jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ワクチン2回接種を管理できるのか

日本での新型コロナウイルス対応ワクチンへの取り組みを見ると,まるでお正月や節分の行事である「餅撒き」をイメージしてしまう。集まった群衆に向けて舞台から餅を撒き,これを群衆が我先に手を伸ばして奪い合う。

 だいたいこの行事を見ていると,群衆のそれぞれの心理が分類される。多くは楽しみながら順番を待って自分のところに餅が届いたらこれをありがたくいただくのだが,中には,右も左も前も後ろもと手を動かして他の人のところに撒かれた餅も取ってしまう人が必ずいる。もっと面の皮の厚い人は,手ではなく帽子や風呂敷を広げて,ごっそり持っていってしまう。決して取れなかった人に分けてあげることはない。

 また,地面に落ちた餅に対する態度も人それぞれである。もともと,地面にも落ちることを想定してお包みにしてあるのだが,落ちた餅を決して拾わないばかりか,踏みつける人もいる。大事そうに拾おうとする人を突き飛ばす人も出てくる。こうなると,楽しさは白けムードとなってしまう。

 ワクチン接種の電話予約,ネット予約は,まさにこの餅撒きと同じである。撒く側は,要するに「誰が拾っても構わない」状態である。手を伸ばした人が勝ち,ということになる。手を伸ばすことが難しい,あるいは遠慮がちになってしまった高高齢者が,予約できないことになる ワクチン接種対象者16万人に対して1900人分のワクチン--高高齢者が取り残される懸念 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/4/7。

 今回のワクチン接種のもう一つの問題点は,一定の間隔を置いて速やかに2度目の接種をすることが推奨されている点である。ファイザー社のワクチンの場合,3週間,約20日間の間を置いたあとなるべく速やかに2回目を打つことが推奨されている。1回目のワクチン接種で形成された抗体が1ヶ月程度で効き目が薄れるのに対し,20日を開けての2回接種でできた抗体は6ヶ月以上の効果があるとされているからである。

 とすると,たとえば八王子市の場合,最初に接種の予約ができた1900人は,5月には2回目を受けることが必要になってくるが,そのときに残りの16万-1900人は,1回目の接種が受けられているのかというと,まず無理なのではないか,という気がする。最初に餅を取れた人が生き延び,残りの人が飢え死ぬという不公平が生じる。

 筆者は1900人を,たとえば85歳以上の高高齢者にまず限定して,その中で受け付ける方法を提案した。また,通知番号の下1桁で順次受け付けることで受付の混乱を避ける方法を提案した。しかしこれは,1回目の接種には有効だが,この方法でバラバラに受け付けたあと,正しく2回目の接種ができるのか,というところに大いなる疑問を感じる。

 1日に1会場で100人のワクチン接種ができたとする。単純計算では,1900人なら19日で完了するので,20日後に次のワクチンが入荷していたら,続いて接種ができる。しかし,物事はそう簡単ではない。1900人がこの19日間に均等に予約をしてくれるわけではない。おそらく2ヶ月ぐらいの間にバラけて予約が入ることになるだろう。そうすると,1日当たりの接種件数が,10人しかない日もあれば150人も集中する日も出てくるだろう。また20日の間隔を空けてすぐに2回目を接種することもできない。人によっては1ヶ月以上間が空いてしまうこともあるかもしれない。すると,ワクチンによる抗体の効果が十分に持続せず,感染リスクを低減できなくなる可能性もある。

 つまりこれは,民主主義,自由主義という名の元の無管理主義,無法主義である。筆者が選挙管理方式を提案してきた ワクチン接種は「選挙投票方式」で行政が管理して実施してほしい - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/1/15。公平に,滞りなく,接種を進めるためには,接種日と場所を行政側が指定するのが適切だと思っているからだ。選挙と同様,その日に行けないのならば,“期日前接種”を市役所で受けるようにする。当日接種は100%であることが望ましいが,“投票率”50%ならあらかじめ倍の人数をその日に指定すればほぼ100%の接種率になる。ワクチンのムダもなくなり,日数のムダ,接種担当の医療関係者の時間的なムダもなくなる。

 すでに,戸籍原本や住民票をベースに国民全体を数字で把握するマイナンバーが機能しているので,正直,マイナンバーをベースに各自治体で接種順序を決め,場所と日時を決めて連絡してはどうか。自治体によって事情が異なるので,たとえば介護施設単位でまとめるとか,年齢で区切るとか,名前のあいうえお順にするとか,住民の都合によって考えればいい。施設ごとに,該当者のマイナンバーは管理しているだろうから,それを使えば漏れもない。

 ワクチン接種については,「ワクチン接種円滑化システム(V―SYS)」というのが厚労省から提供されているコロナワクチンナビ | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)。これは市民向けの画面だが,医療関係者向けには,ワクチン接種のために一日に可能な人数や施設の状況などを登録し,一日の接種数や廃棄数などの情報を入力して,毎日報告する仕組みで,ワクチン接種の進行状況を厚労省が日々把握できるようになっているようだが,いきなり不具合が起きている。しかもこれは役所が統計を取るために医療機関に日報の数字を入力させるためのシステムで,これを元に円滑に何をしようというのか,不明である。

 マイナンバーカードの登録はまだ遅々として進まないが,マイナンバーはすでに実現しているのだから,これをベースに管理しないと,おそらく2回目の接種がグチャグチャになるような気がする。せっかく健康保険証代わりに使おうと進めているのだから,1回目接種の内容の登録(日付,場所,ワクチンのメーカー名,アナフィラキシーの有無,そして問診票に記入する持病の内容など)をし,これに基づいて2回目の接種をきちんと案内できる仕組みが,いまの状況だとアナログな紙ベースでしか管理できず,かならず間違いが起きると思っている。すぐにシステムを構築すべきだろう。