jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

芸人による転職CMをどう見ますか--バイトサイトのCMなら意味はあるのだが

2008年9月15日,アメリカのリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻したことが引き金となって,リーマン・ショックが起きた。

 このころを境に,日本企業も急速に体制が変わった。終身雇用制度が前提ではなくなり,非正規雇用が激増した。これまでの「いい大学に入って,大企業に就職」という仕事のやり方が通らなくなってしまった。

 金融やメディアなどのソフト系の企業は,人材が資産なので,能力のある人材がどんどん集まることが求められる。能力のない人はどんどん切り捨てていけばいい。いわば営業職と同じである。

 一方,製造業は,土地,建物,装置などの固定資産が不可欠である。営業職のような人相手ではなく,モノを相手にするため,人材には熟練が求められる。マニュアルどおりにやればいい,という仕事ではないからである。

 日本の製造業が急速に弱体化した最大の理由が,人材を固定・確保できなくなったことである。高度成長期には,モノづくり企業は輸出を中心としてどんどん成長し,給与水準もそれなりに高かった。大企業のネームバリューもあり,人材が集まった。製造現場は3K(汚い,臭い,危険)と呼ばれたが,それに見合った待遇が提供されていた。自分たちが関わった製品が世の中で評価されることで,仕事に対する充実感を持つこともできた。福利厚生も充実しており,社員は満足して一生懸命に働くという好循環があった。

 しかし,いったん経済が落ち込み,東南アジアを中心として低所得でも一生懸命仕事をする国が現れた。かつて農業や漁業で不安定な収入しか得られなかった人々が,工場で働くことで一定額の給料を安定してもらえるようになった。それまでの収入よりも多くを得ることができたため,3Kだろうと一生懸命働いた。やがて,仕事の能力も向上し,品質も向上し,かつての日本と同様,あるいはそれを越える製品を作れるようになった。

 それでも,日本人を雇うよりも人件費は抑えられたため,日本企業は東南アジアでの現地生産をどんどん進め,日本国内の空洞化が進んだ。そのうち,アジア諸国は自ら起業し,かつての日本の大手メーカーを上回る製品を世界に送り出し始めた。当初は「安かろう,悪かろう」と高をくくっていた日本メーカーは,あっと言う間に世界市場を奪われた。世界にとって,日本製品も中国製品も変わらなかったからである。

 その後,日本メーカーはさらに高品質,高機能の製品を企画したが,市場が反応しなかった。品質も極端にいいというわけでもなく,機能は半導体で提供されるので,どこで作っても実現できたからである。

 そして,日本メーカーはどんどん後退し,必要な設備投資もできず,社員の給料も上げられず,正規社員から非正規社員に切り替えて社会保険料の支払いまで削った。意欲のある社員はやめ,熟練しない非正規社員を寄せ集めても,高品質な製品はできない。設備も古いままである。

 日本企業で,十分な給料とやりがいのある仕事を継続して準備できる企業が,いまどこにあるのだろうか。特に若者にとっては厳しい就職環境にある。なにしろ,残っている企業の大部分を高齢者が経営し,昔ながらの根性主義で仕事をさせているからである。「正社員募集」などと書かれていても,土木,建設,運輸といったキツイ系や,営業職がほとんどである。ブラック企業も多い。

 筆者の時代には考えられなかったが,転職が当たり前のように行われるようになっている。1つには,企業の規模が小さくなり,仕事の幅が狭くなることで,社内で自分に合った仕事がないと思えてしまうからだろう。なにしろ,就職活動におけるエントリーの数は100社にもなるのではないか。本命企業は門戸が狭くてまず可能性はほとんどなく,その次を考えると,ある意味でどんどん希望を下げざるをえない。ようやく入社できたとしても,上記の理由で仕事を継続する意欲が湧かない。

 技術立国から観光立国へと舵を切り直した際も,海外からの観光客が相手のインバウンド需要頼みで,本来の日本を見てもらうというより,日本っぽい演出を提供せざるを得なくなっている。かつての欧米からの観光客なら英語で対応できるが,これに韓国や中国が加わって,それぞれの国の言葉での対応も求められるようになる。

 そのインバウンド需要で潤った観光業界,旅行業界も,新型コロナウイルス禍で一気に凋落した。さらに,ロシアによるウクライナ侵攻が原因のエネルギー逼迫により,食糧自給率の低い日本が食糧を輸入できなくなった。さらに,やはり政策間違いと思われる日本銀行による低金利継続による円安で,物価の上昇を招いている。

 今や,日本が世界に誇れるものが何もない,と以前書いた。新型コロナ禍でも何のアピールもできず,環境問題では不名誉な化石賞を3年連続で受けて批判を浴びている。エネルギー問題はもちろんのこと,食糧自給問題もまったく進んでいない。

 COVID-19の特効薬の開発,水素燃焼発電の開発,植物工場や陸上養殖による食糧自給システムの開発。この3つで世界に再度日本の存在をアピールできるのだが,動きは微々たるものであり,2030年に正直,日本が残っているのかどうかも怪しいと思うようになっている。

 日本の若者が逃げ込むのが,ゲームやYoutube,エンタテインメントの業界である。なにしろ資産が要らない。自分の個人の才能だけで,何となく広告収入が入ってくる。昔で言えば大道芸人の世界である。結局,本人は収入もそれなりに入ることでやりがいも出るだろうが,正直,これでは家族を養うことはできない。年頃の娘を持つ親が,あぶく銭で生活している男との結婚を許すとは思えない。結局,30歳を過ぎても40歳を過ぎても1人暮らしのバイト生活みたいなものを続ける男性が増え,したがって家庭ができないので子供の数も限定され,人口減少に歯止めがかからなくなる。おまけに,安定した家庭を維持できないところで,子供の虐待が増え,また食事を満足に取れない子供が増えてしまう。正直,子供食堂といった活動がこれほど広がることを誰が予想しただろうか。あの豊かな,活気にあふれた日本はどこに行ってしまったのだろうか。

 さらに,子供が生まれたときの手当を40万円から50万円に増やす,という政策が発表されたが,何の助けにもならないことは明白である。

 そうした中で,気になるのが「転職サイト」のCMである。ここに起用されているのが,芸人や俳優である。就職と基本的に関係のない人を起用する意味がどこにあるのだろうか。アルバイトサイトのCMならまだ理解できる。というのも,芸人や俳優もかつてはアルバイトで生活費を稼いで自分の道を目指していたからである。しかし,転職サイトのCMにはまったくそぐわないと思うのである。

 この辺りも,結局は堕落した広告代理店が見さかいもなく仕事をしている証拠だと思う。俳優を使えば視聴率が稼げる,芸人を使えばもっと稼げる,という安易な発想である。五輪問題で,一斉に解体してほしい。

 今必要なのは,地球をどう救うかの知恵と努力である。2027年には再生可能エネルギーが石炭火力による電力を上回るという試算が出たが,ではそこで石炭火力を止められるかといえば止めることはできない。再生可能エネルギーを作り出す太陽電池パネルや風力発電機を作るためのエネルギーとして必要だからである。まったく矛盾している。

 われわれはまず,もっとスローな人生に回帰すべき段階なのではないだろうか。これにはいろいろな方法が考えられる。しかし,世界のトップクラスの人々や,それを理想として領土拡大のみを考える人々がいる限り,だれも納得はしてくれないだろう。

 まず,何から始めるか考えてみたいと思う。