jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ソーシャルディスタンシング再考2--「運転者は『だろう運転』しているだろう」と認識してクルマから離れよ

COVID-19問題で,ソーシャルディスタンシングについて考えたのが昨日のことである ソーシャルディスタンシング再考 - jeyseni's diary 2021/9/12。同じ日,後になって知ったのが,千代田区でのタクシー歩道突っ込み事故である タクシー6人死傷事故 乗客の男性「異変気づかなかった」(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース。筆者も通常使っている歩道に突っ込んだ事故である。2019年4月の池袋暴走事故もまた,筆者がよく通る道だった。もっと古い話になると,1995年の地下鉄サリン事件では,被害にあった駅を30分前に通過していた。

 電車や航空機でどの便に乗るかなどというのは,自分ではほとんど選びようがない。運転者やパイロットの不注意や意図的な事故というのは極めて少ない。2005年の福知山線脱線事故の際のスピードの出し過ぎや,1982年の日航羽田沖墜落事故のような機長による逆噴射などは,ほぼ起こり得ないパターンである。

 しかし,自動車事故は,基本的に加害者側に非がある。それが運転者の不注意によるものであったり,車両の不具合である場合もある。しかし一般に加害者側はクルマの安全装置のおかげで命が助かったり,軽いケガで済む可能性が高いのに対し,被害者側はノーガードで鉄の塊が突っ込んで来るのに成すすべがなく,死亡,重体,重傷と大きな痛手を被る。

 今朝もイヌの散歩をしているとき,同じ道路上でクルマのすれ違いがあった。筆者の常識からすると,歩行者のいる側のクルマは歩行者より手前で左に寄せて停まり,対向車が歩行者を過ぎて自分とすれ違ってからクルマを動かして歩行者をクリアしてから通常のラインに戻る,というのが一番安全な方法だと思う。

 しかし,歩行者のいる側のクルマがスピードを上げて歩行者をクリアしてから通常のラインに戻る,という追い越し型の運転もよく見かける。この場合,対向車がスピードを落として歩行者をクリアするまで待ってくれればいいのだが,対向車側はそういう譲り方をする人はほとんどない。すると,歩行者をクリアする前に左に寄せなければならなくなり,歩行者に幅寄せする形になる。

 逆に,歩行者のいる側のクルマがスピードを上げることなく前進することで,ちょうど2台がすれ違う位置が歩行者のいる位置になることもある。歩行者が思わずのけぞってクルマとぶつからないようにしなければ,接触してもおかしくないような状況もよく起きる。

 すべて,双方の運転者が自分勝手な解釈でその場で判断してクルマを運転しているために起きるパターンである。このようないわゆる「ヒヤリ,ハット」な状況は,運転者が感じるのならまだ改善される期待もあるが,歩行者が「ヒヤリ,ハット」して終わってしまい,運転者はまったく反省することもない,というのが,現実なのではないだろうか。

 3秒先の予測 - jeyseni's diary と筆者がこのブログで書いたのは,2019/9/5だった。この時は,スマホ歩きの危険性を指摘するために,3秒,あるいはせめて1秒先を予測して相手の動きを判断するススメだったが,クルマの話も以下のように記している。「時速60kmのクルマなら1秒で16m、3秒なら50mも走ってしまう。3秒後を予測するだけで、一般のクルマの事故の50%は防げる」と。

 昨日のタクシー事故は,街路樹やガードレールのある安全な歩道に暴走して突っ込むという不幸なパターンだった。しかもタクシー運転者が意識を失っていたらしいと判断された。ただ,動き出す前に下を向いて前のめりになっていたという目撃証言もある。

 筆者がイヌの散歩をする際,向かってくるクルマの運転者の顔を睨むように見る習慣が付いている。すれ違いざまに何が起こるか分からないからだ。実際,高い確率で隣の人と話をしていたり,スマホを見ている運転者に遭遇する。ヒゲ剃りをしている運転者もいる。我が家のイヌが変な飛び出しをしないとも限らないため,タバコを吸って片手運転している運転者,ヒジを窓枠に掛けて片手運転している運転者も,どんな運転反応をするのか考えると恐ろしくて,できるだけ電柱の陰に隠れたりするようにしている。逆にハンドルを両腕で抱えるように運転している運転者も恐ろしい。片腕がすべったらたちまち進路が変わってしまうからだ。もちろん,ジイさんバアさんの運転も恐ろしい。筆者の家の周りで多い軽自動車の半分は,高齢者が運転している感じである。さらに言えば,イヌ嫌いの運転者なら何をされるか分かったものではないとも考えたりする。

 クルマの場合,運転者が「だろう運転」している可能性が相当高い。相手が譲るだろう,歩行者は止まるだろう,ボールは来ないだろう,と勝手に納得して運転する。運転歴が長ければ長いほど,自分の経験則は安全だ,と思い込んで「だろう運転」をしがちである。筆者ですら,「だろう運転」をしていないとは限らない。おそらく9割以上の運転者は,ある意味での「だろう運転」をしている。すると,それが実際に事故につながったとき,慌ててしまう。通報もせずに逃げてしまう,などというのは,よほどの悪党でない限り,気が動転してしまったことによる。

 したがって,歩行者も「運転者は『だろう運転』しているだろう」と認識して,行動した方がいい。信号待ちする際は,信号機のポールの後ろに立つとか,できるだけ車道から離れるとか,いつでも動けるように構えるとかして,これもクルマという攻撃者からの一種のソーシャルディスタンシングであると考えてしまったのである。

 「すべてのクルマに自動ブレーキを付けるのが望ましい」とか,ワイドショーではコメントしていたが,それは本質的ではない。クルマだけでなく,オートバイ,自転車,そして歩行者ですら,衝突事故は起こる。避けた側に突っ込んでくる,という不幸な結果がないわけではないが,適切なソーシャルディスタンシングを意識し,身をひるがえして少しでも被害を防ぐ反射神経と運動神経は,常に意識しておいた方がいいかもしれない。

 ちなみに,ここのところ流行りのように報道されている逆行走行は,普通に運転している側が被害者になる。双方が近づくのだから,3秒先の予測では事故につながる。高齢者ドライバーが増える中,こちらもロシアンルーレット状態にある。