jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

“拡張検索”としてCopirotを使う--予想以上の情報量が返ってくるが,1情報だけに集約されるのがやはり問題

アルゴリズムは自分で考えたい--ブラックボックスのChatGPTを使わない理由 - jeyseni's diary (hatenablog.com) (2023/9/16)と書いてから半年。世の中はこのツールに酔っているような報道ばかりである。筆者は基本的にまだ触ってもいないし,Webブラウザーの検索機能にChatGPTが加わったことに対してもまだ抵抗がある。

 基本的に,調べたいキーワードを考え,その情報源をリストアップしてくれるgoogle検索やBingを使い,そこから自分で選んで判断するという方法を取りたいからである。

 仕事上,図や写真の出典元を検索したり,文献を検索して確認したりする作業が日々発生する。画像は,googleの画像検索をこれまでも便利に使ってきた。検索ボックスに画像をドロップするだけで類似画像をリストアップしてくれるこの機能は,びっくりするものだった。文献検索には,google scholarを使えば,タイトルやジャーナルの巻号。ページ情報などでヒットする。

 文献のスタイルの統一には,文献管理システムが優れていると紹介した(zoteroという文献管理システムを使ってみた--今の研究者は楽になったのかも - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2024/1/17)。これもいわば複数のワードで絞り込んで情報に到達し,その情報からさまざまなスタイルに出力できるという非常に便利なツールだった。

 しかし「情報を最終形に変換する」という作業は,これまでは自分の目で見,頭で考え,手でタイピングして整理してきた。最終形のスタイルは,自分が正解を知っているからできることである。ところが,この作業は細かい動作の繰り返しとなり,ケアレスミスも多く発生する。何度もチェックする必要が出てくる。

 たとえば,「“ですます調”から“だである調”に変換」とか,「日本語書式の文献表記を英語表記に変換」といった少しインテリジェンスが必要な作業は,検索システムや文献管理システムでは処理できない。頭で考え,検索先を絞り込み,情報に到達する作業が必要になる。

 そこで試しに,Windowsの標準ブラウザーであるMicrosoft Edgeに勝手に加わった「Copirot」に情報をぶちこんでみた。画面の右上にある青いアイコンをクリックするだけで起動する。「次の文章を「だである調」に変換してください。XXXX。」と指示(生成AIでは,プロンプトと言うらしい)を入れると,10秒ほど考えたのち,答えが返ってくる。正確に文調が変換されている。入力の長さは2000字と制限があるが,使えないことはない。もちろん,最後は確認する必要はある。

 同様に,画像ファイルをそのままドロップして,「次の画像の出典を教えてください。」とプロンプトを入れると,google画像検索とは違う答えが返ってくる。google画像検索では,パターンや色使いが似た画像がどんどん表示されるが,Copirotでは何と,その画像の内容を分析した結果が文字情報として返ってくる。どうやら,画像をその特徴分析して文字にし,その文字同士を比較して,同じ画像を検索しようとしているようである。

 「検索」という機能に,表面的なマッチングだけでなく,まさにインテリジェントな要素で比較するというプロセスが加わったことで,すごいことをやっているな,という気がする。

 ただ,もっともらしい答えを1つに絞り込んで出してくるのが,筆者にとっては胡散臭い。疑ってかかる必要があると思うし,もう一度そのデータを基に通常のgoogle検索をしてみる必要を感じる。

 まして,たった1~3行のプロンプトで写真や画像を生成しようなどという恐ろしいことはとても手を出したくない。やはり自分の感性は失いたくないと思うからである。

 あくまでも調べものの助手としてときどき登場してもらう,という程度に留めたいと思うのだが,ますますフェイクな道に暴走している生成AIには,やはり文化の崩壊を予見してしまうのである。