jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

メディアの数読みはまるで株価を読み上げるごとく、その無感覚感が怖い。

連日、テレビでは新型コロナウイルスの新規感染確認者数と死亡者数、重症者数が報道されている。数字の分析として、昨日から何人増えたとか、最多数を更新したとか、何曜日としては多いとか、この数を超えたのは何日振りだとか、紹介している。

 正直、不愉快である。ウイルスの被害に遭っている人は、これまでの100から0に突き落とされたと思っているだろうに、数が増えたとか減ったとかいっては、大変だ大変だと騒ぐ。まさにニワトリである。

 ニュースで数字を読み上げるのは,株価と為替相場と相場が決まっている。筆者は残念ながらこれまでのところ,この数字によって恩恵も被害も受けていない。お金を運用することはまったく苦手である。正直,「老後2000万円必要」と言われても,運用する元手もなければ所有財産もない。病気で動けなくなったり,認知症になったりしたときに,施設に入る資金などどこにもない。宝くじでも当たってくれればいいが,かつて数回トライしてもこちらにもまったく運がなく,当たった試しもない。

 最初にこの数字に関心を持ったのは,社会人になった直後,先輩から日本の英語ニュースのテレビ番組を紹介してもらった時である。英語耳を鍛えるために聞き始めた。日本での英語ニュースなので,前半は世界ニュース,後半は日本ニュースだった。話のスピードも発音もまさにネイティブ。世界ニュースは,国際情勢や海外文化に疎いため,なかなか聞き取れなかった。日本ニュースは,基礎知識があるのでなんとか単語は聞き取れた。しかし,その後ろに続く株価・為替相場を読み上げるのだが,これがただの数字の羅列なのにまったく聞き取れなかった。悔しかった。画面に表示される数字を見ながらだと理解はできるが,耳だけで聞き取ろうとするとまったくキャッチできない。目をつぶって耳で聞き取ってサッと目を開けて画面の数字と答え合わせする,という訓練を毎日続けた。半年後,数字を完璧に聞き取ることができた。その後の自分の英語ヒヤリングの自信につながったと思っている。

 為替相場は上下する。世界的な事件がなければ,ある範囲での変動で済む。一方,株価は基本的に「上がり続けること」が経済発展の指標となる。残念ながら世界恐慌バブル崩壊,そして21世紀に入ってのリーマンショック,そして直面している新型コロナウイルス禍によって,ゆっくりとした上り階段からの転落が起きる。全体的に見るとノコギリ状の値動きになる。前日比プラス,昨年比プラス,今年最高値など,過去の数字と比較して情報を伝えても,それは意味のある数字だった。

 しかし,新型コロナウイルスの感染確認者数や死亡者数を伝えて,前日より増えたとか,1日当たりの最高値だとか,1か月前に次ぐ2番めの数字だとか,情報を分析しても,まったく意味がない。この数字の分析を喜々として伝えているのが,ワイドショーである。そして素人の芸人が寄ってたかってこの数字に一喜一憂し,ゲストの専門家の医者などに答えを迫る。あるいは,答えを誘導する。これは言葉による暴力である。

 2020年の1年間の世界の感染確認者数と死亡者数の一覧表を作成した。WHOと米ジョンズ・ホプキンス大学の両方の数字を取得して表にした。数字は1年間,日々増え続けている。日本の数字ももちろん増え続けている。これが増えなくなり,1日の数字がゼロになることが,今の世界の共通の目的である。3密を避ける行動,マスクと手洗い,そして検査,ワクチン。どれが決定打になるのだろうか。

 メディアは情報を伝えることが使命である。情報の分析は,評論家がすればいい。死亡者数の前日比などの情報は不要である。新型コロナウイルス禍の数字が“大暴落”する日が待ち遠しい。