jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

【医療提供体制】⑥-3 検査陽性者の療養状況---このグラフを公表すべきではないのか

新型コロナウイルスの感染拡大が,日々の感染確認者数の報道で数字にマヒしている。感染確認者数が増えたり減ったりすることに一喜一憂して,ここ数日のように減り始めると,「まもなく緊急事態宣言が解除されるのでは」という期待を引き出そうと躍起になる。

 30年ぐらい前は,「交通戦争」と呼ばれ,交通事故で亡くなる方が年間1万人を超えた。現在は3000人ぐらいに減った。取り締まりの強化や自動車の安全性能の向上によるものだろう。解決策があっても交通事故はゼロにはならないが,亡くなった方の家族や勤め先以外で影響を受ける人たちがいるわけではない。加害者も基本的には保険で弁償すれば済み,次々と刑務所送りになるなどということはなく,免許証は取り上げられても普通の生活を送ることができている。

 ところが,新型コロナウイルス禍の厄介なのは,感染確認者の数字とは別に,医療への影響が甚大であることだ。提供できるベッド数,対応できる医療従事者数はキャパシティが限られているのに,患者として次々に入院依頼が入る。2021/1/29に処置判断待ちの人数と,待機中の死者数の数字を出すべき段階 - jeyseni's diary (hatenablog.com) とブログで書いたが,この医療崩壊寸前,あるいは実質的な「満員」状態が把握できていないことにもどかしさを感じていた。

 これに対する方法として,一覧表で示される入院数などの数字を日々入手して,自分で統計を取るしかないかもしれない,と思って,数字の履歴を調べているのだが,デイリーに発表されるだけでアーカイブが見つからない。

 その中で,説得力のあるグラフを見つけたので,紹介しようと思う。グラフの著作権はあるかもしれないが,ここに添付することにする。

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東京都で2021/1/28に行われたモニタリング会議で示された【医療提供体制】⑥-3 検査陽性者の療養状況 

 Web上では,

最新のモニタリング項目の分析・総括コメントについて 東京都福祉保健局 というページで見ることができる。

 ここに,もう一つ必要なのは,「確保ベッド数」を横線で入れることである。

 現在東京都で確保されているベッド数は,2021/2/1に200床増やして4900床になっている。その線を引いたとしても,その線より上に2020/12/15以降,デイリーの感染者が増えていることがわかる。

 実際,施設療養者数もほとんど増えないし,入院者数は二度めの非常事態宣言が出た2021/1/7ごろをピークにほぼ横ばい状態を続けている。自宅療養者数,調整者数が激増し,病院のベッド数のキャパを一気に超えたことが見て取れる。

 この2021/1/28のモニタリングの段階でも,感染確認者数は減少傾向がみられるが,自宅療養,自宅調整の数が相変わらず4000人を大きく上回る。最新の2/1の感染確認者数が393人と「解除の目安となる500人を切った」とお祭り騒ぎをするワイドショーだが,ワクチン接種もなく,集団免疫もない状態で,ここで解除したらまたどうなることかと考えると恐ろしい。

 すくなくとも,提示したグラフの療養状況で,調整中の人数がゼロになることと,自宅療養中のモニタリング体制が確実にできるようになるまでは,解除は考えた方がいいというのが,筆者の考えである。

 緊急事態宣言は継続するにしても,飲食店に対して「お1人様食事はOK」「アルコール提供はなし」という条件で営業再開していただくことが,経済との両立を図るベストな手段だと思っている。いわゆる「個食」であり,食事中の会話なしで営業ができる。

 それでも,マスクを外して食事している間にくしゃみが出ることもあるだろうし,鼻をかんだりもするだろう。席で電話をする人も出てくるかもしれない。パーティション,換気,拭き取りなどの対策は必要だろう。

 紹介したグラフに,さらに重症者の入院数がわかるように分けることと,グラフの下側に「退院数」も表示した方がいいと考える。実際,ここ数日は新規感染確認者数を上回る勢いで退院数が増えている。残念ながらおそらく「10日間の経過観察」を待たずにPCR検査が陰性になった時点で退院を余儀なくされているケースが増えているのではないかと想像するが,とにかく飲食店以上に「回転」させなければ,確認中の人を受け入れることができず,自宅で医療行為を受けることなく亡くなるケースがまだ引き続き増えると懸念しているのである。

 さらにこのグラフの中に「自宅で亡くなる方」の数字を書き込みたいところだが,さすがに母数の多さの中でかき消されてしまう。別途,状況を実数で提示してほしい。また,これまでのデイリーの数字を一覧表で閲覧できるサイトがあると,より正しい判断の材料が提供されるのではないかと考える。東京都の職員の皆さんも大変かと思うが,重要な情報なので頑張ってほしい。