使い捨てマスクが相変わらず手に入らない状態が,まだ続いている。しかし,人々の関心は,「使い捨てマスク」から「布製自作マスク」に移りつつあるようで,ここに来て「使い捨てマスク」での検索が一気に減ってきているようだ。
不織布製の使い捨てマスクが手に入らなくなり,国民が困っているのに,国会議員はほぼ全員が不織布製使い捨てマスクを着用して国会論争をしている。何となくどのマスクも同じに見える。つまり,国会の議場に入るときに配布されているのではないかと勘ぐってしまう。国会(つまり議員さん向けには)それほど潤沢に使い捨てマスクが確保されているということなのではないか。国民を愚弄しているとしか思えない。
逆に,安倍首相,西村康稔経済再生担当大臣,また小池東京都知事をはじめとする都道府県知事は,布製マスクを着用している。使い捨てマスクが国民に行き渡らない現状での使用による批判をかわそうという意識が見え見えである。
不織布製の使い捨てマスクが手に入らなくなって,次に登場したのがウレタン製のマスクである。使い捨てではなく,10回程度の洗濯が可能という。色は白ではなく,ピンクやグレー,黒などが中心だった。これが若者を中心に,一種のファッションとして広がった。
その昔,マスクは粉塵防止のために使われていて,その時は色が黒かったという。その当時,医療用マスクは白だったそうだ。しかし,筆者は生まれてから60数年,布製であれガーゼ製であれ不織布製であれ,白いマスクしか使用したことがないので,黒やピンクのマスクには抵抗がある。特にピンク(肌色)のマスクは,顔の色との差がないため,「口がない」ように見えて不気味な感じがしていた。
その後,布製の自作マスクが次々と提案されてきた。最初は白系が多かったが,いろいろな模様のある布の布製マスクが登場してきた。中でも西村大臣の着用しているデニム製の布マスクは,マチの工夫で鼻も顎も覆うことができ,「格好いい」と評判になっている。オレンジや黄色の花の模様があったり,濃い紺色の文字が入っていたりと,個性のある布製マスクが使われるようになった。筆者も少し抵抗がなくなってきた。
というのも,現在の筆者のマスク着用の目的が,「感染拡散防止」のためになっているからだ。
もともと,普通に市販されているマスクには「感染罹患(りかん)防止」効果はない。要するに,マスクを着用していても,ウイルスの感染を受けるのを防ぐことはできない。感染者の飛沫を直接吸い込まないだけの効果しかない。
一方,自分が感染者だと,自分の咳やくしゃみ,話をするときのツバの飛沫によって感染拡散する危険がある。それを防ぐためのマスク使用について,考えてみた。
そうすると,「感染拡散防止」のためのマスクは,「基本的に何でもいい」ということがわかった。
つまり,布製であろうと,不織布製の使い捨てマスクであろうが,小さくて評判の悪いアベノマスクであろうと,基本的に「口を覆っていれば,感染拡散防止には効果がある」ということである。
咳をするときも,くしゃみをするときも,話をするときも,結局は口からウイルスが吹き出す。これを防ぐのがマスクである。つまり,鼻はオープンでも基本的には構わない。つまり,アベノマスクのように小さくても構わない。布製自作マスクのようにゆるゆるでも構わない。
アベノマスクは,小さいと不評だが,これは鼻にまで掛けているから不便なので,鼻を外して口を中心に覆えば,感染拡散防止には十分役に立つ。逆に,布製マスクは空気の通りが悪いので,鼻にかかると呼吸がしづらい。鼻から外して使えばいいのである。
すると,実は子ども用の小さいマスクが余っているとすると,ゴムを少し伸ばして,口用のマスクとして大人も再利用できる。
日本での新型コロナウイルス感染が始まって約半年。正直,「自分が感染していてもおかしくない」という段階になっている。感染していても症状が出るのに1週間から10日かかる。自分が感染したという自覚も記憶もない場合,症状のない間も家族や他の人に対して感染を拡散させている可能性が高まっている。外出すれば,すれ違いも含めてかならずほかの人との接触はある。エレベーターのボタンやスーパーマーケットのレジカゴなど,接触感染の危険もある。それを家まで持ち込んでも平気だろうか。
外出していれば,感染している可能性がある今,家でもマスクをして,2週間症状が出ないことを確認すべき段階に来ている。その場合,感染を拡散させないためには,口だけを覆うマスクがあればいい。世間では,顔の半分以上を覆うような大きな布製マスクや,鼻から顎まで覆う不織布製の使い捨てマスクが一般に使われているが,アベノマスクでも十分だと言える。
とにかく,「あなたも既に感染しているかもしれないから,感染拡大しないために,どんな形のマスクでもいいから,とにかく着用してください」ということを言いたい。単なる外出自粛といっても,週に1回も外出していれば,どこかで感染している可能性があるのだ。