった感覚がある。
特に,階段を下りるとき,今までは左足が段に着くときはほとんど何の感覚もなかった。そこで段から滑るともう身体を支えられなくなる。実際,以前に左足で階段を踏み外した際,ほぼ10段ぐらい飛んだ感じになり,着地した左足で身体を支えた際に足首の剥離骨折を起こしてしまった。まともに全体重を支えてしまったからだろう。ただ,着地できなければ,階段の一番上からだったので,もっと大怪我になっていたかもしれない。ちなみにテーピングで1ヶ月は療養したのち痛みがなくなるのに半年かかった。
左脚の感覚が戻りつつある現在,階段を下りる動作は脚の各部に少し負荷がかかるような歩き方をしている。左足の指先から着地し,足の裏,足首,膝が協力して負荷を受けられるように,力の入れ方や角度,膝の曲げ方などを意識しながら,1段ずつ味わいながら階段を下りているのである。これまでだったら,単純にかかとから着地していただけなので,足の裏が着地するペタペタという音も意識して立てている。
足の裏から足首にかけての着地に不安がなくなったので,今度は少し膝を曲げ気味にして下りてみている。こうすると,着地時に膝がクッションのように体重を支えるのが分かる。そして,ふくらはぎの筋肉もこの体重を支えるように働いている。この動作を意識することで,足首を支える筋肉,ふくらはぎ,太ももなどの筋肉がうまく使われているのを感じる。
膝の軟骨成分は50歳ぐらいから減り始め,階段の上り下りや立ち居振る舞いの際に膝の痛みとなることがよく紹介されている。テレビコマーシャルだと,痛みが出たら○○サプリメント,というお勧めだが,筆者はこの階段下り動作によって膝に適度な刺激を与えることで,足腰の柔軟性向上と同時に筋肉強化を図っていけるのではないかと考えている。
もちろん,階段を上るときや,平地を歩くときも,足指,足裏,足首,膝,腰の部分部分の筋肉を意識しているし,立っている時も内股に力を入れたり,少し脚を開いて内股を引き締めたり,といった意識的な運動をしている。何となく,フィギュアスケーターやスピードスケーターのように安定して力を氷の面に伝えるための脚や足の蹴り出しの使い方ができているような気がするのである。
まだ,肩こりと同様に筋肉の奥に硬い筋のような部分があり,肩こりと同じような凝り症状,不定愁訴を持っている。ストレッチや物理的な刺激で相当緩和されてきているが,まだ完全には自分の脚になっていない。引き続き,「正しい歩き方」を目指し,そして今後のロコモーティブ症候群に陥らないように,意識して歩いていこうと思っている。