jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

O脚は直せる

人生をずっと突っ走ってきて60年余。子供のころから走るのが遅く,運動も苦手だった。道を歩けば,足首をくじくことが多かった。

 たぶん,子供のころからO脚だった。O脚だと,膝が外側にずれ,膝より下が内側に傾き,したがって足首が外に曲がりやすくなる。足首をくじくことが多かった理由だ。その証拠として,靴の片減りが酷かった。どんな靴でも,靴の外側が先に減った。片減りになればなるほど,足のO脚は進行した。気をつけて歩いても,そのうち靴の片減りが進み,O脚が直ることはなかった。

 学生時代に初めてスキーをした。緩い斜面での直滑降が気持ちよく,スキーの魅力に取り憑かれた。少しでもうまくなりたいと,スキーの講習会に毎年参加して教えてもらい,毎年のようにスキー検定に挑戦したが,ついに2級すら取ることはできなかった。大回りはなんとかできても,急斜面で押さえが効かず,毎回転んでしまったからだ。

 以前書いたかもしれないが,左脚の感覚が今一つ良くなかった。右利きだから左脚は不得意なので仕方がないと思っていた。それを克服しようと躍起になって練習したが,どうしてもダメだった。そのうち,30才でギックリ腰を起こして,スキーやテニスから遠ざかってしまった。

 60才を過ぎて,運動量が減った。歩く距離も短くなり,1日5000歩も歩かなくなってしまった。テレワークで家にいることも多くなった。脚の筋肉が弱くなったのを感じる。

 ところが,筋力が弱くなり,筋肉が少し細くなったな,と思っていたのだが,逆に筋肉がつる症状が少なくなった。これまでは,少し変な格好をすると,ふくらはぎがつることが多かったのだ。

 外側の主力の筋肉の筋力が落ちた分,インナーマッスルと呼ばれる内側の筋肉とのバランスが改善され,ストレッチをしても外側の筋肉がつらない状態で内側の筋肉もストレッチできるようになった。インナーマッスルの存在を意識できるようになった。すると,普通に歩くときでも,インナーマッスルを使ったり,インナーマッスルをストレッチしながら歩けるようになった。

 内外の筋肉のバランスが取れるようになると,関節も柔軟になってきた。これまで凝り固まっていた関節が伸ばせたり今まで以上に回転できるようになってきた。

 気がついたら,O脚で全く着かななかった膝の内側がくっつくようになった。脚の内側の筋肉を使うことで,膝を内側に寄せる力ができ,O脚が改善されてきた。

 今は,両脚をスクリューのようにねじって力を入れてストレッチする体操を繰り返している。右ねじり,左ねじりを試してみると,これまでは左ねじリはほとんど力が入らなかったが,今はどちらも同じようにねじれるようになった。考えてみるとこれまで,脚を組むときは左脚を右脚の上に重ねて組むしかなかったが,今はその逆に脚を重ねても違和感が少なくなった。身体が歪んでいたのだと認識した。その歪が解消されてきつつあるのだと思う。

 インナーマッスルとアウターマッスルが双方認識できるようになると,今度はこれを同時に鍛えることができるようになる。これまでは右脚にしか意識と感覚がなかったのだが,左脚にも意識と感覚ができると,左右の脚の運び方のバランスを取ろうという意識になる。これまでよりも,左脚を早めに動かすことで,左右の歩みの差が減らせることがわかった。

 スキーのときと同様,普通の道でもこれまでは左脚で踏ん張ることができなかった。雨や雪で滑りやすい道や,面が少し傾いた道では,左脚に体重を乗せたとたんに滑って支えられなくなることがあったが,今は滑りにくいようにバランスが取れるようになっている。

 筋肉を緩め,関節を柔らかくし,そしてまた筋肉を鍛えられるようになるのには,それなりの年数がかかる。筆者の場合,凝り固まった状態が40年続き,これを開放するのに15年かかった形になる。途中,関節が痛んだり,筋肉がつったり,腱が痛んだりすることもある。無理に力を加えると傷めてしまうこともあるので,徐々に進める必要がある。

 身体をほぐすマッサージやストレッチのお店があるが,正式に身体の仕組みを学んで施術する店ばかりではない。無理なストレッチで筋肉や筋,骨まで傷めてしまうこともある。いったん気持ちいい状態になっても,揺り戻しで元に戻ってしまうことも多く,結局は何回も通い続けることになる。結構な出費になる。

 自分でストレッチをすると,時間はかかる。痛みも伴うため,もう一息のところでためらってしまうこともある。5年,10年は覚悟になるが,たぶん身体は応えてくれると信じて,入浴後や布団の中でゆっくり身体をほぐしてみるといいと思う。

 筆者は医者でもなく,整体の知識もない。筋肉体操がブームだが,まずその前にきちんとインナーマッスルとアウターマッスルのバランス,関節の柔らかさなどを確保しておかないと,ますます筋肉の内外バランスが崩れて,身体が曲がってしまうのではないかと思う。世の中の体操指導者の方々は,おそらくこのインナーマッスルの眠った状態や関節の固い状態をほとんど経験したことがないのではないかと考える。筋肉を付ける前にまず身体の柔軟性を高めることが重要だと筆者は考える。自分の身体と会話しながらのストレッチには,脳の危険回避信号をうまく鎮めながら進めることも必要である。そのためには,通常のストレッチだけでなく,その逆方向のストレッチ,さらにねじりの要素を加えながら,脳の警戒心を解きながら進めることも試してみるといいと言われている。自分の身体との会話,これは重要だと思う。脳の機能がさらに衰える前に,なんとか自分の理想の身体に持ち込みたいものだと思っているところである。