jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「今,感染しても,病院では受け付けません」と言われたらどうですか

地球温暖化がこのまま進むと,10年後の2030年に限界点を迎え,後戻りできなくなるという。そして2100年には,平均気温が現在より+4℃となるという。+4℃というと大したことがないようにみえるが,日本でいえば夏が40℃になるだけではない。北極,南極,氷河がすべて溶け,海水温がさらに上昇し,熱帯雨林が草原に変わり,二酸化炭素の吸収もできなければ,山火事も広がり放題になるという。

 こういう地球で,人類が生き残れるかどうかそのものが疑問だ。食糧がなくなってしまうからだ。すでに,それ以前に,地球上の他の生物,特に植物や動物が絶滅する。人類が生存に必要な酸素濃度も確保できないかもしれない。

 このような環境だと,宇宙服が必要になるかもしれないと書いた。最後の切り札は「宇宙服」 - jeyseni's diary (hatenablog.com) しかし,宇宙服の中を快適にするための空調用エネルギーや生き残るための酸素供給,そして生きるための食糧の確保のことを考えると,一般用宇宙服の開発だけでは間に合わない。

 この地球温暖化の阻止のことを真剣に考えなければならないタイミングで,2020年に新型コロナウイルス禍が襲った。まず目の前の敵との戦いに勝つことが優先される。

 今日1月11日時点で,世界の死者数は191万人を超えている。スペイン風邪では,世界人口18億人中4000万人が死亡,AIDSでは過去20年間で6500万人が感染し2500万人が死亡したという。結核では毎年400万人が,マラリアでは100~200万人が死亡しているという。天然痘は唯一,人類が闘いに勝った感染症だという。紀元前からあるとされているが,50年で人口が8000万人から1000万人に減少したという記録もあるらしい。

 現在の世界人口は72億人という。正直,仮にスペイン風邪クラスの4000万人が死亡したとしても,世界人口の0.5%に過ぎない。母数が大きいだけに,1人当たりの死亡の意味がどんどん薄くなっている。マラリアの被害を受けている東南アジア,AIDSの被害を受けているアフリカで死が日常の出来事になっているのに対し,先進国では感染死に対する心理的な免疫がない。日本を含む先進国で医療崩壊が叫ばれているが,開発途上国ではもともと医療体制すらない状態で,何の治療も受けられずに死んでいく子供が多数いる。

 国民皆保険を実現している日本は,医療行為を全員が受けられるため,死亡者1人を出すこと自体が問題なのである。その日本での死者数は4000人を超えた。おそらく,このほぼ全数が病院での死亡と思われる。病院で運ばれてすぐに亡くなった方もおられるが,多くは重症化して人工呼吸器やECMOの使用を受けた上で数週間から1カ月の入院後の死亡ではないかと思われる。医療崩壊を招いているのは,この手厚い治療・看護体制を取っているからである。1日あたり2000人の感染確認者で医療崩壊する日本に対し,1日あたり10万人,20万人が感染確認されている各国で医療がギリギリながら維持されているのは,おそらく感染確認されても医療機関を受診できず,また重症化しても一部の患者しか徹底治療・介護が受けられず,死亡していく人が多いからではないのだろうか。日本では法律上は土葬が許されていないため,火葬することになるが,この火葬設備にも処理能力の限界がある。欧米では,医療機関で命を救えなくても埋葬は比較的スムーズに行われるが,日本ではここでもボトルネックがある。

 現在,新型コロナウイルスに感染すると,その治療も治療に至るまでの施設での待機も,基本的に公費が使われる。第三波のここに来て,症状のない人に自宅待機をさせるケースが増えているが,ここには公費は使われない。その結果,症状が急に重症化し,病院で間に合わずに亡くなるケースが増えている。国民皆保険でありながら,医療機関が受け入れないという矛盾が生じている。これが日本の医療崩壊である。

 正直,今感染しても,医療機関が受け入れないケースが増えていると思う。ここを勘違いしている人が多いと思う。感染しないようにしなければ,医療行為を受けられないかもしれない,ということをもっと強く訴えなければ,感染拡大だけでなく,死亡者数の拡大にも歯止めがかからなくなる。同じ死亡でも,手厚い医療・看護を受けたのちの死亡と,医療から放置されたことによる死亡が,同じように語られる。前者はどうせ有名人のケースであって税金の無駄使いであり,逆に後者は貧乏人のケースであり,いわば見殺しである。死亡者数の発表の中に,入院日数というパラメーターを加えると,後者の割合がどんどん増えてくることが考えられる。

 緊急事態宣言が出ても,人の動きはあまり変わらない。首都圏だけでなく,近畿3府県,名古屋2県が緊急事態宣言の対象となることを要請しているが,これは国の税金を投入できる権利を得ることが目的である。地方自治体に,独自の予算はない。しかし,国の予算も限られている。「限定的な緊急事態宣言」は予算削減のため,というのが本音ではないのか。

 イギリスでもフランスでも,現在もロックダウンが続いている。経済はおそらく停滞しているだろう。しかし,最後の手段としてのワクチン接種を先行して進めることで,短期間での収束を勝ち取り,その後に経済を復活させる,というメリハリのある政策を打ち出している。日本はこのままズルズルと,いや一気に爆発的に感染確認者だけでなく死亡者数の急増を招くことが予想される。

 「今感染されても,病院では受け付けません」と言われたら,真剣に自分の行動を考えるのではないか。医療崩壊とは,そこまで来ているということである。だれか,このメッセージを広げてはくれないだろうか。

 【訂正】国民皆保険は世界で日本が唯一と先に書いたが,「ユニバーサルヘルスケア」として世界で約60カ国が実施しているとのこと。イギリス,ドイツ,オーストラリアも実施しているほか,後述するイスラエルでも実施されている。