jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ワクチン接種とプライバシーを考える。日本人には「証明書の常時携帯」は無理。

新型コロナウイルスが猛威を奮い始めた2020年初頭,ワクチンはもちろんまだなく,PCR検査で感染罹患が確認されると,その濃厚接触者を洗い出してさらにPCR検査をする,という場当たり的な方法が取られていた。マイクロ飛沫による空気感染がWHOから発表され,新型コロナウイルスの空気感染の可能性について-PCRスクリーニングをより綿密に - jeyseni's diary 2020/7/8,筆者はこの中で「国民全体のPCR検査を1ヶ月ほどで実現」して,陽性者を隔離することを提案した。この方法はその後,中国では北京周辺で実施され,北京での感染を抑えることに成功している。片っ端から検査をして,陽性者をあぶり出して隔離すれば,感染拡大は防止できる。ワクチンがない段階で,当たり前の方法として提案しているが,日本ではいまだにまったく実現していない。

 1日あたりの日本でのPCR検査数は5万件程度。これによる陽性確認数が1日4000件程度である。全検査件数でも500万件程度で,全国民に延ばしても4%程度しかない。2020/11/21のブログでは,「都民全員PCR検査」と久住医師。せめて第二波で提言できなかったか - jeyseni's diary (hatenablog.com) を紹介した。今ごろ言われてもなぁ,という感想とともにコメントしたものだが,つくづく日本は「何もしてこなかった」と言えるのではないだろうか。

 その後,2021年に入って世界でワクチン接種が加速した。ワクチン接種によるアナフィラキシー血栓症の事例もかなりの数が報告されるようになった。世界の趨勢としては,ワクチン接種が基本的な対策となり,2回接種後2週間を経過すれば,屋内でのマスク着用義務以外は普通の生活に戻されつつある。一方これと並行して,ワクチン接種を拒否する場合は,3日に1回(72時間持続)のPCR検査済み証明によって,同様な行動を取れるようになりつつある。つまり,たとえば国民の2/3はワクチン接種,残りの1/3は定期的なPCR検査のいずれかの証明を持ち歩くことで,自由な活動ができるようになっている。そのワクチンの費用もPCR検査の費用も無料である。

 一方,日本では「何が何でもオリンピックを開催する」ことを前提に,ワクチン接種の加速に躍起になっているのだが,2021/7/23の段階での筆者の予測は,65歳以上の高齢者の1回接種率は30%程度,64歳以下は5%以下にしかならないと思っている。ということで,開催したとしても観客動員は無理と考える。

 仮に,ワクチン接種率が低くても,各国で実施されている72時間ごとのPCR検査証明があれば,自由な移動が可能になるのだが,とにかくこのPCR検査体制が一向に増えない。各国では,薬局やスーパーマーケットでもPCR検査が無料で受けられ,陰性証明が簡単に取れるのだが,まったくその体制に追いつかない。

 正直言って,仮にワクチン接種が100%完了したとしても,必ずどこかにウイルスは潜んでいる。しかも変異ウイルスとして,ワクチン接種した人にも感染し発症させるだろう。ワクチン接種とPCR検査(ないし抗原検査)は両方同時に必要である。

 2020年7月にPCR検査の陰性証明を持って移動しようと提案したが,陽性と判明した人をどうするかについては,グレーゾーンだった。発熱や味覚障害といった自覚症状がある人でも,「自分が感染している」ということを公言することは勇気のいることだからである。それをひた隠しにすることで,周囲に感染を拡大させてしまうのだが,「自分が発生源」と確定されることは自分の人生に汚点を残しかねないからだ。

 一方,ワクチン接種をしたことについても,なぜか公言されることが少ないように思える。そもそも,高齢者でも1回目の予約が7月,2回目が9月などという例はざらにある。高齢者だからといって,若者よりも早くワクチン接種が完了しているわけではないからである。筆者にしても,6/3に1回目の接種を完了,6/26に2回目の接種の予約を確定しているが,おそらく筆者より高齢の方で筆者より遅く接種する予定になっている人はかなりの数にのぼると思う。いや,いまだに1回目の予約すら取れずにあきらめている人も多いのではないかと思う。おそらく,6月末の段階で筆者が2回目も完了したことに違和感を覚える方もかなりいるのではないかと思うのである。したがって筆者も,この読者数の少ないブログおよびごく周囲の人にしか,自分がワクチン接種を進めつつあることは公言しないようにしようと思っている。

 他国のように,ワクチン接種が完了していなくてもPCR陰性証明ができるのなら,あえてワクチン接種を急がなくてもいいと思う。日本はどちらも遅いし,そもそもPCR陰性証明による行動規制解除について何の指針も出していないから問題なのである。

 あとは,地域ぐるみで入場者の抗原検査をしてホワイトゾーンを作る努力をするかである アルコール提供の“ルール破り”するなら自腹で抗原検査入店を - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/5/31。遊びたければ,飲みたければ,4000円ないし店側と折半で2000円を払って,ゾーン内に入ればいい。ゾーンの中は自由である。入場料だと思えばいい。

 ワクチン接種情報やPCR陰性情報を,海外では印刷した証明書や,スマホでのQRコードの提示などで実現している。証明方法を持っていれば,自由な行動ができるのである。日本だとどうだろうか。

 筆者はこれまでPayPayとの連動,マイナンバーカードとの連動,スマホアプリ,SUICA/PASMOとの連動などを提案してきたが,おそらくどれも失敗に終わるように思う。というのも,「証明書を持って移動する」習慣が日本にはないからである。海外では身分証明書,グリーンカード(永住証明書),そして外国人はパスポートを所持して移動することが当たり前だが,日本ではおそらく何も持たずに行動している人が大半だろう。

 仮に,ワクチン接種を証明することで行動の自由が与えられる,という形になったとしても,証明書を持ち歩かず,提示を求められれば居直ってまた権利の主張を始めるような醜い場面が起こることになるだろう。これを取り締まる法律も作られず,だれが取り締まるか,取り締まる権限が与えられるか,などを考えると,「日本人には無理」と思える。しかし,おそらくこれが「2021年以降の“新しい日常”」としなければ,日本はますます世界の標準から脱落してしまうだろう。せめて,日本人共通のスマホアプリとその自動チェックシステムがあることが望ましい。