jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「あざとい」を斬る

「あざとい」という言葉が蔓延していて,気になったので調べてみることにした。

 まず,筆者にとって一番標準と考えている『広辞苑 第七版』(岩波書店, 2018)によると,「①思慮が浅い。小利口である。②押しが強くて,やり方が露骨で抜け目がない。」とある。

 さて,ネット検索してみると,これがいろいろと解釈が変わってくる。goo辞書だと,「デジタル大辞泉小学館)」がベースになっており,①やり方があくどい。ずうずうしく抜け目がない。②小利口である。思慮が浅い。あさはかだ。」となって,順番が逆になる。

 さらにWeblio 辞書ではなんと「実用日本語表現辞典」なるものがあって,1000文字を超える解説文が掲載されているので,リンクを紹介したい。

www.weblio.jp

 そして驚いたことに,あのWikipediaにこの言葉の解説がなかった。正直言って,検索すれば必ず上位でヒットするので,いつも参照せずにスルーしていたのだが,今回,トップページから検索し直しても,記述がないことが分かって驚いているのである。解説としては,2020年10月10日からテレビ朝日系列で放送されているバラエティ番組「あざとくて何が悪いの?」について。しかしその解説もただ淡々とスタッフ名が書かれているぐらいで,内容や番組名への言及はない。

 今風にいうと,どうやら「男性を翻弄するような恋愛上手な女性」のことを,この形容詞で指しているらしい。しぐさ,視線,態度,服のセンスなどが関係しているらしい。

 もともとあまりいい言葉ではないので,「ずうずうしく抜け目がない」という意味を拡大解釈したものかと思われる。ただ,筆者の感覚としては「わざとらしい」が元になって短縮化したのではないかとも考えた。わざと男性を誘惑するような態度,仕草を取る女性のことと考えると,それらしいからである。リズム感,母音の回転が似ている。ただしこれは私見である。そして「小聡明い」は当て字であり,間違った使い方だと思う。これも私見である。

 女性には2面性がある。意図的あるいは無意識的に女性としての魅力を発して異性を惹き付ける面と,もう一つは仕事人として自分の才能を発揮する面である 女性の「仕事モード」について - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/5/15。このコメントは,実はかなり以前に書き始めていたものだが,「女性モード」が行き過ぎると「あざとい」という言われ方になるのではないかと思い,まとめてアップするものである。

 正直,あざといと言われて喜んでいるのは,女性モードだけで生きて行こうとしているように見える。今の男女雇用機会均等,男女平等・同権が叫ばれている中で,あえて女性モードを持ち上げるのは,かつての美人コンテストなどと同レベルの時代錯誤な企画ではないかと思う。出版物でも,結局はグラビア写真集が販売の上位に君臨する。

 「女性蔑視」というが,もう少し分けて考えないと問題の核心が見えない - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/2/13。「ジェンダーギャップ指数2021、日本は120位 G7最下位」(2021/3/31)などの不名誉な統計の中で,男性ももちろん意識を変えなければならないが,女性も自ら「あざとい」ばかりに力を注がないような生き方を考えなければならないのではないだろうか。