jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

仮設住宅やトレーラーハウスの設置規模とスピード感の無さに不安--首都直下型や南海トラフ地震への対応に不安

2024/1/1に発生した能登半島地震から1ヶ月が経過した。2000棟が倒壊して住めなくなっているとされる中,2/3に仮設住宅18戸が完成。さらに28戸が建築中という。

 一方,長野県から2/4にトレーラーハウス10台が到着。さらに10台の導入とプレハブ住宅77戸が建築中という。

 ただ,トレーラーハウスに電気,水道などをつないで使えるようになるのが2月末になるという。

 ここまでの仮設住宅の合計は,18+28+10+77で133棟となる。単純計算では必要な家の数の7%である。競争率でいえば15倍になる。

 阪神淡路大震災の際,筆者の両親も仮設住宅の抽選に参加した。資料によると,仮設住宅の建設数は,震災後7ヶ月間で兵庫県大阪府に4万9681戸。震災後10ヶ月でほぼ全数に人が入ったが,その後5年で入居者はゼロになった。倍率は数百倍にも上ったという。当たることはなく,半壊住宅の自力再建をせざるを得なかった。

 阪神淡路大震災では,全壊104,906棟、半壊144,274棟という数字が記録されている。全壊家屋に対して仮設住宅を供給したとして,供給数は47%。最終的に5年で仮設住宅はなくなったということは,全壊した半分の5万戸は一時アパートなどの既存住居に移り,仮設の5万戸も5年後にはアパートや自宅再建などで普通の生活に戻ったことになる。

 正直,能登半島地震で全壊した2000戸なら,金沢市内などの借り上げ住宅への避難ですぐに平常に近い生活に戻れたのではないか。避難所での不便な生活も,仮設住宅ができてからの窮屈な生活もしなくても,数は供給できるのではないかと思うのである。

 首都直下型地震の想定では,全壊家屋が17万5000棟,火災による焼失家屋が412000棟で,合計61万棟が無くなるという数字が出ている。阪神淡路の5倍の規模である。

 一方,総務省の調査によると,全国の空き家数は2018年の統計で849万戸もある。日本の全世帯数は,2021年6月3日の調査で5191万4000世帯である。首都圏では,一般世帯数は、2020年調査で2,047万世帯,このうち単独世帯数は837万世帯である。引き算して家族世帯は1210万世帯ということになる。単独世帯のほとんどは,学生や独身世帯で,親の家や実家,学校の寮などに吸収できると考えられる。

 今後,さらなる人口減少が進み,空き家数は増え,世帯数は減る傾向にある。2023年3月の時点で,この空き家を災害復興時のセカンドハウスとして登録することを提案した(東日本大震災から12年--日本は水・火・土の被害が大きいので,正しく施工された高層住宅が命を守る選択になるかもしれない - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/3/11)。たとえば首都圏だけであれば,家族のいる1200万世帯と,全国の空き家850万戸をマッチングさせ,空き家の管理と年数回の行き来を条件に無償で利用できる仕組みを作っておけば,緊急時の避難と,空き家の管理,地方活性化のいずれにもつながるのではないだろうか。実際に首都直下地震が起こって,全壊・焼失家屋が60万戸出たとしても,その避難先は確保されている形になり,わざわざ数ヶ月をかけて復興住宅を作ってそれをまた数年で取り壊すといった無駄なことをしなくても済むのではないかと思うのである。

 首都圏だけでなく,南海トラフエリアの被害も合わせると,1件の空き家に3世帯ぐらいを登録して共同運営してもいいかもしれない。

 個人がわざわざ別荘を作るよりも,空き家ならもっと手軽に使えるのではないか,と思うのである。