jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「水素燃焼発電」のマイナス面とgoodニュース

水素燃焼発電をメインエネルギーとする提案 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/8/10 と書いてから,水素燃焼の問題点を追加しておきたい。それは,燃焼温度が高くなることによるNOx(窒素酸化物)排出問題である。

 水素燃焼発電はLNG燃焼発電と似た構造で実現できるようである。ところが,燃焼時の温度がより高くなることから,空気と混合して燃焼させた場合,NOxの排出量がLNG発電より多くなることが問題点として指摘されていた。

 NOxはいわゆる「排気ガス汚染」系の問題であり,目の痛みや喘息など,人に対する害がある。ディーゼルエンジンが問題視されたのも,1つは軽油燃焼時におけるスス(炭素微粒子)による排気ガスであり,もう1つが高温燃焼時に発生するNOxだった。ススは,燃焼後に高温セラミックマフラー内で燃焼させるクリーンディーゼルで解決できたが,NOxおよびCO2の排出は抑えられず,大きなトルクを必要とする大型車以外からはほぼ消えつつある。

 この水素燃焼時のNOx発生を抑制する技術を,川崎重工業が発表している news_200721-1.pdf (khi.co.jp)「世界初、ドライ低 NOx 水素専焼ガスタービンの技術実証試験に成功 〜水素社会の実現に向けて水素発電の性能を向上〜」2020/7/21。水素を燃焼室に吹き込む際,シャープペンシルの先ほどの細いノズルから吹き出すことで外壁まで熱が伝わるまでに完全燃焼させるのだそうだ。水素燃焼発電の1つの問題点を解決する方法だと言えるだろう。

 このほか,2021年11月に入ってなぜか三菱重工業もテレビCMで水素燃焼発電への取り組みをアピールしている。かつて戦後の日本の経済復興から急成長を支えた重工業企業が,エネルギー問題,地球温暖化問題で再び活躍しようとしているのを見ると勇気づけられる。

 日本では,東日本大震災後の復興事業の1つとして,福島県に「福島水素エネルギー研究フィールド」が2018年から建設を始め,2020/3/7に完成した 再エネを利用した世界最大級の水素製造施設「FH2R」が完成。ここでは,太陽光発電などの再生可能エネルギーを使って水を電気分解して水素を製造する。新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO),東芝エネルギーシステムズ,東北電力岩谷産業と,これも日本のエネルギーの中心を担うチームである。

 水素の問題は,H2という気体の状態で地球上に存在できないことである。水の電気分解のように,エネルギーを与えなければ得られない。ここに火力発電などのエネルギーを使っては元も子もないので,太陽光発電などを利用する必要がある。日本では効率よく水素を得るためには課題も多いため,これも輸入に頼る必要がある。水素の輸送は,液体水素にするのが一般的だが,液体水素は-252.6℃が沸点でLNGの-160℃や液体窒素の-192℃よりもさらに低い温度にする必要がある。

 現時点では,「圧縮水素」に利点があると思われる。豪州企業が「圧縮水素船」を開発へ 日豪で進む液化水素の輸送計画にない圧縮の利点とは(Merkmal) - Yahoo!ニュース 2021/11/1 というニュースがあるので,ぜひ参照されたい。

 大容量の水素燃焼発電所も早く開発してほしいが,イメージとしては現在のプロパンガス50kgボンベを家庭に配達している感覚で,水素ボンベを多くの家庭や事業所に配達し,そこでミニ水素燃焼タービンで自家発電する分散型発電システムも構築してほしいのである。

 災害時にいわゆるライフラインが切断されて最も困るのが電気である。電気,水,ガスの中では一番早く復旧するのが電気だが,1日停電すると冷蔵庫が役に立たなくなる。非常時の備えをいろいろと考えており,プロパンガス発電機(低圧LPガス発電機)も検討中 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/9/19 と最近も書いているが,問題はCO(一酸化炭素)が大量に発生することである。ガソリン式の発電機よりはメンテナンスが楽だが,騒音とCOの問題があり,なかなか踏み切れない。プロパンガスと同じような供給体制で水素ガスが供給できてそこで発電できれば,COの問題はあまり気にしなくてよくなるかなと思うのである。

 ただこれも騒音の問題や排熱の問題があるかもしれない。もう少し研究の必要はありそうである。