jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

テレワークと分身ロボットOriHime--そしてその先へ

筆者は,同じ職場で常勤と業務委託という2つの形で同じ仕事をしてきた経験がある。つまり,社員だったころと個人事業主という立場に置かれたときがある。業務委託のときは週3日オフィスに出社,残りは土日も含めて自宅で作業をしていた。同じ仕事をするのに,テレワーク,リモートワークの環境を作ってきた。

 当時,社内会議への参加は出社しか方法がなかった。電話での参加,skypeでのテレビ会議を使う参加も考えたが,全く実現しなかった。2020年初の新型コロナウイルス蔓延といった危機感がなかったからだ。

 当時から気になっていたのが,分身ロボットOriHimeの利用である。不登校や身体障害など「その場」に参加できない状況下の人が参加できるのが当初のコンセプトと聞いている。授業への参加から,遠方の親戚の結婚式への参加などにも使われている。

 テレワークでもOriHimeは活躍すると思っている。テレビ会議は,一般にリモートからカメラのコントロールができないので,話者の方を向いたり手元の資料に目を落としたり,といった「動作」ができない。逆に,会議の席で自分がどのように映っているのか,なかなか知りづらい。巨大なスクリーンに大きく映されているかもしれない。自分の顔の大きさも気になる。リモート環境のプライバシーをどう保護するかも工夫が必要である(よく使われるようになったZoomには背景を差し替える機能,Microsoft Teamsには背景をぼかす機能がある)。

 OriHimeの場合,体高は23cmと決まっている。分身である自分は,この大きさで見られていることがわかる。プライベートな背景も相手には見えない。話者に向けて頭を動かすことで,見て参加していることを相手にアピールできる。手で相手に合図することができる。声で遮るのではなく,動作でアピールできる。無機質に見える顔も,最初だけで,次第にその人の人格に見えてくるというから驚きである。確かに,いわゆるアンドロイドロボットがその場にいたら,相当な違和感がずっと続くことだろう。月間のレンタル料は4万円(税別)とのこと。これをどう評価するかである。

 さて,オンデマンド,つまり実際の会議や授業,結婚式,などが進行している間は,OriHimeは大活躍できることは間違いないと思う。課題は,オフデマンド,つまり会議などのイベント以外の時間にどう利用できるかである。

 結論から言うと,オフデマンド時にも回線をつなぎっぱなしにすることで,オフィスワークに使えると考える。

 オフィスの机上にOriHimeを設置し,回線をつなぎっぱなしにする。すると,周囲の音声がリモート環境で聴取できる。オフィスのノイズが聞こえることで,臨場感が伝わってくる。通常のオフィスは,全く無音ではない。電話の音,ほかの人の業務の声,プリンターの音などがあって普通である。テレワークにはこうした音があった方がいい場合もある。OriHimeに呼びかけてもらえば,電話やメールしなくても直接呼びかけができる。会社からすれば,家で実際に机に向かって仕事をしているかどうかの確認にもなる(もちろん,そこまで厳格にするかどうかは,会社の性格にもよるが)。

 同じようなことは,最近話題のペット見守りカメラでもある程度は実現できる。双方向の音声通話,カメラの回転などの機能はあるからだ。ただ,頭や手での表現はできない。また会社側も,社内を「監視」されている形になり,コンプライアンスの問題がある。デフォルトの方向がセットできる(つまり普段は机の方向を向いて社内を見ないようにする),あるいは一定時間で映像はシャットダウンする,などの機能があれば,使えるように思う。

 新型コロナウイルスを機会に,テレワーク環境がより自然なものになるような新しい提案が出てくることを期待したい。