jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

記者会見も国会もテレビ中継はなくした方がいい--「記者の質」も「議員の質」も中継に値しない

筆者も記者時代は多くの記者会見に出席したが,幸か不幸か,政治部や社会部ではなかったので,非常にテクニカルな真摯なやり取りがされていた。他誌の記者が技術的にものすごく深いところまで突っ込む様子を見て,こちらも勉強しなければな,と思ったりしたものである。
 さて,ジャニーズ事務所記者会見は,基本は社会部ネタである。政治部もそうだが,たいていはメディアが正義の騎士になったつもりか,会見開催側を追及し,吊るし上げる側に回る。だいたいが,会見開催側が権力側であり,隠しごとをしている可能性が高いからである。

 同じ質問を繰り返すことも珍しくない。「もう一度確認しますが,」と言っては何度も同じ質問を繰り返す。そのうち相手がイライラしてボロを出すのを目的とした手法でもある。会見側が記者を嫌がる理由の1つにもなっている。

 同じネタでも,メディアによって書き方はいろいろである。ストレートに書くメディアもあれば,曲解して逆張りのストーリーに仕上げるメディアもある。悪意むき出しの記事になることもある。記者会見でも,会見側に食いつき,食い下がるのは,たいていは後者のメディアの記者である。

 どの記者会見でも,1社1質問で順番にマイクを回していくというのが暗黙のルールである。どの社も,それぞれの立場で聞きたい内容は違うからである。メディア同士,お互いの立場を尊重しているのである。それが記者同士の礼儀でもある。これを守らないで,延々と自説を述べる記者もいれば,マイクを手放さずに何問も何問も質問を繰り返す記者もいる。同席した他メディアの記者も迷惑に思うものである。

 そもそも,記者会見がなんでもかんでもテレビ中継されるのはいかがなものだろうか。おめでたい発表ならばいいが,どうせ何らかの問題があるような会見では,問題を炙り出そうとする記者がいてもおかしくない。それをテレビ中継や動画中継すれば,偏った情報が発信される可能性も高い。テレビメディアなら,収録して編集してから放映すればいい。さすがに今回問題になったような記者の発言部分などはカットして流すだろう。逆に動画メディアは,さらに尾ヒレを付けて煽り立てるのかもしれない。

 官邸や警察などの記者クラブでは,動画メディアの記者は参加できていない。1つのルールが守られているからであり,動画メディアが加わることを良しとしていない。

 逆に,かつて佐藤栄作氏は首相時代,記者会見場から新聞記者を追い出し,テレビ中継だけを行った。自分の話すことをそのまま国民に伝えたいという意図だった。新聞記者は発言の一部だけは書くが肝心の伝えたいことを書かないという不信感があったからだという。

 今回の記者会見は,会見側も記者側も,正直言ってタヌキであり,化かし合いである。事務所側も真実は言わないし,記者側も悪意に満ちている。情報をさらに煽るのが使命と思っている動画メディアも会見に加わっている。そんな記者会見を,テレビ中継するなど,最初から間違っているのである。

 逆に国会中継は,最初からまったく噛み合わない議論をテレビに流しても意味がないし,しかも議論しているのは1対1だけで,周囲の数百人の議員は議論に加わるわけでもなく,たまにヤジを飛ばすか,居眠りをしている場面が中継される。「議員の質」が暴露されてしまい,国民の信頼を失いかねない。あえて中継する必要はないのではないか。