jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

換気vs寒気&暖房,そして花粉,熱気&冷房,省エネ--この悪循環を断ち切るための考察。「リゾートテレワーク」が理想という結論

筆者としてはようやく,新型コロナウイルスに対する攻め方・守り方に確信が持ててきたので,遅まきながらまとめてみたいと思う。

 2020年初の初期型でも,結果としては一般的な会話時に発するマイクロ飛沫による空気感染が中心だったと思われる。2022年時点のオミクロン変異株と感染パターンは基本的には変わらない。潜伏期間が長めのため,症状の出た人を隔離しただけでは,すでに一般の空間において無症状感染が広がっており,人流,会話,食事などの機会でどんどん広がっていたと考えられる。初期のころはマスク着用義務もなく,換気もほとんど語られることはなかった。ただ感染確認者を隔離し,ウイルスがいると思われる場所のアルコール拭き取りや抗菌処理が行われた。何しろ,初期型から2021年のデルタ変異株まではワクチンもなく,治療薬もなく,病状が急速に進んで重症化から死に至るケースが相次いだ。空気感染も接触感染もあらゆる可能性を否定することはできなかった。

 mRNAワクチンがこの新型コロナウイルスに対して初めて大々的に使われ,初期型のパンデミックというパニック状態から解放され,ある程度の日常を取り戻しつつある。筆者はこのmRNAワクチンの開発に至るまでの研究者の話を直接聞く機会があった。Youtubeでも公開されているので,ぜひご覧いただきたい(ただし英語講演)。

Prof. Katalin Karikó「Developing mRNA for therapy」 - YouTube 

Prof. Drew Weissman「Nucleoside Modified mRNA-LNP Therapeutics」 - YouTube

両氏は本件で2022年Japan Prizeを受賞された ジャパンプライズ(Japan Prize/日本国際賞)。非常にわかりやすく日本語で解説された業績解説文もアップされている。ぜひ読んでいただきたい https://www.japanprize.jp/data/prize/2022/j_1_achievements.pdf。決して一朝一夕に突然現れた怪しいクスリではないことが読み取れると思う。あとは,インフルエンザに対する特効薬が開発されたのと同様,COVID-19に対する特効薬が開発されるのを期待している。

 さて,防御のためのワクチンの早期開発に成功した人類だが,ウイルス側はさまざまな変異株を生み出して新たな戦略に持ち込もうとしている。強毒型(デルタ株)から強感染力型(オミクロン株)への変異もその1つであり,これからどんな展開が待っているのか,予測不能な状況にある。オミクロン株BA.2における無症状感染・PCR検査すり抜けという厄介な変異に,人類はまだ対応できていない。これが強毒化した場合の対応手段が,基本的にはまだ出来上がっていない。

 世界中がワクチン接種の対象となり,まだまだ接種率のバラツキはあるものの,ワクチン接種による感染防止ないし重症化リスクの低減を享受できるようになっているのは,喜ばしい流れである。アルコールによる手指消毒と,マスク着用の習慣も,世界共通の対策として認識された。

 しかし,筆者自身が閉口しているのが,一日中のマスク着用義務である。

 新型コロナウイルスからの自衛にやはりフェイスシールドか - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/6/15 でも書いているが,筆者は2002年から外出時はずっと不織布マスクを着用してきた。これは,ホコリや花粉,そして風邪の流行時の他人の咳・くしゃみを直接吸い込まないことを目的にした自衛策だった。しかし,オフィス内や家の中では,マスクを外していた。つまり,1日の装着時間は長くても1回1時間半程度だった。

 ところが新型コロナウイルスでは,現時点では食事をするとき以外はあらゆる時間帯にマスク着用が求められている。連続4~6時間を2クール,つまり寝ている時間と食べている時間以外はほぼ連続で着用していることになる。マスク歴20年になった筆者でも,さすがにこの連続着用には参っている。口元から顔,耳へのマスクの接触と熱のこもり,メガネの曇りなどにより,集中力が落ちる。クルマを運転するときも基本的にマスクを着用しているが,視界の中にマスクの角が入ることで視野も狭まり,集中力も落ちるので,実は危険な状況にある。これまでも,帽子を深々と被って運転したり,フロントガラスにアクセサリーをぶら下げたりダッシュボードにカーナビを取り付けたりぬいぐるみを並べたりして視界を狭めているドライバーを見かけると,注意義務違反ではないかと思っていたのだが,マスク1つ着用するだけで,これほど運転しにくいとは思わなかった。

 2022年のオミクロン株への切り替わりとワクチン接種の普及により,感染者数はデルタ株よりはるかに増えているが重症化リスクは下がったと判断した各国は,人々の移動制限を解除し,公共交通機関以外でのマスク着用義務を終了しつつある。デルタ株の場合は,自宅待機中に一気に症状が悪化し,それを受け入れる医療機関がなくて死亡するケースが多発したが,オミクロン株では自宅療養で症状が収まるケースが多く,入院しても複数の治療薬の投与で改善し,病床の逼迫が抑えられていることが,規制緩和の理由とされている。ただし,いったん重症化してしまったときの致死率はむしろ高まっており,現在でも日本で毎日30人前後の死亡が続いている。重症病床が逼迫しないのは,正直言えば患者の死亡によって病床が回転しているからだと推測されるのだが,相変わらずこの関係については誰も言及してくれない。

