jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

農業ITもワクチン保冷のミス撲滅に協力できたのでは

2021年3月から日本でも始まった新型コロナウイルス対応ワクチン接種だが,3ヶ月経過した現在でも,冷凍庫の不具合や電源を間違えてオフにしたなどによって,ワクチン保管温度が上がり,接種前に廃棄するケースが後を立たない。保冷ができないとワクチンは使い物にならない点で「生モノ」なので,より厳重な監視体制が求められるのだが,全く対策が取られていないように思われる。再度,原因を指摘してみたい。

 ①冷凍庫本体の欠陥による故障--さすがに物理的に保温材が入っていないということはないので,電源が落ちることにより温度をキープできない故障である。

 ②冷凍庫を設置している場所の電源が落ちるケース--落雷などによる地域停電はやっかいだが,施設で過負荷などによって起きる個別停電も可能性がある。あと,予測できないミスなのだが,退出時にブレーカーを落とすことによるミスも報告されている。

 さて,②の施設停電や地域停電に対しては,バックアップ電源が望まれるが,医療に関係する施設でも入院設備のあるような病院以外で非常電源装置を設置しているケースはほとんどないと思われる。一般の診療所やクリニックはもちろん,介護施設でも設置しているかどうかはあやしい。酸素吸入や人工呼吸,患者モニターなど24時間365日稼働しなければならない機器を抱える病院以外は,投資できていないと思われる。まあ,何も考えずにブレーカーを落として帰るというミスは,どうしようもないのだろうか。

 ①②のいずれのケースでも,普通なら動作不良に備えた警報の仕組みを構築するはずである 新型コロナウイルス対応ワクチンで相次ぐ冷蔵庫,冷凍庫トラブル。警報ブザーがない? 監視しない? ただの怠慢? - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/5/13。①の機械そのものの警報ブザーや警報情報の発信機能なども,専門メーカーとして装着は当たり前と思うのだが,どうもそうではなかったらしい。仮に電源プラグがコンセントから抜けたとしても,警報ブザーを鳴らしたり,ランプを点滅させたりするバックアップ電池は装備していてしかるべきだろうが,それもなかったのだろうか。停電になっても,このバックアップ電池によって警報発令すれば,短時間に対策は取れたはずである。

 2021/6/14に「埼玉県北本市は、ワクチンを保管する冷凍庫4台の温度を監視して、異常があった場合には担当者に自動で伝わるシステムを導入」というニュースがあった(現在は某新聞社の記事のため削除されている)。たしか,冷凍庫の温度表示をパソコンのWebカメラでモニターし,表示されている温度の数字を認識して,基準値以上になったときに担当者にメールで送信するような仕組みだったと思う。ノートパソコンを使っていれば,停電時にも動作しているので,停電で温度が基準値を超えたケースでも警告発信ができると思われる。

 もっと簡単に,たとえばネット検索で「冷凍庫温度計 ワイヤレス 温度モニターセンサー」などで検索してみると,2000円ぐらいの冷凍庫温度計が販売されていることが分かる。定期的に更新される温度情報をスマホでモニターすることぐらい簡単ではないかと思うのである。

 もっと本格的な仕組みなら,いまはやりの「IT農業」のセンサーによる監視技術を転用してもいいだろう。広い農地に設置した複数のセンサーの情報を電話回線や無線回線で収集し一元管理する。アラートもお手の物であろう。センサーも通信も記録もすでに仕組みはできているのだから,ワクチン接種用の簡易版を提供すればよかったのではないかと思うのである。

 今日2021/6/21から本格的な職域接種が始まる。職域接種で使われるワクチンは,モデルナ製のため,超低温管理が不要で,希釈も不要なことから,これまでのような冷凍の不備によるワクチン廃棄事例や,希釈ミスは起こりにくいことが期待される。ただ,産業医の人たちはこれだけ大量のワクチン接種の経験がほとんどないと思われるので,別の意味での管理ミスを起こさないことを願っている。

 個別接種や集団接種でファイザー製ワクチンを取り扱う機会は,まだしばらく続くことが予想される。すくなくとも数千円の冷凍庫温度計とモニターの購入はあってもいいのではないだろうか。24時間,人による定時点検ができる施設はそれでもいいが。