jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

Zoom会議による情報漏えいを「個室」「ヘッドホン」「チャット」で防ぐ--心配な人たちへの提案

 Zoom会議などのオンラインツールを使う上で,情報漏えいを避けることを保証する方法はあるのかどうか,考えてみたい。

 新型コロナウイルスが蔓延し始めた2020年1月以降,テレワークに入った筆者は基本的にはメールと電話で情報のやり取りをしている。リアルタイムではないが,文章を推敲して送受信しているため,情報の正確さは高い。しかし,対面でのコミュニケーションと違って,文章の取り違えが起きることもあり,いわゆる炎上になりかねない部分もある。そこは電話で直接話して,相手の声色も感じ取りながら妥協の道を探る。対面でなくても,この方法でコンセンサスの危機を防ぐことはできると思っている。

 一方で,一般の人にも普及したのがZoomによるオンライン会議である。会話はリアルタイムだし,相手の表情もある程度分かる。対面コミュニケーションに近いやり取りができるので,通常の業務用の会議にもぜひ使いたいと思っているのだが,一部に抵抗感のある人もいる。

 たとえば,複数の人で会議をする場合,リアルな会議では自分を含めて座席の位置が決まり,発言する人の方向に顔を向けて聞き,自分の手元を見てメモを取る,という行動があり,また司会者を全員が見ることで,会議をきちんと進行させていることが全員に伝わる。

 ところがZoom会議では,常に全員の視線が自分に向けられる。自分が発言者の場合,リアル会議では発言者を全員が直接見ることは少なく,数人は凝視し,数人は耳だけで聞き,数人はメモ取りに勤しむ。ところがZoom会議では,ほぼ全員が発言者を見ることになる。また自分が発言していなくても,ほかの人の正面の視線が常に自分に向けられているように見える。「ちょっとやりにくいな」と感じることが多いと,筆者は考えている。逆に1対1の場合は,テレビ電話のようで,相手の表情もわかり,コミュニケーションツールとしてはひょっとしたら電話以上かもしれないと思うときもある。

 ビジネス用途でZoom会議をあまり使いたくないという人の考えの1つに,情報セキュリティの問題がある。たとえば会社の経営に関わるような秘密の内容を打ち合わせようとするときは,電話を使うこともなく,密室で会議が行われるだろう。またメールにしても,ほかの人から見えるような喫茶店や電車内,公共の場所などで読まれては困ることもある。Zoom会議の場合,画像や音声で秘密情報が周囲に漏れる可能性がないとは言えない。これがZoom会議で重要な内容を話し合わないという理由の1つである。

 社内でリアルの会議をする場合も,会議室という密室が選ばれるだろう。部屋の外には情報が漏れないようにするためである。ところがテレワークで一方が在宅だとすると,その在宅での環境を会社はコントロールする必要がある。その場に会議の様子を見たり聞いたりする他人がいないことや,会議情報の録画・録音をしないこと,などが保証されない限り,会社としてはZoom会議で重要な意思決定をするわけにはいかない,と考えてもおかしくない。実際,他社を含めた打ち合わせに筆者も同席するつもりだったが,Zoomでの参加を提案したところ排除された。他社側にこのコンプライアンスを非常に気にした担当者がいたことが原因のようだった。

 情報漏えいを防ぐために,以下の方法を検討した。まず,他人が入れない個室を確保することである。正直,テレワークをするにあたって,リビングなどの共用スペースでは落ち着いて仕事ができないと思う。もし重要な会議をオンライン参加でするのなら,貸しオフィスなど会社が指定したスペースで密室として実施すべきだろう。また,会議中に室内に誰もいないことを確認するタイミングを作ることも必要になってくる。

 当初,テレワーク用個室を会社が支給してはどうかと考えたのだが,価格が20万円~40万円とそれなりに高額なため,これを準備できる会社は筆者周辺では無理だなと思った。また,これを強制させられるのはもっと嫌だなと思ったので,個室の用意とその状況の審査をすることで,家庭テレワークを認める方法を提案するものである。

 家でテレワーク中に会議する場合も,必要に応じて部屋の状況を会社側が確認することを進めてもいいと思う。多少はプライバシーの侵害の恐れもあるが,コンプライアンスのためには社員もそれに応じる必要はあるだろう。

 会議全体の流れを外部に漏らさないために,スピーカーの使用を禁じて,イヤホンやヘッドホンを使わせることも,1つの方法である。当人の発言は外部に漏れるかもしれないが,これは電話での会話でも同じである。ただ,会議の全体の音声が漏れるのを防ぐことができる。

 あとは,テレワーク現場からの発言を音声ではなく,チャット機能で発信させることも取り入れていいかもしれない。ヘッドホン使用と合わせると,仮に個室内に録音機や盗聴器があったとしても,外部への情報流出は防ぐことができる(もっとも,テレワーク中の人物が意図的に外部に情報を漏らす場合は,これを防ぐことはできないが,リアルの会議においてもこれは起こり得ることである)。

 Zoom会議に消極的な人は,だいたいはこの「情報漏えいの危険性」を盾に実施を拒否してくる。また,「リアルな打ち合わせに勝るものはない」として,ガンとして受け入れないことが多い。もちろんそれは事実だが,空間的,時間的な移動をなくし,お互いに交通費の心配をしなくても済むオンライン会議をもっと活用すべきではないかと考えるのである。

 一時期話題になったサテライトオフィスでは,この情報漏えいは防げるが,これをさらに分散化した自宅テレワークでも,ある程度の認証をもって実現できるような柔軟な発想がほしい。若いIT企業の中には,リゾートオフィスを用意し,働く環境に加えて福利厚生環境の充実を図りつつ,オフィス賃料を削減するなどで人気となっている会社がある。うらやましい限りである。