お正月明けに,いろいろな情報収集をしている中で,筆者がエネルギーの本命とした水素エネルギーについてのWedgeの記事を見つけた いよいよ始まった水素戦略の大競争時代 日本よ、出遅れるな WEDGE Infinity(ウェッジ) (ismedia.jp) (https://wedge.ismedia.jp/
筆者は,赤道ベルト地帯で太陽エネルギー発電をし,その電力で水素を作り,その水素を運搬する方法を考えていた。これはドイツのモデルである。ドイツはすでに原発は不採用の方針なので,水素は輸入に頼る必要がある。日本も小型の原発を作るのは難しいので,ドイツモデルの採用となり,高いコストの水素になる,というのである。
小型原発の電力で水素を作って利用するというのは正論である。しかし,筆者は以下の理由でこの方法は間に合わないと考える。つまり,小型であろうがなかろうが,原発は整地から始まって,基礎,建屋,発電設備のすべてを作るのに5年かかり,その間,電力の供給はおろか,消費ばかりして,1mLの水素も作れない,という欠点がある。一方,太陽エネルギー発電は,太陽電池の場合はパネル1枚から発電が始められる。必要なパネルが数万枚になるとして,たとえばパネル1000枚の時点でも水素の製造は開始できる。つまり,半年で水素の供給が始められるのである。この規模を段階的に増やすだけで,5年後には順調な供給が進んでいる。原発の場合は,ようやく稼働試験ができる段階で,さらに本格的な発電には1年を要する。
要するに,理想論はもうたくさんなのである。日本には原発の技術者はもういない。いたとしても,廃炉の人材が必要な現在,新しい原発を作ることはできない。ならば,別の再生可能エネルギー,つまり太陽エネルギー,風力エネルギーを使って水素の形で蓄える「蓄水素」と水素を燃やして発電する「水素燃焼発電」を中心に持ってきて,そこに電気自動車などのインフラをつないでいく,という構図を早く固めて取り組むべきだろうと考える。小型原発を作るのは,核燃料の処理施設と技術を持つフランスだけでいい。原子力技術者がいなくなった日本で,何もフランスの真似をしなくてもいい。