jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

海をなめるな,空をなめるな--タイタン潜水艇,スペースX,空飛ぶクルマ・・・

アメリカの水中探査会社オーシャンゲートが開発した潜水艇タイタンが,北大西洋に沈んだタイタニック号観光ツアーの最初の潜航でどうやら事故を起こし,乗員5人が絶望視されている。同社およびその潜水艇の情報は,オーシャンゲートの潜水艦はどのように機能するのか? 失われたタイタンを可視化する – Kanaries に詳しく紹介されている。

 これまで使っていた調査用の潜水艇が深さ500mが最大深度なのに,タイタンは最大深度4.000mになっている。明らかにまったく異なる技術が必要な潜水艇である。本当に対応できる技術を持っていたのか,今さらながら疑わしくなる。

 日本が誇る海洋調査船しんかい2000」が深さ2,000m,「しんかい6500」が6,500mで,世界2位という性能である。タイタンは,このしんかい6500に匹敵する技術が必要だと思われる。しかし,オーシャンゲート社にとって,とてもそのレベルの技術を持ち合わせていたとは思えない。タイタンは技術の実証用の潜水艇だったのではないか。まだ開発途上にあったのではないか。

 今回,事故に遭ったと思われる乗員は,同社CEO,タイタニック号探査専門家のフランス人男性、英国の男性実業家、パキスタンの富豪一族で英国在住の親子2人とされている。正直,タイタン号はこれまで潜水の実績がない初潜水だったのではないだろうか。

 観光の目玉としてのタイタニック号が沈んでいるのが,深さ4,000mの深海である。タイタンの潜航性能も4,000mである。ほとんど余裕がない設計だったのではないか。この水深に至るのに2時間はかかる。往復4時間は実に無謀だと思える。

 船が沈没するなど,深刻な海洋事故が相次いでいる。2022年4月の北海道知床半島での観光船の沈没,2023年5月の沖縄宮古島での自衛隊ヘリコプター墜落事故が思い浮かぶ。いずれも水深100mぐらいの事故でありながら,救出はできず,いまだに行方不明者が見つかっていない。まして,水深4,000mでは,十分な捜索は難しい。捜索する側が二次被害に巻き込まれる可能性も高い。

 一方で,空も宇宙も一般企業が続々と参入している。テスラ社のイーロン・マスクが作ったスペースX社は,ロケットを開発し,有人宇宙飛行も成功させている。同社はおそらくNASAから引き抜いた技術者が開発したのだと思われる。一方,潜水艦は軍事技術として実績はあるものの,オーシャンゲート社にその技術が使えたかどうかは疑問である。

 空飛ぶクルマも,新しいジャンルだけに,どのように認可するつもりなのだろうか。だれが安全と審査するのだろうか。

 筆者は基本,海も空もダメである。仕方なく飛行機に乗るときも,必ずウインドウシートを取り,離陸のときも着陸のときも窓の外を見ながら脚を踏ん張っている。信頼していないからである。船も,基本的には乗らない。ダイビングも,スカイダイビングも,素潜りも体験飛行も,いずれもしない。 

 宇宙ビジネスを始めた日本企業も50社に上るという。筆者はこれを「お遊び」と決めている。日本の将来にとって,意味がある起業とは思えない。地球を取り巻く空間にゴミを撒き散らすだけである。カネを払ってリスクとスリルを楽しむ金持ちを遊ばせるためのビジネスが,正気だとは思えない。

 海洋ビジネスの場合は,さらに天候,波,海流なども配慮しなければならないし,一連の事故に見られるように救助・捜索が極めて困難と危険を伴う。空気のある山の事故ですら,捜索は困難であり,しかも二次被害の危険性,そして高価な機材を持ち出す必要がある。まして,水中では圧力が深さわずか10mで2倍になるような過酷な環境である。すべての条件が揃わない限り,安全とは言えない。

 宇宙体験旅行が,30分の飛行で数千万円だという。海底探検旅行も同じような値決めだったかもしれない。今,そんなところにお金を使うタイミングなのかどうか,考えてほしい。