jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

自治体は避難所用の「避難テント」の準備を--台湾地震に学べ

2024/4/3に台湾で起きたマグニチュード6.0の大地震。日本ではいち早く,沖縄や宮古島などに津波警報が発令された。津波は最大で30cmで,被害はなかったが,台湾では東海岸を中心に9階建てビルが大きく傾くなどの被害が出た。道路の寸断で数百人が孤立した地域もあるが,概ね都会での地震被害だったようで,避難所開設もスムーズに行われたようである。

 中でも,体育館のような避難所で地震から3時間後には四角いテントが館内に並べられ,プライバシーが守れる形で避難者が避難していた光景には,驚かされた。

 日本でも,東日本大震災の教訓で,段ボールパイプを組み合わせてパーティションを作る仕組みが開発されたり,段ボールベッドを常備する避難所が増えた。しかし,セットアップには数十分もかかる段ボールパーティションよりも,この「避難テント」なら1分でセットできるという。プライバシーを守り,隙間風も防げ,さらに感染症の拡大も防げる。まず落ち着ける場所を確保し,そこを拠点に食糧の配布,持ち物のチェックなどができる体制が取れるこの仕組みは,見習うべきではないだろうか。

 専門業者のサイトでは,1台が5万円ぐらいである。能登半島地震をきっかけに注文が殺到しているという。Amazonだと1万5000円ぐらいでも入手できる。個人が自宅用に買うモノではないので,避難所を運営する自治体が,避難スペースに合わせて何セット用意すればいいか計算して,予算取りしてはどうだろうか。たとえば,小学校の体育館なら,50セット,200人を収容できる。費用は最大でも250万円ということになるが,段ボールパーティションは再利用できないのに対して,避難テントは繰り返し使える。

 自治体が用意する以外に,自衛隊が常備しておき,被害地に至急で供給する形を取ることもできる。上記の10倍,500セット,2500万円を,使いまわしできれば,避難者のQOL(Quality of Life)は一気に上がる。あらかじめセットしておけば,場所の取り合いになることもない。受け付け順に配置すればいいだけである。

 筆者の家には,屋外用のドーム型テントが1つある。阪神淡路大震災を経験した兄が,プレゼントしてくれたものである。それからまだ一度も使ったことはない。屋外用のテントの場合,常に雨風にさらされ,温度をきちんと管理できない。床の防水も確保しなければならない。緊急用としてもらったものだが,基本的にはレジャーキャンプ用である。ただ寝るだけを目的としたテントであり,災害時にここで何日も暮らすということは想像できない。ならば狭くてもクルマの中で寝ることを選ぶだろう。

 体育館などの避難所は,暖房や冷房は難しいが,少なくとも雨風を防ぐことができる。四角い避難テントであれば,何となく部屋の中にいる気持ちになり,落ち着くことができると考えるのである。

 能登半島地震で,避難テントは見かけなかった。屋根ありの段ボールハウスの設置のニュースはあった(災害避難所に屋根ありのダンボールハウスを設置--生活のQOLが上がり,意欲も湧くこと間違いなし - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2024/1/25)。それでも,施工の容易さ,再利用しやすさからみれば,避難テントの方が賢い選択だと思った。

 テントにしても,水や電気,食料の確保にしても,個人では限界がある。避難所という拠点で一定以上のQOLを確保するための方策を,至急考えるべきだろう。ちなみに,筆者宅の地震時の指定避難所は公園である。水や食料は倉庫に確保されているとしても,建屋がないので雨風をどうやって防げるのか,かなり不安に思っている。屋外用テントをいくら作ってくれても,暑さ,寒さ,雨風に対しては屋内の方がはるかに有利だからである。