jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

大正・昭和の「女性成功物語」は,もうやめてほしい--当時の男性が「いかに女性を侮辱していたか」を強調して女性の社会進出を支持するやり方に男性視点のステレオタイプを感じる

NHK朝ドラ「ブギウギ」がクランクアップし,次の朝ドラ「虎に翼」のストーリーが紹介され始めた。ブギウギが,戦後のブギの女王といわれた笠置シヅ子をモデルにし,虎に翼は,日本初の女性弁護士である三淵嘉子をモデルにしている。いずれも,女性の権利が認められておらず,男女平等などありえなかった時代に,力強く立ち上がった女性の苦労と葛藤を描いている。

 ヒロインを描こうとすれば,当時の差別の状況を描かなければならず,当然,男優さんには女優に対して差別的なセリフを言わなければならない。視聴者も,その状況を目で見,耳で聞く必要がある。

 今の視聴者にとって,テレビ映像や映画,ゲームなどの映像イメージは,「作り物」ではない「リアル」に受け止められる危険性がある,と筆者は最近危惧している。時代が大正時代や昭和時代だといっても実感がなく,画面で繰り広げられる演技が,実際に行われているように捉えられる。

 正常な意識,常識を持っている人間ならば,「これは過去にはあったかもしれないが,現在あってはならない光景だ」と認識して,女性の社会進出を応援する立場に立てる。しかし,筆者から見て常識の欠如している人間,特に男性は「昔は日本でもこんなことが行われていたが,結局女性がどんどん権利を主張して男性の居場所がなくなってしまった。今の社会はおかしい」と思う人も少なからず出てきてしまうと思うのである。

 映画やアニメ,小説など何でも,昔の日本や戦争時代,サムライ時代をベースにストーリーを書き上げ,その中でヒーロー・ヒロインを描くというスタイルが一般的である。現代社会で,ヒーロー・ヒロインを描こうとすると,設定が難しいからである。一時期は,障害者,マイノリティー,そして宇宙人を主人公にしたストーリーしか描けなかった。そこもネタが尽き,いまや超低所得者や犯罪者のストーリーが堂々と描かれるようになっている。アングラアニメでは,BL(ボーイズ・ラブ)という同性愛ストーリーがまた復活しているし,男女の入れ替わりなど,あり得ないストーリーが描かれる。筆者にとっては,もはや見る価値,読む価値もない作品群である。

 次の朝ドラ「虎に翼」では,法曹界に風穴を明けた主人公の成功ストーリーが描かれる。その法曹界で,女性判事や弁護士は薬25%ぐらいなのだそうである。全然まだ数字が低くないか。男女平等を扱う法律家がなぜ1:1の男女比率が実現できないのか,それこそ問題なのではないか。

 男女をもっとシンプルに「生物」として考えてみる--「仕事」の意義がはっきりするのではという仮定 - jeyseni's diary (hatenablog.com) (2024/3/15)で筆者は,少子化対策として子供2人以上(3人)を出産して就学させるまでの10年間は,女性が子育てに専念してもらい,10年後に企業に復帰してキャリアアップするシステムを提案した。子育て中の10年間にテレワークで仕事の一部を継続するシステムをサポートすることで,復帰後のキャリアアップを一段と加速できるのが,現在のメリットである。男性,女性がこうした安定的な社会システムがあることで結婚から子育てまでを安心して行うことで,少子化対策,経済復興,GNP回復が図れると考える。

 小説家や脚本家は,差別を容認した上でしかストーリーを書けないのではないか。つまり,差別容認者ではないのか,とまで思ってしまう。特に男女差別については,現在でも大多数の男性は女性に対して上に立とうとする。女性の多くもまだ,男性に従うことを良しとしている。難しい問題である。逆に,現在のようにLGBTQが当たり前になってくると,BL小説やBLアニメが表舞台に出ることもなく,アングラ動画配信の中だけで行き延びている。

 一般の人間にとってはまだ異常な世界である「殺人」は,サスペンス系ドラマ,刑事モノ,探偵モノ,医療モノとして展開している。しかし「詐欺」はあまりにも手口が巧妙になりすぎていて,ドラマになりにくい。一方で,正義の味方であるはずの「医者」「弁護士」「警察」が,内部抗争や政治がらみでしかドラマ化されない。実際に,不正を働く医者,弁護士,警察,政治家が世の中にいるだけに,生々しすぎる。「性犯罪」がきっかけの「殺人」というストーリーはありえるが,「盗撮」「痴漢」は,今後テーマとしてあり得るのだろうか。作家はまた飛びつくのだろうか。それとも「生成AI」とのリンクでストーリーが作られるのだろうか。

 作家,小説家は,人生の悲劇を題材にストーリーを作る。どこかに陰がなければストーリーにならないからである。