新型コロナウイルスが広がり初めて1年3ヶ月が経過した。発症するまでに7~10日と長く時間がかかるということが分かり,発熱などの症状でまず保健所に相談した後に,PCR検査を行う。感染陽性が明らかになると,まず約2週間の行動分析と,その間の濃厚接触者の洗い出し,そして濃厚接触者のPCR検査へと手を広げる。1人の感染確認者から次の感染者にたどり着くのに,1人の保健所担当者がかかりっきりでおそらく2日以上はかかる。2週間分の自分の行動を記憶している人がどれほどいるのだろうか。
このような積極的疫学調査が,感染者数が再度増え続けている中でもやはり有効だと思う。担当者の皆さんにはさらに頑張っていただきたいと思う。同時に,これをサポートする仕組みも必要だと思う。一人ひとりが意識を持って,自分の行動記録を意識的あるいは無意識的に行う時代なのだと思う。
無意識的な行動記録は,google mapのタイムラインの利用である。おそらく,googleのアカウントを持ち,gmailを利用していて,スマホのGPS機能をONにしていれば,google mapの上に自分の移動軌跡が記録されている。パソコンでgoogle mapを開いても,スマホを持ち歩いての移動記録を見ることができる。これが一番手間がかからず,ある意味で正確な方法だと思われる。GPSをONにしておくことをとりあえずオススメしたい。
意識的な行動記録は,「ライフログ」と呼ばれるアプリを使うことで実現できる。何か行動が変わる時点,たとえば家を出るときとか,電車に乗るときとか,食事を始めるときとか,にこのアプリを起動し,行動記録を入力する方法である。悪くはないのだが,日記が1日の終わりにまとめればいいのに対して,行動ごとにスマホを起動する必要がある。きっと慣れれば使えるのだろうが,3日坊主の筆者はこれまでも何度か挑戦して,翌日には使うのを忘れてしまい,挫折してきた。
職場では,ほぼ一日中,「ファイルメーカーPro」を使っているので,その一つのファイルとして「Diary」を開けるようにし,会議やメールなどのイベントごとに開いて,だいたい1時間単位で行動記録を入力する工夫をしてきた。オフィスワークでの一日の仕事の記録にはまずまず使えたが,外出や移動など,不特定多数との接触の記録にはなかなかならなかった。
そこで,考えたのがメールでの記録である。それもどこでも使えるWebメールを使う方法を考えた。使うのはgmailとこれに自動発信機能を付けるgoogle apps scriptを組み合わせる方法である。ファイルメーカーのスクリプトは得意なのだが,その他のプログラム系のスクリプトは使いこなせないので,以下のサイトのプログラムをそのまま使わせていただいた。[GAS]Gmailで、定期的(1時間ごと)にメールを送信する方法 - Qiita 。
朝8時〜夜20時まで1時間ごとに1本メールを発信する。自分に向かって送信されるように設定し,これに今の状態を書いて返信する。このメールの特徴,たとえば発信者やタイトルのワードなどを認識して,着信時にポップアップするように設定すると,スマホで着信音を出したり,パソコン画面に着信ポップアップが定期的に出て,その時点の行動を記録するためのトリガーになる。仕事に集中していてもおそらく着信に気づいて,簡単に行動を返信して記録することができると思う。また,返信メールの特徴を捉えて同じフォルダに移動させるように設定すれば,一連の内容を把握できる。
google apps scriptを書いたりするのは,筆者を含む一般の人には難しい。こんな機能の「自分宛ての行動日記メールアプリ」みたいなものを作ってみてはどうだろうか。cocoaのように採用されるかもしれない。