jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

テレビ番組のJアラートジャックで,いろいろな状況が見えてきた

2022/11/3早朝,ニュースを見ていた筆者は,画面の半分が赤くなる「Jアラート」に初めて出会った。北朝鮮大陸間弾道ミサイルICBM1発が,日本上空を通過する可能性があるという警告である。その後,続けて短距離ミサイルも2発発射された。

 前日の11/2は,何と1日に23発ものミサイルが発射された。

 以前,飛び道具は犯罪だとコメントした 人はなぜウソをつくのか - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/3/15。ウクライナ侵攻を続けているロシアのミサイル攻撃についてコメントしたものだが,これを犯罪と思わない人がいることが,残念でならない。

 今回の報道で,元統合幕僚長の話が聞けたのは大きかった。彼の話によると,自衛隊北朝鮮の発射したミサイルを,発射の瞬間からレーダーで捉えており,その軌道を計算して落下地点の予測ができているというのである。アメリカ軍,韓国軍の連携があるにせよ,そこまで捉えられていることは心強かった。Jアラートは,この情報を基に発令されるようだが,計算にも時間がかかるし,アラートを出すか出さないかは人間の判断になる。しかも,自衛隊から総務省に連絡が行ってからさらに発令するかどうかの判断もされる。

 北朝鮮で発射されたミサイルは,約10分で日本に到達するという。今回のJアラートは,発射直後に弾道計算で日本上空を越えると判定されたために発令された。的確な判断だと思われる。しかし,発令されてから仮に日本に着弾するとすると,数分しか余裕がないというのである。

 これまでは,せいぜい週に1回ぐらいの頻度でミサイルの発射が行われていたときは,2発目は発射されない,という思い込みで,Jアラートが発令されても「ああまたか」で済ませられたかもしれない。しかし,1日に23発も発射できるとなると,2発目,3発目が飛んでくる可能性を否定できない。せっかくJアラートで警告が出ても,「頑丈な建物や地下に逃げてください」と言われても,まずそんな場所が近くにあることはほとんどありえない。直撃を受けては鉄筋コンクリートづくりの建物でもひとたまりもないことは,ウクライナ紛争を見ても明らかである。建物の中なら,爆風による二次被害を防げるという意味で重要である。しかし,核弾頭を搭載していたら,日本ではどうにもならない。

 アメリカのホワイトハウスや,ロシアのクレムリン,ドイツのベルリン,イギリスのロンドンなどの中枢エリアは核シェルターが準備されている。ロシアと国境を接しているウクライナでも,地下鉄の駅が開放された。同じく国境を2000kmも接しているフィンランドでは,人口の1/3を収容できるシェルターがあり,さらに国民のほとんどが都心だけでなく田舎に別荘を持っているという。有事には,田舎に人口が分散することで仮に核攻撃を受けても被害を最小限にできるという。

 日本のように,都会に人が集中している国で,核シェルターもない状態では,国民の命は守れないということが,はっきりした。仮に,迎撃ミサイルシステムをさらに拡充したとしても,この数分という時間しかない間に的確に撃ち落とせる可能性は非常に低い。2022/10/11に,ウクライナは1日に80発ものミサイル攻撃を受け,迎撃ミサイルで約半分は撃ち落としたというが,残りは都市部に命中し,多くの市民が犠牲になった 1発で決められるか--プーチンを止める手段はこれしかない - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/10/15。日本ではおそらく数発のミサイルですら,撃ち落とすことはできず,連続した攻撃ではタマを使い切ってお手上げになるだろう。しかも,弾道ミサイルだけでなく,巡航ミサイルでもこれだけ至近距離で狙われており,対策があまりにも無防備なことは明らかである。

 第二次世界大戦以降,平和ボケしている間に,アメリカとソ連が冷戦時代の1960年ごろにICBMを開発し,核の抑止力によるガマン比べの時代に入った。1991年のソ連崩壊で冷戦が終わり,世界は平和な時代に入ったと思われた。ICBMの数を制限し,順次核兵器が廃棄され,世界から貧困もなくなるものと期待された。

 日本は,何の疑問もなく,何の防御もせず,何の危険も感じずに,世界の工場として平和な製品を世界に供給する役目を担っていたはずだが,技術が台湾や韓国,そして中国に流出し,技術者も流出し,骨抜きになってしまった。日本が経験した原爆は,B29爆撃機から投下された。沖縄戦では戦艦からの大砲による艦砲射撃と上陸による陸上戦しか経験していない。ミサイルで核爆弾を飛ばしてくるという戦術は,まさか日本が対象になるとは思ってもみなかった。

 冷戦が終わって,アメリカ側に付いていた日本は,ソ連崩壊の後を受けたロシアから攻撃されることはないと思い込んでいた。しかし,ウクライナ紛争でNATO加盟国であるはずのアメリカすら,武器供与という方法でしか支援することはできなかった。台湾に対する中国のミサイル攻撃に対しても,手が出せなかった。日本が攻撃を受けたとしても,アメリカが反撃してくれるという期待は,ほとんどないことが明らかになった。

 ロシアは,ウクライナという国境を接した国に対する侵略を犯した。おそらく,陸上部隊の侵攻だけで征服できると読んでいたはずである。しかし,ウクライナ軍の執拗な反撃で,飛び道具であるミサイルを使わざるを得なくなった。さらに,ウクライナが民間のドローンでロシア軍の位置を掴み,そこをピンポイントで狙って打破する作戦に出られて,また戦略を誤った。チェルノーブィル原発ザポリージャ原発を盾にするなどの卑怯な手段に訴えたり,イラン製の自爆ドローンを使うなど,飛び道具を使っての無差別攻撃をしている。次にICBMと核弾頭という組み合わせを使わないという保証はまったくなくなった。

 北朝鮮は,最初からミサイルという飛び道具で,日本や韓国,アメリカに脅しをかけて自分たちに有利な交渉に応じさせる作戦だった。アメリカのトランプ前大統領や韓国のムンジェイン前大統領は,対話に応じたが,キム・ジョンウン主席は理性のある人物ではないことが,今回のミサイル連発で確実になった。

 ロシアのプーチン大統領とともに,キム主席ももう抹殺するしかないのではないか。

 ただ,この二人が仮にいなくなったとしても,中国という厄介な存在がある。中国の権威主義社会自由主義によって,自由主義国家よりも急速に経済を発展させている状況を発展途上国が見て,中国流の経済発展モデルが,かつての日本の経済復興モデルに代わる理想的な姿に見えるのではないか。

 世界はいったいどこに向かうのだろうか。地球環境破壊,地球生物の絶滅の危機,そしてエネルギー危機,食糧危機,人口問題,そして新型コロナウイルス問題など,地球全体で考えなければならない問題が山積している現在,こんな子供じみたいざこざで地球が破壊されてしまうのではないかと考えると,実に情けない思いである。

 何度も言うが,日本は,石油・石炭・天然ガスという化石エネルギーに頼らない循環可能な水素エネルギーと,天候によらず安定した食糧供給ができる陸上養殖・植物工場,微細藻類養殖を世界に向けて発信しなければならないと考える。