jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

遅い!遅い!(もう遅い?)

トリアージュという言葉を意識して聞いたのは,東日本大震災後だったように思う。大災害が起きたとき,ケガの程度で処置の等級づけをして患者にラベルを付けて視覚化し,効果的な医療処置ができるように配慮することである。「選別」という意味のフランス語triageに由来するという。

 災害時に出てくる言葉だが,実は戦争のときの野戦病院で使われる。命が助からないと選別された兵士は,それ以上の処置をせず,命が助かる兵士に医療処置を集中させる。トリアージュというのは,そういう命の選別をすることである。医者,看護師,そして機材など,医療資源に限りがある場合,この選別はやむを得ないとされている。

 新型コロナウイルス禍において,各国で医療ひっ迫から医療崩壊を招いている。日本でもいよいよ医療崩壊が始まった。2021年1月7日から始まった2回目の緊急事態宣言から3週間が経過した今,東京での1日あたりの感染確認者数は最大だった1日2000人超から1000人前後と少し減ったように見える。しかし,自宅療養を言われるならともかく,自宅で待機,療養施設探しや病院探しでのたらい回し,PCR検査の順番待ちなどが起きている状況は,今の感染者数ではさらに状況の悪化が加速するだけである。施設,病床を増やすことができていないからである。

 これは暗黙かつ実質的なトリアージュである。つまり,医療・治療を受けられるかどうかについて暗黙のうちに線引きがされているのである。石原伸晃議員が無症状で入院できたのは,持病の主治医が強力なコネで入院病床を確保したからだろう。受け入れる側も困惑しただろう。そこにお金が動かなかったという保証はまったくない。やはり貧乏人と特別待遇者の格差が如実に表れていると思う。

 緊急事態宣言後,10日間で1000床を確保せよと提案した。公立病院に「新型コロナウイルス専用病棟」を10日で作る - jeyseni's diary (hatenablog.com) 今,筆者の家の近くで,2階建ての新しいビルの建設が行われているのだが,これがもう3カ月近く経つのにいまだに1階部分のコンクリート打ちをしているような状態で,いつ完成するのか見えない。こんな頑丈なものを作れと言っているのではなく,良くてコンビニエンスストアクラスの箱を作ればいいと言っているのである。

 最悪,コンテナハウスを並べてもいい。また某住宅会社のように,箱を工場で量産しているのなら,それを並べてもいい。作業場によくあるプレハブ事務所でもいい。とにかく,ベッドを分離して並べられ,患者の血中酸素濃度モニターができるような仕組みを入れれば,助かる命が助かると思うのである。

 1/15に病床増加を提案して1カ月も経ってしまったが,結局新規の病床は一つも増えていない。これではハード面での医療崩壊がまだまだ悪化すると思うのである。

 ワクチン開発(できていない),ワクチン製造(していない),特効薬開発(資金がなくてできない),病床(増やしていない),感染モニタリング(無能なcocoa)など,日本ではどれも機能していない。情報の把握も遅いし,補助金申請への対応もすべて手作業で,対応が間に合わずに倒産したケースも多いのではないか。

 中国ではいま,北京市近郊で数人の感染確認者が出た段階でロックダウンが行われている。市民全員にPCR検査の指示が送られ,おそらく10日間以内に検査が行われるだろう。2019年末の最初の感染拡大の阻止の段階で,秘密主義,ことなかれ主義で対策をしなかったというツケを払拭するために,その後の対応は人海戦術と国民全管理体制の下で厳格に進められている。北京への感染拡大防止は至上命令。2022年2月の北京冬季オリンピックを実施するためだという。東南アジア諸国へのワクチン外交も,先の対策遅れの挽回策と言われている。

 社会体制が違うとはいえ,このスピード感が今の日本には全くない。北朝鮮のミサイル実験が頻発してから,防衛設備の議論を始め,米朝会談が行われている最中もまだ導入の議論が続き,導入が決まったと思ったら設計ミス,設置場所の再検討,予算見直し,と右往左往している。筆者は,平成から令和に移った2019年5月の時期や,政権交代で首相のいない2020年9月に,騒動が起きるのではないかと冷や冷やしていた。何しろ首都東京はさすがに狙わないとすると,そこから少し外れたところは筆者のいる辺りになるからだ。

 自然災害は防ぎようがないかもしれないが,建設から50年も経過した堤防の決壊は予測できたのではないか。また,現在のようなテレワーク推進で電力需要がひっ迫しつつあるが,突然,電力供給が遮断することは考えられる事態である。電気を確保したいと常日頃,検討を続けているが,地球温暖化を加速する火力発電所に頼った電力供給に勝る妙案が今のところ見えない。非常用電源として検討しているものも,結局は小型のガソリン発電機しか実用性がないのだが,これがまた取り扱いや保管が不便で,しかも騒音がひどくて,どうしようもないシロモノらしい。

 地球温暖化のターニングポイントは2030年と言われているようだ。この10年で効果を出せなければ,暴走の歯止めが効かなくなる。新型コロナウイルス禍は,ひょっとしたら人間の行動の見直しのいいチャンスかもしれない。目の前のさまざまに遅れている対策をとにかく動かして現状回復するのと同時に,地球温暖化防止に向けた人の行動規範を世界的に見直す議論を始めなければならない。他の生き物も死滅する。森も死滅する。何かのコミックではないが,地球全体が海になってしまう,ということが起きないとも限らない。速やかな行動開始を考える時期に来ているといえよう。筆者もまた思考してみたいと改めて思いなおした次第である。