jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「顔が見えない」新型コロナウイルス禍の対人論

筆者は,その昔,大人バイクライダーだった。大人ライダーというのは,10代で免許を取ったわけではなく,就職してからわざわざバイク免許を取って,乗り始めた,という意味である。26歳で中型自動二輪免許を取得。250ccの中古バイクを買って,最長で長野の美ヶ原高原美術館までの単独ツーリングを楽しんでいた。

 就職で東京に来て一人暮らしを始め,都内の移動は電車で十分だったし,買い物も徒歩圏内で間に合うため,自転車を使うほどではなかった。といって,旅行をするのにレンタカーはちょっと贅沢に思えた。

 当初,普通免許で乗れる原付バイクを2年ほど使ってみた。都内周辺への移動には便利だったが,何よりヘルメットが面倒だった。そして,原付だとスピードが出ないので,万一の時の危険回避に問題があることが分かった。

 それは,国道で走行中,前に駐車しているクルマを回り込んで走ろうとしたときに,後ろからクルマが走ってきたときだった。走行速度は30km/h。アクセルを開いても加速に限界があり,クルマの前に出ることができない,と判断してブレーキを掛けたところ,まっすぐには進まず,スライディングのような形で滑って転倒した。あと数mで停車中のクルマに突っ込むというところで,運よく停まった。

 転び方がうまかったのだろう。ちょうどバイクの車体とハンドルの間の空間に身体が入って,ハンドルの先が地面をこする形で滑ったので,服の損傷が膝,肘,肩,そしてヘルメットの一部が擦れただけで,肘の擦り傷だけで済んだ。

 この自損事故がきっかけで,バイクをやめるか,上のクラスに乗るか,という選択肢において,中型バイクの免許を取る,ということを目指したのである。

 バイクで風を切って走るのは楽しい。加速感も気持ちがいい。あまりやってはいけないが,渋滞のときに前にすり抜けて行けるのもいい。ただし,天候に左右される。雨が降られると最悪である。夏も冬も快適ではない。また高速道路でヘルメットに風を受けて長時間走ると,首が痛くなってくる。結局,31歳で別の事情で腰を痛めたので,5年間のバイク人生は終わった。まあいい思い出である。

 さて,バイクに乗っているときにいちばん困るのが,ヘルメットである。暑い,曇る,などの不具合は最近は解消されてきたが,ヘルメットを被ったままお店に入ることができない。入ってもいいが,不審者として疑われる。中型バイクに乗るようになって購入したフルフェースのヘルメットは,なおさらである。

 これと同じようなことが,現在の新型コロナウイルス禍の環境において起きている。マスクは仕方がないとして,これにサングラスと帽子が加わる形である。

 花粉症対策として,以前からマスクと花粉防止メガネの着用している姿には慣れていた。サングラスをしている人もいるが,それほど気にはしなかった。

 ところが,現在の新型コロナウイルス禍では,なぜか「黒ずくめ」が多いように見える。以前から指摘している黒マスクだけでも個人的にはいまだに違和感があるのだが,これにサングラスと黒のニット帽子,そして黒の羽毛ジャケット,黒のスリムパンツ,黒スニーカー,と,わざわざ黒でコーディネートしたような人が目立つように感じる。

 やはり,黒は特別な色ではないか。人物の所属はともかく,正直言えば,世間一般から隠れた行動,つまり犯罪をイメージさせる。サングラス単品でも筆者にとっては圧力である。

 現在の顔認証システムは,サングラスだけやマスクだけの着用状態でもかなりの認識率が高いという。しかし逆に,人の目にとって,サングラスにマスク姿では正しく認識されないように思う。

 男性は,ただでさえ相手にとっては圧がある。黒という色をまとい,さらにすれ違いざまに距離を開けないなどの行動を取られると,正直言って筆者は恐怖すら覚える。まして,相手が女性だった場合はいかがかと推察している。

 筆者は,白マスクしか着けない。サングラスもしない。外出時に被るキャップは,黒である。基本的にまだ髪が黒い(実際は白髪を黒に染めている)ので,それほど違和感はないと思っているが,それでも鏡に映った姿はそれなりに異様かもしれない。

 コートは基本的にベージュかグレーである。黒や紺のコートもあるが,着用するとしても昼間用である。夜に黒系を着るのは,クルマからの視認性が極めて悪く危険なので,なるべく着ないようにしている。

 早く,マスクなしで暮らせる日が戻ってくることを切に望む。あとは,個人認証がきちんとできるような仕組みがほしい。戦争中,衣類には名札を縫い付けていたという。アメリカなど,海外の兵士は,認証番号や血液型などを彫ったペンダントを常時着用していたという。緊急事態宣言は「非常事態宣言」でもある。河野ワクチン担当大臣は,ワクチン接種とマイナンバーを結びつけるという。これも,銀行口座との紐づけと同様,個人情報の結びつけである,本来の使い方と違うような気がする。

 仮に,ワクチン接種会場で,個人をどう認証するのだろうか。マイナンバーカードを所持している場合は,ある程度電子的な処理ができるが,ただのマイナンバーの場合はどうなるのだろうか。会場でマイナンバーの申告を受け,その番号を端末に手で入力し,さらに顔つきの免許証などと照合して,初めて認識できる。この作業だけでも大変な手間がかかる。入力間違いも発生する。せめてバーコードで入力作業ができればいいが,それならマイナンバーではなく,選挙管理システム方式で十分である。市町村が,従来のシステムを活用して,電子的な管理を進めれば,ワクチン接種はスムーズにいく。

 人による顔認証など,実にいい加減である。ヒゲやメガネ,化粧,さらに整形手術まで進めば,ほとんど認証はできない。免許証の写真も自分に似ているとは思えないが,マイナンバーカードの写真やパスポートの写真など,最近電子的に印刷された顔写真は,色も悪く,コントラストも悪く,全体に暗い。空港や国境でのパスポートチェックでも,写真の照合で似ている人を通してしまうことはありえる。

 量子コンピュータなどでより頑丈になった暁には,個人情報を管理しつつ,個人の管理をもう少し厳しくしてもいいのではないだろうか。犯罪の防止だけでなく,教育,生活保護,医療管理など,もっと平等な社会が実現するのではないかと考える。管理されていることによって,犯罪の抑止につながらないか,独裁者の理論ではなく,人道的な理論で,システムが実現することを望んでいる。