jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

インスタント食品やコンビニ食品が当たり前の時代--栄養バランスは取れるのか,食品ロスはどう防ぐか

インスタントラーメンを発明したのは日本人の安藤百福日清食品創業者)で,1958年のことらしい。筆者の歴史とほぼ重なる。

 しかし,「インスタント=緊急避難的」と親の世代は思ったのか,筆者が口にすることはほとんどなかった。大学生で初めて一人暮らしを始めたときも,基本的に自炊生活で,インスタントラーメンやレトルト食品などを使った記憶がない。

 一方,コンビニエンスストアの日本1号は,1969年のマイショップだそうだ。関西系とのことだが,筆者にはまったく記憶はない。現在の大手であるファミリーマートが1973年,セブンイレブンが1974年だという。これらを入れても,筆者の実家近くにはなかった。大学生のときもお世話になった記憶がない。社会人になっても,基本的な買い物はスーパーマーケットだった。安さで選ぶときに,コンビニで買うという選択肢はまったくなかった。

 いまや,インスタント食品は様変わりしている。袋麺からカップ麺と100種類もの商品が店舗に並ぶ。有名店や有名料理人が監修したインスタント食品もある。それだけ,美味しいと言えるのだろう。

 レトルト食品も,備蓄用の非常食のほかに,日常使いできる調理済み商品が増えている。煮込みや味付けをきちんとしてあり,温めるだけでそのままお惣菜として食べて美味しい商品が,特にコンビニの棚にずらっと並べられている。コンビニ弁当は1日に2~3回配送され,そのたびに「即廃棄」となる無駄が生じやすいのに対し,レトルト惣菜は日持ちがするため,賞味期限をうまくコントロールしてこども食堂などで利活用するなどのルートを作ることで,食品ロスも減らせる効果があるようである。

 ただ,筆者のように母親の手作りごはんに慣れ,1人暮らしでも自炊が普通だった者にとっては,インスタント食品もコンビニ食品も,いわば「外食」に相当すると考えてしまうのである。

 筆者にとっての「外食」は,「贅沢」なのである。時代が時代だけに,完全専業主婦だった母親が,毎日毎日せっせと作ってくれる質素な食事が,筆者にとってのおふくろの味である。それほど裕福でもなかった家庭なので,肉や卵は贅沢な食材だった。どちらかといえば魚と野菜が多かった。関西ということもあり,出汁を効かせて味付けも優しく,色合いも素材のイメージを壊さないものだった。

 関西の料理は,薄口醤油を使うので“薄味”というイメージを持っていたのだが,薄口醤油は色が薄いだけで,塩分比率はむしろ普通の醤油より高いことを,関東に移り住んでから初めて知った。ひょっとしたら,筆者の実家の家庭料理の塩分濃度は意外に高かったのかもしれない。現在のように減塩醤油などの商品などない時代である。塩分が健康に及ぼす影響への関心は,まったくなかった。逆に,関東に来たときには,醤油味の強い食事にかなりショックを受けた。これは自炊しなければ身体が持たない,とすら思った。今でこそ,関西風のおでんやお惣菜,立ち食いそば・うどんなどの飲食店もたくさんある。関東の人も関西風の料理に親しめている時代になったと思う。

 外食の決め手は「美味しさ」である。素材を厳選し,調味料も研究して提供される。「出汁を取るのに◯◯時間,その後◯◯寝かせて・・・・」など,料理人のこだわりが紹介される。それに見合った店の雰囲気作りもされ,それに見合った値段も付けられる。裕福ではなかった(そして今も)筆者にとっては,外食は贅沢であり,家族の誕生日やおめでたい日に揃って出かけるところである。

 どんな食レポを聞いても「美味しい」「旨い」に決まっている。基本的にリーズナブルなお店など紹介しない。こだわったお店が中心に紹介される。リーズナブルなお店の場合,大盛り,特盛りなどで紹介される。

 そういう意味では,筆者の家族は家庭料理中心で育った。カミさんには家族ができてからは専業主婦をしてもらった。子どもが小学校の間は弁当を毎日作ってくれた。夕食も毎日作ってくれた。あまり料理は得意ではないと言いながら,続けてくれた。食材にはこだわり,無農薬野菜を選んだり,食品添加物のなるべく入っていない調味料を選んでくれた。そして,関西出身の筆者の口に合うようにうまく作ってくれた。ありがたいと思って感謝している。筆者もたまにだが食事作りを担当する。筆者のメニューは5種類ぐらいしかないし,独身時代の癖でつい時短調理をしてしまうが,家族にはいちおう歓迎されているようである。

 そういう家庭料理で育った人間は,筆者のように外食をあまりしない癖が付いてしまうのか,外食の味付けが強すぎるように感じる。たしかに美味しいが,その一口目の美味しさを決めるのは,やはり塩分加減だと思う。どちらかといえば塩分多めではないかと勘ぐってしまい,したがって外食は減る方向にある。

 一方,子どもの頃からコンビニが当たり前のように周囲にある今の世代の人にとって,弁当や惣菜をコンビニで買うのは当たり前になっている。一人暮らしであっても,部屋にまな板や包丁がない人がかなり多いと聞く。肉料理が増え,塩分摂取量が増え,さらに野菜代わりのスムージーには果物も多く入っているため,糖分摂取量も増える傾向にあるように思える。昼食をカップ麺で済ませている人を見かけると,身体は大丈夫なのか,と心配になったりする。

 筆者は極端な主張をしているわけではない。ベジタリアンや完全無添加商品だけを食べることを推奨している人たちとは違う。また,高度成長期に外食中心で活躍してきた世代が長生きしているのも認識している。ただ時期を同じくして,がんによる死亡者が死亡原因の1位になったり,喫煙による弊害が報じられたり,認知症が急増していることも事実である。食習慣や生活習慣とまったく関係がないとは言い切れない。

 外食比率が高くなっている子どもたちから,美味しい店に連れて行ってもらうことも増えた。今まで食べたこともないメニューもある。そういう時代なのかもしれないと思いながら,ありがたく頂いている。

 しかし,日本の食糧自給率の低さは相変わらずだし,ウクライナ紛争が終わらない前にハマス-イスラエル戦争が始まってしまい,さらに北朝鮮がロシアと協調し,中国がまた世界中心を目指そうという不穏な時代になってしまった。安全保障も重要だが,食糧安全保障をどこまで確保できるのか,また食糧自給率をどうやって上げるのかについて,まったく政策が出されていない。日本の食糧自給の決め手となる漁業も,地球温暖化の影響か,漁獲量が激減しているし,荒天候のために陸上の田んぼや畑の流出被害も増えている。水素エネルギーを開発し,陸上養殖,植物工場などで,天候に左右されないエネルギー・食糧自給インフラを今こそ整備するべきではないかと考えるのである。

 その前に,日本人の栄養バランスが大丈夫なのか,健康は維持できるのか,そして健全な次の世代が繁栄するのか,いろいろな面で不安が残るこの頃である。