jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

食糧,健康,環境----女性主導の時代だ!

ここのところ,女性の自立のことをずっと語っている。かつて,女性が社会の中心だった太古の時代,子供を産むことは神様の為せる業であり,これを担う女性が世の中の中心だった。その後,長い間,土地の取り合いの戦争の中で,領土を奪ってきた者が中心となり,それが男社会を作り出した。

 20世紀は工業の発展の時代。素材を掘り出し,加工して価値を加え,売りまくることで富が生まれた。これも基本的には力仕事であり,金を動かす仕事であり,男の領分だった。

 21世紀になって,価値を生む対象が「情報」になった。個人からの情報発信が可能となり,それがとんでもない価値を生み出せることが実際に起こっている。マスメディアの財産源だった広告すら,個人が利益を得られる仕組みができている。いわゆるプラットフォームが新しい形でどんどん生まれることによって,格差社会がネットワーク上でも生まれている。

 正直,これほど保証のない世界で,個人情報を撒き散らしながら,情報発信している人に対して,筆者は勇気ある人達だなと,感心することしきりである。ひょっとしたら辿られるかもしれないが,筆者はこのブログも匿名で発信している。また文字だけの情報発信であり,特定される情報を出すことに非常に抵抗がある。

 小学生にアンケートを取ると,将来なりたい仕事の第1位がYouTuberなんだそうだ。好きな情報発信をしてお金が儲かって有名になれるから,という理由なんだろうが,投資やギャンブルの世界と同様,勝てる人はほんの一握り。筆者も含めて,99%以上の人が失敗したり,埋もれたりする。確実な(堅い)仕事がなくなりつつある中,目につくのはこういう派手な世界なのかもしれない。漫才ブーム,アニメブームなども,同じような傾向だが,日本人らしい感性が世界から評価されているアニメ以外は,すべて日本ローカルな影響力しかない。毎年人口が減っている日本のマーケットに固執する理由はあまりない。

 さて,日本では戦後のモノづくり産業が破綻し,21世紀の観光立国宣言もおそらく破綻するだろう。情報産業も,ほぼすべてのプラットフォームを海外の企業が押さえている。農業,バイオテクノロジーなどの部門においても,特許の多くは海外企業が押さえている。基礎研究の予算を大幅に削り,応用研究と称して企業とのコラボばかりを奨励し,研究に対する国からの大学への予算がほとんどカットされてしまった日本に,何が残っているのか,悲しい思いである。最後に残っていた「材料」分野も,最近は一向になんの発明も出てこない。ノーベル賞を取ったリチウムイオン電池を凌駕する研究は出て来ないのだろうか。

 さて,話を女性の仕事に戻して考えた場合,女性の特質は,他人に対する思いやりの精神である。これまでの男社会では,この女性のパワーを男性が搾取してきたと感じる。手間のかかる,地味な作業は女性に任せ,おいしいところ,目立つところだけを男性が持っていく,というスタイルである。これではいつまでたっても女性主導のビジネスができない。

 今,地球が求めているのは,「食糧」「健康」「環境」である,と定義する。これまでの男性中心の社会構造では,貧富の格差が必ず生まれ,そのしわ寄せを受ける人達が出てきて,そして地球全体が侵されていく,という構図から逃れることができない。

 優秀な女性研究者が,結婚を機に大学を辞めるケースが多いことを紹介した。結婚も大事,子作り,子育ても大事だが,それ以上に自分の研究という夢も大切にして育てられる環境が,今の日本には必要なのではないか。バイオ関連で某女性研究者の画期的な発表に心からエールを送った筆者だが,データの捏造や指導教員との仲などが明るみに出て,世の中から抹殺されてしまった。当時は「リケジョ(理系女子)」という言葉も生まれ,大いに期待したものだが,その後は話題にもならない。

 「食糧」「健康」「環境」というテーマを挙げたが,それはすでに女性がそれなりに活躍されている栄養学や薬学,衛生学のことではない。これらをないがしろにしているわけではないが,もっと根本的なところを追究していってもらいたいのである。

 たとえば「食糧」では,画期的なアグリ工場の企画運営である。現在の農業工場は,人手をかけずに外の天候などに左右されない環境を作って,量産することが目的である。とても無機質なイメージであり,生産者の顔が見えてこない不安がある。もしこれを女性が企画運営したなら,全く違うイメージの生産ができるように思う。楽しく働ける場であり,美味しさのほかに衛生面の強調,後工程とのコラボなどで一つの街までできそうな気がする。JAの管理化から逸脱し,自分勝手に販路を開拓し,男気だけで勝負を挑んでいる現在の男性中心の農業とは別の姿が浮かぶ。地域だけでなく,世界を視野にした物流業への取り組みも,今の流通業とは全く違う姿があるだろう。

 「健康」は地域災害とセットで,地域ネットワークを作り上げていくところがスタートになるだろう。そこには,さまざまな電子的な仕組みも必要になる。現在の男性社会のようなトップダウンでは生まれない,きめ細かなサービスを提供できるプラットフォームができるに違いない。

 「環境」は,最も研究のしがいのある分野である。単にレジ袋をやめましょうとか,ゴミを細かく分別しましょうとか,そういうレベルの話ではなく,化学,バイオテクノロジー,AIコンピュータを駆使したソリューションの開発に取り組む姿勢がほしい。

 かつて筆者は,現役のころは化学に興味があった。高校の担任教諭が化学専門だったことも影響し,また当時,自宅のあった関西・瀬戸内地方での大規模な石油コンビナートからの石油流出事故などに憤慨し,「地球の環境はオレが守る」と意気込んで勉強したものである。結果として大学の現役合格はできず,1年間の浪人中によりジェネラルなモノづくりの道を選び,さらに卒業してもっとジェネラルな情報業に身を置くことになったが,あのときの気概は今思い返してもなかなか純粋でカッコよかったなと思う。身の回りに研究テーマを求め,それを解決していく,という気持ちは,女性の方が強いように思う。とことん追究してほしいのだが,ネックとなっているのが,結婚というイベントなのだろう。

 テレビドラマを見ていても,刑事,外科医,弁護士,シェフなど,女性が主役の番組はいくつかある。男性社会の中で活躍している姿はカッコよく,スッキリする部分もあるの。しかし,想定が「男社会に反発する女性○○」から抜け出ない。必ず恋愛劇が組み込まれ,結婚に関するフレーズが出てくる。すべての作家,プロデューサー,広告主が男性社会で恩恵を受けているからだろう。マイナーな世界を取り上げることで,注目度を集めようとしている魂胆が見え見えである。実社会でも,患者のことを考えない医者,あるいは患者に対して犯罪行為を行う医者,不正に立ち向かうはずが自ら不正を行う弁護士や裁判官,市民を守るどころかストーカー行為や痴漢行為をする警察官など,男社会はもう限界に来ているのを感じる。

 女性に期待するのは,理性的な企画を理性的に遂行して,信頼の輪を広げて活動してほしいということである。痛みを知っている女性に,今立ち上がってほしいのである。ヘラヘラ笑いながらタレント番組を見ている場合ではないと思っている。