jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

福袋の転売に乗らざるをえない日本の貧困

年始のデパートの恒例行事である「福袋」。バブルの頃までは年々中身が高額になり,高級車やマンションといったものまで対象となった時期があったが,昨今もブランドモノを中心に根強い人気らしい。筆者は,親が昔のデパートで買った福袋に気に入った服が入っていなかったためガッカリした様子だったのを何となく覚えていて,「どうせ売れ残りを処分するためのお楽しみ袋さ」という思い込みが強いので,自分では買ったことがない。自分が必要なものはちゃんと買おうと思っているからである。

 ところが昨今は,どうもモノの流れが変わってしまった。たとえばブランドモノの福袋。通常買う価格の半値ほどで買えるとする。しかし,福袋の中身がどういうものであっても,買った本人には関係ない。転売目的で買うからである。

 一時,デパートの店先で互いに中身を交換しあうという風景があった。女性同士という風景で,気に入らない商品を持ち帰らなくて済む合理的な解決法かな,と思っていた。

 今や,ブランドモノはブランド名が付いているという理由で,転売の対象になる。福袋の中身は未使用品だが,仮に中古品としてもそれなりの買取価格が付けば,転売の対象になる。売り先も,専門の買取業者からメルカリなどの転売サイトまである。業者で値がつかなければ,メルカリで素人相手に高値で売却する道も開けている。ブランドモノだけでなく,家の中のモノの断捨離にも使われるメルカリへの抵抗感は少ない。

 さらに,ここに来て買取業者に中国人が絡むケースが増えてきているようだ。多いのは家電製品の福袋。たとえば1万円の福袋を並んで買わせ,これを1万2000円で買い取る。買い取った商品は,中国本土に持ち込み,元値の数倍で売りさばいて利益を出す。仮に,福袋の中身が販売店の在庫処分品であったとしても,販売店は在庫処分とギリギリの利益,購入者は1回2000円のアルバイト,そして買取業者はその数倍の売却益を得るという,いちおうすべてWin-Winの形である。

 しかしこういう転売は,モノの生産者からすると悲しい現実である。生産者は,時間をかけて設計し,製造し,そして改良を加えて,消費者にとって最良の製品を生産し,これに自分たちが食べられるだけのわずかな利益を加えて販売し,喜んでもらっている。これが生産者の生きがいである。

 しかし転売は,違法ではないかもしれないが,モノを右から左に動かすだけで中間マージンを取って利益を得る。これを「頭や知恵を使った稼ぎ方」と見るか,アングラと見るかは人による。しかし,同じ国の中で行われるならともかく,外国人の口車に乗って小遣い稼ぎをしているように筆者には見える。そこまでしないと貧困で生きていけなくなった日本人がいることが悲しい。

 他にも,中古本を買ってネットで転売する“せどり”も横行している。中には,ネットショップで新本を購入後,在庫切れを待って高値で出店して荒稼ぎする個人もいる。本来,書籍は再販制度によって価格が守られているはずなのだが,ネットショップだと「未使用中古品」という扱いで無法地帯になってしまう。

 2年前のマスク1箱1万円販売にしても,本体価格は1000円で送料9000円といった設定が平気でできることを悪用して転売が横行した。特にAmazonは物量作戦で勝手気ままにルール破りをしていると感じる。Amazonのおかげで在宅ワークも快適なのであまり文句は言いたくないが,横暴だな,と感じることも少なくないし,日本がうまく乗せられているようにも感じる。