かつて,経団連会長を務めた土光敏夫氏は,業界団体として経済再建を率いた。現在,エネルギー問題に具体的に取り組んでいる豊田章男トヨタ自動車CEOが,正直言えば今の日本をもっと引っ張っていける立場にあることが望ましいと筆者は考えた。
世界中の工場で,1日1万台以上ものクルマを作る同社である。たとえば,臨時病棟としても使えるミニバス(コミューターバス)などをどんどん作っていただくアイディアはどうだろうか。
ミニバスの外装はそのままに,内装にベッド4床を置く。このミニバスを10台,駐車場に並べれば,40床の臨時病棟ができあがる。天井もあるので,どこでも置くことができる。
電力供給と空調は基本的に外部から供給する。万が一,停電があっても自分でエンジンを持っているので自家発電で急場を凌げる。
COVID-19が無事終息すれば,十分なメンテナンスをして通常のコミューターバスに再利用すればいいし,そのまま緊急応援用の救急車に転用してもいい。海外で病床を必要としている国に持ち込んでもいい。何しろ,港まで持ち込めばあとは自走できるのもメリットである。
どうせなら,実験中の水素エンジンをどんどん搭載して出荷してはどうだろうか。自家発電中も有毒ガスを出さないというメリットを紹介できるし,各地で水素ステーションのニーズが高まる。地球温暖化停止とCOVID-19終息の双方の効果を宣伝できる。
筆者は,オール電気自動車には懐疑的である。今,日本ができることを考えてみた - jeyseni's diary 2021/5/3。バッテリーが足りなくなること,バッテリーの再利用技術が確立していないこと,バッテリーに必要な希少金属が国際紛争の種になっていることなどである。
発電分野では,水素燃焼発電をメインエネルギーとする提案 - jeyseni's diary 2021/8/10 と提案した。クルマも,水素エンジンメインでいいように思える。
災害時に電気自動車を使うアイディアは,以前紹介した 災害時の電力と熱源の確保について - jeyseni's diary 2020/7/11。日産のリーフだと,家庭用の電力を4日間まかなえるらしい。しかし,そこで終わってしまう。ミニバスのサイズは幅2.1m,長さは6mを超えるので,さすがに自宅の駐車場には置けないのが欠点だが,災害地域の小学校のグラウンドに並べて,テント村代わりに使えば,テントよりは快適な仮住まいができるように思える。
キャンピングカーでもいいじゃないか,という意見もあるが,キャンピングカーは決められたスペースに最大限に設備を詰め込むための工夫が必要なため,改造や流用ができない。また,大手カーメーカーが製造しておらず,改装車として手作りされることから,コストパフォーマンスが悪い。トラックがベースとなったりしており,ガソリンやディーゼルなどの旧型のエンジン車でしか製造できず,個人ユース以外の転用が効かない,などの理由で,却下した。
ワゴン車というアイディアも考えたが,2床を入れるには厳しく,また天井高も限定的なので,スペースパフォーマンスに問題があると思った。1床でハイルーフなら,まさに救急車と同じだが,設置型には向かない。ということで,「ミニバス推し」ということになる(マイクロバスだと,重量が重くなるため,水素エンジンでは非力の可能性があると考えた)。
モノづくり,エネルギー問題対応で活躍いただくとともに,決断力のあるリーダーとして日本の21世紀を引っ張っていってもらえないものか,という期待もある。CEO兼務で政治を動かせるような発言を期待したい。