jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

知床観光船事故での初動の遅さの原因を再確認

2022/4/25に知床半島沖で沈没した知床観光船事故で,観光船と海上保安本部の間の交信記録が6/2になって公開された。時系列でまとめてみる。

13:13 118番への最初の通報。KAZU Iの無線(アマチュア無線)を聞いた別の運行会社が海上保安本部に連絡。沈没しそうなこと,カシュ二滝の近く,という情報。

13:18 KAZU I から乗客の携帯電話を使って118番通報。船首が沈んでいること,エンジンが使えないこと,乗客10人(実際は24人),という情報。

13:47 知床遊覧船関係者からの通報。ヘリでないと間に合わない,という情報。

16:30ごろ,現場にヘリコプターが到着。

実際に海中に沈んだのは,14時過ぎぐらいと考えられている。

 さてまず1つは,この情報公開が,報道機関からの情報公開請求によって初めて開示されたことである。事故から1ヶ月以上経過し,船体の引き上げも終わったあとにようやく開示された。事件なら被害者のプライバシー保護などの理由で情報開示が止められてもやむを得ない場合が多いが,今回は事故である。いち早い情報開示によって,あらゆる情報収集手段を活用すべきではないのか。海上保安本部が「情報隠蔽」を行っていたのではないか,と勘ぐりたくなる。

 実際,船舶の監査で,GPSなど装備すべき装備品がなかったり壊れていたり,違法なアマチュア無線機を使っていたり,そして船室の隔壁に意図的に穴が開けられていたりしていたことを,直前の国土交通省の監査でも見過ごされていた。役所側が情報開示を渋った理由が見え隠れする。

 事故現場とされるカシュニ滝と網走市の間は直線距離で約60km。海岸に沿って100kmあったとしても,通常なら30分もあれば到達できると思っていた。ところが,報道用ヘリコプターが配置されているのはどうやら札幌丘珠空港だけで,それも1機しかないらしい。札幌から知床半島までは350kmもある。すぐに飛ばしても3時間はかかることになる。ヘリ到着が16時30分ごろとなったのも,やむを得ないのかもしれない。セスナ機でも2時間はかかるようだ。

 荒れ模様の日だったため,漁に出る漁船や観光船もほとんどなかったようだ。陸路も半島の真ん中ぐらいまでしかない。いまさら言っても遅いが,遊覧船で行くところではなさそうである。秘境に行くには,それなりの覚悟と装備が必要だからである。

 やはり,防衛目的も含めて,気象衛星ひまわりの後継機として超高解像度カメラを搭載した人工衛星を打ち上げる必要があるのではないかと改めて思う。