jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

処置判断待ちの人数と,待機中の死者数の数字を出すべき段階

現在,新型コロナウイルスの第二回目の緊急事態宣言中で,あと1週間で解除するかどうかの議論が国会を中心に行われている。渦中にある東京の1日あたりの感染確認者数が,ピークの2447人(2021/1/7)から1/24で986人と久しぶりに1000人を切ったと思ったのも束の間,1/28では1064人,1/29では868人だった。

 もう数字に感覚がマヒしている。これで「ピークアウトした」と思わせているのがおかしい。もっとすさまじい事態が起きているはずなのだが,統計数字が出てこない。

 今は,「今,感染しても,病院では受け付けません」と言われたらどうですか - jeyseni's diary (hatenablog.com) と1/11のブログで書いたことが現実となっているばかりか,保健所窓口で「入院」「施設入所」「自宅療養」というこれまでのトリアージュに加えて「自宅待機」という“処置判断待ち”のトリアージュが加わっており,ここの待機人数が全国で7000人を超えているという。

 東京の数字をみるのには,以下のサイトが良さそうだ。新型コロナウイルス感染症に関連した死亡者の情報 東京都福祉保健局 (tokyo.lg.jp) しかし,これでもわかりにくい。ちょっと考えてみた。

陽性者数 (累計) 98,439
入院 2,903
   
宿泊療養 693
自宅療養 5,816
入院・療養等調整中 4,395
死亡 864
退院等(療養期間を含む) 83,768

陽性者数98,439人は累計である。死亡者数 864人も累計である。退院等の83,768人も累計である。つまり新型コロナウイルスに感染した人のうち,“直った人”と“亡くなった人“の累計を引いた数字である13,807人が,現時点で入院2,903人(軽中症2,756人+重症147人),施設療養(693人),自宅療養(5816人)そして“調整中“(4395人)で,これが現在進行中の数字である。

 都内に新型コロナウイルスの患者用に確保されている病床数は4700床であり,このうち2903が入院しているので,今日時点での残り数は1797床となる。調整中の4395人を,現在の入院数,施設療養数,自宅療養数で振り分けてみる(症状の重さで配分)と,調整後の入院数が+1356人,施設が+324人,自宅療養が+2716人となる。一気に振り分けてしまうと,残り病床数が1797-1356=441床になる計算だし,施設がもう確保できていないのであればさらに-324すると残りが117床となる。毎日1000人の感染確認者が出ると,同じように分配すると,入院予定数は毎日308人,施設へは74人,自宅療養は618人と振り分けられる。

 つまり,一気に病院に振り分けてしまうと,翌日には病床がなくなってしまう,という計算になる。現在の病床数の空きである1797床をキープするには,入院予定数と退院予定数が同じでなければならないし,さらに現在,待機調整中で入院が必要になりそうな1356人を毎日200人ずつ入院させるためには,退院数をさらに毎日200人増やして500人ずつ退院させていかなければ,7日間で病床が埋まってしまうことになる。果たして現在,毎日500人も退院できているのだろうか。待機調整中の人がその分,どんどん増えていっている状況ではないのか。

 ただ待機しているだけなら,アトラクションの順番待ちと同じでじっとしているだけでいいが,問題はこの待機中は何の医療行為も補助も見守りも受けられないため,症状が悪化し,最悪,重篤化してそのまま自宅で亡くなったり,病院に搬送されてもすぐに亡くなってしまう危険性が極めて高いことである。

 1/8に神奈川で自宅療養中の60台の男性が亡くなった。1/16には京都で80台の女性が亡くなった。こういう「点」としての報道がポツンポツンとあるが,1/25の日本テレビの報道によると,その時点までに全国で25人が自宅待機,自宅療養中に亡くなっているとされている。

 これまでに報告されている死亡者数は,そのほとんどが病院での治療を受けたがその甲斐もなく亡くなったケースだろう。軽症で入院療養していても急に症状が悪化し,人工呼吸器から最悪ECMOでの治療が1カ月以上も続いた末に回復する人もいれば亡くなる方もいる。しかし,何等かの医療措置が取られた上での死亡は,ある意味で仕方がない部分がある。

 一方,自宅療養での急変,あるいはさらに待機調整中に自宅で様子を見ていて,突然悪化した場合,受け入れる医療機関もなければ,意識も失って連絡もできない状態でなくなるケースが増えているのではないかと思われる。

 相変わらず,ワイドショーでは,全国の新規感染者数が増えたの減ったのと騒いでいるが,感染確認者が治療を受けられる道が現在ほぼ閉ざされており,待機調整中に亡くなる人が増えていることをきっちり報道すべきではないのだろうか。

 必要なのは,以下の項目の毎日の数字である。

1日の感染確認数(〇),入院者数(?),施設入所数(?),自宅療養数(?),判断待ち数(?) 1日の死者数(〇) 待機中死者数(?)

 これを各県,そして全国で数字が明らかになると,最後の「待機中死者数」がどんどん増えていることに気づくのではないだろうか。

 病院に入院してから亡くなるまでの日数もぜひ統計を取ってほしい。重症で入院しても,治療を受けていれば,亡くなったとしてもおそらく10日以上の入院日数があると思う。軽症で入院して重症化した場合は,入院日数が1カ月ぐらいになるかもしれない。しかし,自宅で亡くなるケースというのはつまり「入院日数ゼロ日で死亡」ということさらに悪く言えば「入院日数マイナス〇日で死亡」ということになる。実質的な見殺しトリアージュということになるのだが,この人数を公表することが,現在の医療最前線の困窮の実態を示すと思うのである。

 収容密度を上げるのに,都内のカプセルホテルを療養施設として買い上げてはどうか。また,報道番組で提案があったが,政府機関の未使用状態の福祉施設や,全国で増え続けている廃校を,療養施設として確保できないのだろうか。

 筆者は改めて,この病に罹りたくないという気持ちでいっぱいである。朝礼や会議のための出社を指示してくる企業の経営者の常識を改めて疑ってしまう。