非常用電源について,いつも考えてきたのだが,ガソリン式発電機もプロパンガス発電機も,騒音と排気ガスの問題があるために,今ひとつ踏み切れないでいた。過去のブログは以下。プロパンガス発電機(低圧LPガス発電機)も検討中 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/9/19。
そこに突然,非常用バッテリーが浮上してきた。もともとバッテリーは,短時間の停電に対する一時しのぎ程度しかできないと考えていた。持っても1日。特に冷蔵庫やエアコン,炊飯器などの大型家電には電力が足りない。一晩ぐらいのLED照明であれば,クルマのシガーソケットから電源を取れば何とか使えるだろうと思っていた。
キャンピングカーなどアウトドアの電源として,大型バッテリーは以前から発売されていたが,出かける前日に満充電し,翌日,車載用冷蔵庫を動かしてキャンプ地まで行けば,あとは火も使えるし,それほど電力を使うわけでもない。スマホのも事前に充電しておけば,わざわざ現地でバッテリー充電することもない。
大型バッテリーは,野外で大型の太陽電池パネルで充電できる,というのもウリの1つなのだが,そもそも晴天の日に朝から太陽電池パネルを広げて充電のおもりを続けていたら,せっかくキャンプに来ている意味がない。災害時に昼間充電して夜の照明に使うという場合でも,それほど大型バッテリーが必要というわけでもない。災害時に呑気に大型テレビを一日中見ていることもなく,エアコンが使えるわけでもない。
また,大型バッテリーを販売しているメーカー名も一般的には聞き慣れない。Jackeryというメーカーが,キャンパーのブログなどではよく登場する。同じく太陽電池パネルも販売しており,たとえば2系統の太陽電池パネルを接続して,半分の時間で充電完了させるといった,使い勝手の良い製品も提供している。しかし,本当に数日間をキャンピングカーで過ごし,電源が取れないような場所を選んで旅をする,という人には役に立つが,実際,オートキャンプ場では電源も水道も接続できるから,大型バッテリーの出番はほとんどない。今はやりのお一人様キャンプだと使えるかもしれないが,今度は大型バッテリーの重さがネックになってくる。10kgぐらいは平気であるからだ。
キャンプ用なら,出かける前日に満充電すれば問題ない。しかし,防災用はそうは行かない。災害が起こる前日に災害を予測して満充電にしているわけに行かないからである。しかし,バッテリーはどうしても放電する。定期的に補充充電をしていると,バッテリーの寿命が短くなる。かと言って,AC電源に常につなぎっぱなしにしていても,放電と充電を繰り返すことになり,やはり肝心のときには十分な容量を保持できない可能性がある。
今回,食指が動いたのは,メーカー名がAnkerだったことが一番大きい。筆者はこのメーカー名を知らなかったのだが,息子がアメリカに留学していたときに,モバイルバッテリーやスピーカー,ヘッドホンなど音響関係では実績があった。大型バッテリーにおいても,出力電圧のクオリティは問題ないと思った。搭載しているリチウムイオン電池も,劣化の少ない最新型ということだった。またAC電源につないだ状態で機器に出力しながら充電できるパススルー充電ができる。
限定台数の割引が魅力的だったのも,決め手となったのは言うまでもない。プロパンガスやカセットボンベタイプが20万円,ガソリン発電機が10万円,大型バッテリーも10万円ぐらいが相場だった中で,割引を含めて5万円は,十分投資の価値がある。完全に数日以上の停電をカバーすることはできないが,1日の冷蔵庫キープ(断続的な使用を想定)や,石油ファンヒーターへの点火電源の供給ぐらいまでは可能な容量と判断した。停電が数日続くような災害が来ないとも限らないが,そうなったらもう避難所へ直行というレベルと考えられるからである。
今後,EV車を導入した場合,この電源容量が50倍ぐらいに増える。家中の電気を普通に使っても,3~4日は使えるからだ。今回の大型バッテリーの導入は,それまでのつなぎかもしれない。筆者がEV車に乗るのが先か,筆者が地球温暖化による大災害に見舞われるのが先か,まあ水素エンジン推進側の筆者としては,どちらにも遭遇したくはないのだが,まだまだ非常時への備えが進んでいない現時点では,飲料水,食料(一部),カセットボンベに次いで,モバイルバッテリー以外のある程度の動力向け電力の確保(一部)ができたことになる。少し気が楽になっているのは確かである。