jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「女性蔑視」というが,もう少し分けて考えないと問題の核心が見えない

東京オリンピックの組織委員長の森喜朗氏が,「女性蔑視」発言をしたことで最終的に辞任した。ジェンダー・ギャップ指数2020で,日本の男女平等度は経済、政治、教育、健康の4つの分野のデータから計算して世界153カ国中121位と下位にいる。

https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2019/202003/202003_07.html

内閣府 男女共同参画局 ホームページ。
 特に,政治面では144位,教育面でも91位だという。今回の出来事は,この政治面での男女平等に対する意識の低さが如実に表れた形かもしれない。

 元をたどると,女性の政治参画が少ない理由として,女性に家庭を守り育てることを当たり前とする社会的意識がある。

 オリンピック組織委員会のメンバーを見ても38人の顔ぶれの中で女性は7人しかいない。人物写真|東京五輪2020・組織委員会 上半分はすべて男性である。この組織化の段階ですでに,「女性の意見も入れたということにしておかないと」という大義名分のために女性メンバーを加えた,といった意図が見え隠れする。しかも,男性陣のタイプは,マウンティング傾向のあるクマ型が大半である。クマ型人間が嫌いな件 - jeyseni's diary (hatenablog.com) (2021-02-07)。つまり組織する上で「女性差別」があったうえに,個人の意識に「女性蔑視」があった,という二重の不平等問題があると考える。

 おそらく,組織化する段階で男女不平等なく構成されていれば,闊達な意見交換があり,とてもすばらしい議論と結論が導きだせていたのではないだろうか。次の会長選任には,男女同数による選考委員会を組織するとのことなので,期待する一方,おそらく女性の会長が選任されると思われるが,ここで「政治力」「人脈」という厚い壁を切り崩せるかが問われることになる。新会長には,個人的以上に組織として交渉を進めていくことで,日本の新しい取り組みをアピールできるのではないかと期待している。そのためには,副会長以下のバックアップが必要である。「勝手におやんなさい」的な態度は今度こそ許されない。

 女性にとって,最大の敵は男性である。腕力,体力において,残念ながら男性を上回ることは平均的には無理である。しかし日本で言えば,「肝っ玉かあちゃん」とか,「上州名物かかあ天下とからっ風」「髪結い床の亭主」のように,働いている女性は家庭での主導権を取ってきた。小規模農家もそうだし,水産でいえば海女の収入で一家が支えられるような場合,家の中心は女性である。

 戦後,会社勤めのサラリーマンが社会を動かし,モノづくりで油まみれになるのは男性の役割とされ,給料袋を持って家に帰ることで主導権が男性に移った。理系,工学系は男性が中心となり,攻撃的な経営手法も男性の専売特許のようにもてはやされた。

 「三高」(高学歴・高収入・高身長)な男性を理想として結婚することが理想とされた時代では,女性は勉強することよりも自分磨きに時間をかけていたように思う。現在は,「三優」(家族に優しい,私だけに優しい,家計に優しい)がキーワードという調査があったが,これも女性自身は結婚して家庭に入ることを前提にしているように見える。

 以前,女性にもっと活躍してほしいと書いた。

女性よ,今こそ「夢」を持って独立せよ - jeyseni's diary (2020-09-22)。とにかく,仕事をすることに男女差などなく,むしろ視点が新鮮なので活躍の場はもっと広がると思っている。問題は,この女性の活躍を周囲の男性がサポートしないことである。これこそ,「女性蔑視」だと思っている。

 まず,女性が主体的に仕事に取り組み,その中で得たノウハウを生かして職場全体を前向きに動かし,そしてリーダーとして引っ張っていく,そのための勉強と努力は,女性であっても男性であっても変わりはない。努力しない男性は,いつまで経っても芽を出さない。そしてこの活躍した人を男女の別なく登用できるかどうかが,その上に立つ経営者や指導者である。女性の指導者の方が女性の能力を見抜く力もあるが,やはりそこに男女の差はない。

 これが,「男女雇用機会均等法」のあるべき姿だと思う。おうおうにして,女性が登用されると男性は妬み,逆に男性が登用されると女性はあきらめてしまう。経営者側も労働者側も,そこで意識を変えなければならない。

 ただ,男女の問題で払拭しきれないのが,外見に対する意識の差である。男性は,たとえ身なりがいい加減でも,体形がクマ型やブタ型であっても,仕事ができれば認められる傾向にある。最近では,逆にその外見をウリにしてYouTubeデビューして評判を受ける人も多い。これに対して女性は,身なり,体形,そして美形であることがまず第一条件として求められてしまうのが,今の日本の社会のジェンダーギャップを象徴する点である。これを越えて活躍する女性タレントの多くは,半分自虐的に美形を覆しているが,どこかに「可愛さ」を出そうとしている点がもどかしい。

 逆に,「美人〇〇議員」などと持ち上げておいて,揚げ足取りに走る男性議員やマスコミが醜い行動を取り続けている。

 感覚的に,男女差を意識することは必然だと思うが,それを声に出したり態度で示したり行動に出たりすることを抑えるのが「理性」である。出してしまったら「理性がない」と診断せざるを得ない。差別発言問題というより「理性がない」と診断すべき森喜朗発言 - jeyseni's diary (hatenablog.com) (2021-02-06)。それが,セクシャルハラスメントパワーハラスメントモラルハラスメントなどの嫌がらせ行動であり,いまだにこのような言葉がニュースをにぎわすことが,日本のジェンダーギャップの根深いところである。

 

 最新のソフトバンクのCMで,松本人志起用の「無制限HERO’S」第2弾「女性の夢」篇で近藤春菜さんを途中で美人と入れ替える,という演出をしているが,これがハラスメントでないと思っている同社および広告代理店,テレビ局のすべての感覚が信じられない。「本人承諾を取りました」というのだろうが,そもそものコンセプトから間違っている。別に同社だけでなく,クルマのCMでの男女比だったり,このCMの世界も日本のジェンダーギャップを象徴していると思っている。

 撤回しただけでは反省したことにはならない,辞めただけでは心が入れ替わったことにはならない,給料を返上させればかえって恨みを買う・・・人間の心理は正直言って変わらない。「これをいい機会として」と口先だけで言っているワイドショーが,男性タレントによる司会進行と,男性タレントゲスト,男性コメンテーターを中心で,一人だけ女性を交える,といった構成で進めていること自体をまず解消すべきだろう。それを見ている側も,ネタとして噂話をするだけでなく,テレビを消してブログ発信して糾弾する行動に出るべきだろう。今や,万人が情報発信できるのだから。個人情報の漏洩に気を付けて,声を挙げてほしい。