 何度も脱線して申し訳ないが,本題に戻ろう。現時点,そして2000年の感染拡大の初期段階でも,「マスク着用」と「換気」に力を入れていれば,ここまでのパンデミックは起こらなかったのではないかと考える。いまさらなので仕方がない。もちろん,マスク着用は,ウイルスの侵入防止の効果は限定的であり,感染者のマイクロ飛沫の拡散を防ぐという効果に限定することは言うまでもない。換気についても,感染確認者が出た段階で濃厚接触者への感染拡大を防ぐ意味とともに,無症状感染者がいた場合の感染拡大を防ぐという意味も存在する。とにかく,閉じた空間内のウイルス濃度を可能な限り下げることが,感染拡大の防止に最も効果的だからである。

 そこで改めて提案だが,2022年時点ではまず「誰でも無症状感染者でありうる」ことを前提に考える必要がある。会話に伴うマイクロ飛沫にウイルスが乗って閉鎖空間に撒き散らされる。この撒き散らしを防ぐのが,不織布マスクの着用である。同時に,常時にある程度強力な換気を行う必要がある。デルタ株のときよりも数倍強力な換気機能が必要だと考える。電車やオフィス,そして家族がいる場合は家でも,常時換気が必要である。誰が感染していてもおかしくない状況だからである。

 マスクを外さなければならない食事の時は,引き続きパーティションの設置か黙食が求められる。特に飲食店は,いままで以上に換気設備の増強が必要だと提案したい。つまり,空気の流れを作らなければ,パーティションを越えたり,パーティションの反対側にいくらでもマイクロ飛沫が流れていき,本人たち以外の人への感染拡大のリスクが高まるからである。できるだけ,個別のお客様の近くで換気し,外に排出する工夫をすべきである。改めて引用するが,飛沫を吸引する机やパーティションが多くの業界を救う - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/5/18,焼肉店方式の排気設備を導入しよう - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/1/6。「結局,どのオフィス家具メーカーも作っていないし,飲食店へのオプション換気装置の開発も行われなかった」というコメントは,いまだにそのままである。

 2022年3月末,筆者宅で家庭内感染があり,筆者を除く4人が次々と感染したことはすでに報告済みである。最初に長男が症状を訴えたとき,正直言えば彼の部屋の換気扇を回しっぱなしにすべきだったのだが,まだ寒い季節で指示をためらっていた。今にして思えばこれが家族への感染拡大の原因の1つだったと思う。というのも,長男を部屋に隔離したあとは,看病は母親のみが担当し,マスク着用も手洗いも接触点のアルコール拭きもトイレの分離も,基本的な対策は行っていたからである。しかし,次々と感染は拡大した。

 この感染が次々と拡大する間,筆者の部屋は実は外気を換気扇で取り込んでいた。筆者の部屋をいわば陽圧状態にし,ウイルスを含む空気を部屋の中に入れない方法を取ったのである。実に寒かったので,ダウンジャケットを着ながら仕事をしたりしていた。家族全員が感染した際は,筆者はリビングで仕事や睡眠を取っていたが,このときは台所の強力な換気扇を常時回していた。他の部屋からのウイルスの侵入があったとしても,それを排気できるような空気の流れを作っていた。筆者のみ3回のワクチン接種をしていたこともあり,感染しなかったと思われるが,ひょっとしたら無症状感染状態があったかもしれない。

 このブログを書いている今も,自室の換気扇は回っている。現在は外に向かって排気する方向に回している。というのも,花粉の季節であり,さすがに吸気方向に回せば家中に花粉が入ってしまうからである。しかし,換気扇を回して空気の流れを作れば,どこからか外気は入ってくるため,そこから花粉は容易に入り込んでしまう。いちおう,リビングの空気取り入れ口には,花粉防止用のフィルターを付けて全開にしている。

 寒い日に換気すれば,暖房を強める必要があり,またこれからの暑い日に換気すれば,冷房を強める必要がある。いずれも,電気エネルギーを多く使うことになる。地球温暖化を止めるためにはエネルギーの消費を抑えなければならないが,これに逆行することになる。なんとももどかしい。これにウクライナ侵攻の影響で物価高,燃料高が加わり,家計の負担も増える。花粉の季節がおわったら,2022年の夏は,かつての日本の夏のようにできるだけ窓を開け,扇風機と換気扇中心の生活をした方がいいかもしれないが,残念ながらほとんどの家庭やオフィスはそんな対応もしないだろう。例年以上に発電所の能力が落ちており,3月の福島地震のときのような東京ブラックアウトが起きるかもしれない。

 再度,電力消費のパターンを分析する必要があると提案する。というのも,オフィスの冷暖房が効率的ではないような気がするからである。一日中,大空間の温度を維持するための電力がどの程度なのか,それをテレワークで各家庭での消費と比較すれば,どちらが効率的か,分かるのではないだろうか。筆者は,家庭での電力消費の方が明らかに少ないのではないかと考える。

 また,都心に集まるよりも,高原や北海道など,より涼しい地域でテレワークすることで,日本全体の電力消費を抑えられるのではないか。テレワーク城下町を作ろう - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/5/5 と2年前のブログに書いた。リゾートホテルをテレワーク用に作り変えて提供してはどうか,という提案だった。その周りに飲食店やコンビニなどが集まれば,観光収入ではなく,定額収入を上げるビジネスモデルが出来上がるというわけだが,いまこそ,これを実現すべきではないだろうか。Go Toトラベルのような一過的なものではなく,そこに新しい街づくりをすることで,海外の観光客におもねることもなく,日本だけでクローズできる循環型の社会を作れるのではないか。