jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

東日本大震災から12年--日本は水・火・土の被害が大きいので,正しく施工された高層住宅が命を守る選択になるかもしれない

2023年3月11日は,2011年の同日に起きた東日本大震災から12年目に当たる。テレビでは特番が組まれ,おそらくこれまでは放送を控えていたような当時の映像が繰り返し放送されていた。

 2月6日に起きたトルコ・シリア地震から1ヶ月。現在両国で5万2000人の死者が確認されているが,東日本大震災と違って行方不明者の人数が一向に発表されない。建築基準法を無視して耐震設計がされていない高層アパートが多く崩壊して,手が付けられない状態にある。最終的に何人の方が犠牲になるのか,見当がつかない。トルコ・シリア地震による死者は,地震による建物の崩壊による犠牲者である。瓦礫を片付けるにつれて,その数は増えることが予想される。

 一方,東日本大震災の犠牲者の大半は,津波による。また,内陸部でダムが決壊する被害もあった。1995年1月17日の阪神淡路大震災では,神戸市の西側で大規模な火災が発生し,地震そのものの被害よりも被害が拡大した。1923年9月1日の関東大震災でも,東京の半分が燃える火災の被害が大きかった。

 トルコ・シリア地震の規模が東日本大震災の10倍,被害の範囲も10倍ということを考えると,日本で同規模の地震として想定される南海トラフ地震では,想定される津波被害以外にも,建物の崩壊,山崩れによる土砂災害,ダム決壊による水害などが各地で起こることが予想される。おそらく,現在の耐震基準では間に合わないような災害となるに違いない。つまり,海岸寄りでも山寄りでも川沿いでも,被害に遭わない場所は極めて限られると考えられる。

 命を守る,という意味では,低周波振動で大揺れすることは覚悟の上で,崩れない正しい設計と施工をした新しい高層住宅で生活する方がいいかもしれない。ただし,災害後は,エレベーターは使えず,水も止まってしまうので,相当不便な生活を強いられることは覚悟すべきである。ただし,命が助かる可能性は,戸建て住宅よりも格段に高くなることが予想される。

 戸建て住宅は,ベタ基礎,筋交い,軽量屋根,補強金具などにより,地震そのものに対してはかなり安全になったと考えられる。しかし,その地域が海に近ければ津波,山に近ければ土砂崩れ,川沿いなら水害に遭う確率は高くなり,家が倒れなくても,水や土砂に流される可能性は高い。さらに火災が起きれば次々と延焼するだろう。難燃材を使おうが,タイルサイディングであろうが,長時間の火に晒されれば発火類焼するからである。

 さらに心配なのは,日本のあらゆる建設インフラが十分なメンテナンスを受けないまま放置されてきており,次の大地震によって一気に崩壊する可能性があることである。東京のJR山手線に乗ってみると,最近左右の揺れがかなり激しくなってきているのを感じる。定速で走っていても,身体が前後に揺れるので,つり革を持たざるをえなくなっている。相当な老朽化をしているのではないかと心配である。同様に,道路,橋,高速道路の高架なども,老朽化によるヒビやサビなどが目立つようになっている。

 通常は,メンテナンスによって性能はある程度維持されるはずだが,メンテナンスの費用は「経費」「出費」なので,予算から削られる。またメンテナンスを行う人材も,地味で過酷な労働のため,基本的に増えない。待遇はある程度いいかもしれないが,危険作業を嫌う傾向にあり,メンテナンスなしで放置されているインフラがほとんどではないだろうか。

 さて,ここまで書き進んで,どうしたらいいかと迷っていたが,1ついいアイディアを思いついたので提案する。それは「危険時対応のセカンドハウス指定」である。

 まず,想定される津波,土石流,ダム決壊など,水による災害被害を予測しているハザードマップで危険地域に暮らしている世帯に対して,危険性のない地域の空き住宅を1対1で指定する。家屋が倒壊し,仮設住宅が必要と考えられる戸数は,資料によると,首都直下地震では約66万~94万戸、南海トラフ巨大地震では約105万~205万戸という 論点整理(参考資料) (bousai.go.jp) 。賃貸住宅の空き戸数はこれよりやや少ないため,数万戸は建設しなければならないという。

 しかし,管理されている賃貸の空き戸だけでなく,放置に近い状態の空き家まで数えると,ほぼ確保できるのではないかと考えられるのである。

 災害が起きると,仮設住宅への希望が殺到し,抽選が行われる。この手続きが面倒なことと,必ずしも希望するような環境が提供されないことが問題である。

 そこで,平常時に自分たちの家族のセカンドハウスとして使える可能性のある賃貸物件や放置空き家物件を,あらかじめ予約しておくのである。その物件に実際に借り手が付けば別の物件と紐づける。非常に希望する物件であれば,たとえば実際の賃貸額の1割,たとえば月1万円で契約する。災害時には優先的にその物件に移動できるようにするのである。

 ハザードマップで,危険地域だと言われても,普通はそこから移動することはできない。しかし,気持ちだけは常に移動できる先を確保しておくことで,いざというときにどこにどう行動するかの1つの指針が持てることになる。

 1割を払うことで,たまに別荘代わりに利用しながら,清掃やメンテナンスを引き受けるのもいいだろう。バブル期にできたスキー場周辺のワンルームマンションなどが借り手がつかない状況と聞く。1割でも賃貸料が入るのなら,経営側も納得いくのではないか。

 筆者の家の周りにも,30軒に1軒ぐらいの割で空き家になっている家が見られる。放置され,荒れ果ててしまっており,防犯上も問題になっている。そこに具体的に紐づけしてしまうことで,管理も可能になる。このために,マイナンバーカードの発行もさらに加速する必要があると思うのである。

 これは,命を守る「安全」のためというよりも,「安心」のための政策であると考える。残念ならが,火山爆発,線状降水帯などには対策にはならないが,何か同じようなセカンドハウス構想は考えられそうな気がする。