jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

新型コロナウイルスとワクチンに対する日本での情報発信は,日本国民・メディアの主体性のなさの現れであることを再認識してほしい件

WHO「60歳未満の健康な成人は追加接種推奨しない」コロナワクチン新指針(Medical DOC) - Yahoo!ニュース 2023/3/28のWHOの発表を受けて,さまざまな意見が飛び交っている。メディア系は,「それ見たことか」と言わんばかりの反論キャンペーンである。

 そもそも,事件や事故が起きたときにメディアが何をするかと言えば,周辺住民や通りすがりの人にマイクを向けて,何かを喋らせることで,いかにも客観的な情報発信をしていると視聴者に思わせる手口を使う。「ドカ~ンと大きな音がしてビックリしました」「まさかこんな静かな街でおきるなんて」「警察車両や消防車がいっぱい来て」などなど。それは確かに事実だろうが,事件,事故と何の関係もない。

 今回のWHOの発表に対しても,上っ面の言葉だけ解釈して,「WHOがワクチン接種を推奨しない方針に転換したそうですが,どう思いますか?」というような聞き方をすれば,専門知識のない一般国民にとっては「それはおかしい」とか「前から方針はおかしいと思っていた」とか「接種しなければよかった」とか,ネガティブな答えが出てくるのは当然である。またそれを期待して,大げさなタイトルを付けて報道するのがメディアである。これこそメディアによるプロパガンダではないか。

 インフルエンザと比較してみるとよく分かるのだが,特効薬が開発されているインフルエンザとくらべて,新型コロナウイルス感染症に対する特効薬はまだ開発されていない。

 インフルエンザは,ワクチン接種をしてもしなくても感染することが分かっており,ワクチン接種の目的は重症化を防ぐ効果である。しかし,適切なタイミングで陽性判定を受けられれば,その場で特効薬が処方され,数日間ガマンすればほぼ回復するし,後遺症もほとんどない。したがって,ワクチン接種は個人の判断で任意だし,有償である。しかし,それほど対策が出来上がっているインフルエンザですら,日本では年間3000人の方が死亡しているという事実は,ほとんど知られていない。

 新型コロナに対しては,今に至っても特効薬がないが,軽症の場合「解熱剤だけで回復する」ケースがほとんどであることが現状認識である。「だったら,ワクチンを打たなくても,解熱剤を用意しておけば済む」と軽く判断する日本人が多いようである。ワクチン接種によって重症化が防げる効果についても,絶対大丈夫,ということは言えない。ならばワクチンを接種しなくてもいいのでは,という判断になってくる。しかし,重症化したあとの回復の確率は,非常に低いと見ている。2023年4月段階でも,毎日数十人の方が亡くなっており,それは確実に重症化した方である。年間死亡者数が1万人を超えている状況で,インフルエンザよりも軽く見ている人が増えていることを,筆者個人は非常に懸念している。さらに,インフルエンザでは感染回復後の後遺症はほとんどないが,新型コロナの場合はおそらく半数が何らかの後遺症状が出ているという事実がウヤムヤにされている。倦怠感も含めて,生活にも支障が出ており,国全体の経済活動にもマイナスになっているはずである。

 インフルエンザとのもう1つの違いは,無症状感染者による感染拡大リスクである。熱が出れば医者に行くだろうが,無症状だと医者に行くことはない。まして自腹で検査をする人はいない。そうした無症状感染者が街中に放たれ,会話や咳・くしゃみによってウイルスが拡散する可能性はいまだに否定できていない。電車内や飲食店でマスクを取れない理由の1つである。黙々と仕事をしている静かな職場ならマスクなしでも問題ないが,電話をかけたり,打ち合わせをしたり,会議をしたり,といった人が接近する環境では,感染拡大を防ぐためにもマスク着用はまだまだ欠かせないと考える。これは屋外でも基本的に同じである。どういう訳か,人はすれ違いざまにくしゃみや咳が出る傾向にある。また複数の人で歩いていれば,自然に大声で会話がされる。こうした自然現象に対しては,マスクを着用してもらうことが重要なのだが,「屋外のマスク着用は原則なし」という言葉を言葉どおりに捉えてしまう日本人の主体性のなさがここでも現れてしまう。

 筆者は5回目のワクチン接種を2022年11月にしているが,すでに現在のウイルスの主流はXBB.1.5となっており,ずばり対応している訳ではない。高齢者や基礎疾患のある人は年2回,その他の人も年1回のワクチン接種が望ましいと言われているが,すでに前回の接種から5ヶ月が経過し,抗体値も下がっていることは明らかである。また,おそらく2023年以降,ワクチン接種を受けた人はほとんどいないのではないだろうか。

 ここに来て,インドなどでXBB.1.5のさらに亜種が増えている。重症化リスクが低いことと,これまで3年間のワクチン接種によってある程度の免疫が残っていること,さらに感染によって抗体が活性化して重症化を防ぐ効果が期待されることなどから,WHOは「健康な人はワクチン接種をしなくてもいい」という発表をしたのであって,だれもこれまでのワクチン接種が無駄だったと言っているわけではない。それを,「ワクチンの副反応」や「ワクチンによる死亡」といったマイナス面ばかりにスポットを当てて,鬼の首でも取ったかのように報道するのは,いかがなものだろうか。

 少なくとも,マスコミのニュース報道は冷静に事実を伝えていると思うが,タレントMCと素人コメンテーターを集めたワイドショーや週刊誌メディア,そして無責任な個人ブログをいかにもそれらしくポータルに集めた「○○ニュースサイト」などが,反ワクチンキャンペーンのプロパガンダを撒き散らしているように見える。さらに,新型コロナ禍の初期のころからワクチンに疑問を呈していた研究者が,「ほら,やっぱり私の言っていたことは正しかったでしょう?」とばかりに持論の再展開を図っているのも気になる。

 そもそも,人が密集したり,通勤電車がないアメリカと比較して,アメリカがマスクなしになったから日本もマスクを続けているのはおかしいとか,比較論で言っていることも,日本の主体性のなさを示している。実際,欧米では人との距離を保つ「ソーシャル・ディスタンス」という考えをいち早く出しているし,入店前に抗体検査をしてもらうカフェがあったりと,自分たちで主体的に対策をしていた。咳・くしゃみに対しても,欧米では「God bless  you!」と必ず言ってもらえるのに対し,日本ではまったくの野放しである。特に男性,また年配者になると,他人に対する配慮などまったくない。こういう主体性のない国民は,自分の頭で考えることもなく,マスクの買い占めに走るという情けない行動を取って,カネ稼ぎをする。実に情けない国民性である。

 2023年5月8日に,新型コロナウイルス感染症は,感染症の五類になる。あと1年はワクチンの無料接種が高齢者などに提供されるはずだが,この五類変更に伴ってまた方針変更もされる可能性がある。インフルエンザと同様,有償にもなるだろう。しかも,XBB,1,5やその亜種にズバリ対応したワクチンは,開発されていると思われるのだが,当面はBA.2,BA.5などの対応ワクチンを大量に作りすぎたために,そちらが供給されることになると思われる。

 何度も書いているが,結局日本の製薬会社はワクチン開発ができなかった。ウクライナ紛争に伴う世界のエネルギーサプライチェーンの歪みによって,石油価格も高騰し,電気代が増え,輸入食糧や飼料も高騰したことで,タマゴの値段もこれまでの1.5倍になっている現状で,タマゴを使った従来型の不活化ワクチンの製造も限定的になっている。特効薬も結局まだ開発されておらず,感染後の対応に不安が残る。

 筆者個人としては,マスク着用の強化,身の回りの換気の強化,外出の制限,体力の温存,そして可能なら追加ワクチン接種を考えたいと思う。これはあくまでも個人の意見である。自分が無症状陽性者としてウイルス拡散に加担しないように,まず感染しない方法を可能な限り実施して行きたいと思っている。テレワークも再開できればと思っているところである。