jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

テレビ局のカメラワークがヘタになった

筆者のビデオカメラ歴は,1987年からなので,もう34年になる。当初から素人としての手振れに悩み続けている。子供の発表会や運動会,卒業式など連続して数十分も撮影する場合,三脚を使用してきた。最初はこれまで使ってきたカメラ用の三脚を使っていたが,その後ビデオカメラ用の雲台があることを知った。筆者にとっては目の飛び出るほど高額な三脚だったが,その効果は抜群で,位置を静止した映像でも,ズームで画面いっぱいに顔を写した映像でも,ブレはほぼなくなった。さらにパンと呼ばれる左右への動きもスムーズで,動き始めはゆっくり,途中の動かす速さも一定で,止めるときも行き過ぎたりしない。その後も何台もビデオカメラ用三脚を使い続けている。

 三脚の欠点は,持ち歩きが面倒なことと,場所を取るので他の人に気兼ねして使わなければならないこと,そしてカメラの前に人が急に立つなどの“緊急事態”に即座に対応できないことである。手持ちならサッと避けられるのだが,三脚にカメラが付いていると三脚ごと動かさなければならず,画面のブレがさらに激しくなる。

 その後,家庭用ビデオに手振れ防止機能が搭載された。また色再現をより良くするために各色のセンサーを搭載した3CCDタイプも登場した。この流れに平行して,記録メディアもカセットテープからハードディスク,SDカードと変わっていき,これまでの機械式から電子式へとどんどん移行していった。手振れ防止機能も,当初はレンズの光軸を機械的に動かしていたが,その後,センサー上で電気的に撮影領域をずらしてブレに追従する方式が主流となった。

 さらに,大きさも肩乗せ型から手のひらサイズ,そして「GoPro」に代表される超小型のアクションカメラの登場で,既存のビデオカメラの市場も大きく変わったのではないかと思う。同時に,デジタルカメラもその画素数の多さを生かして4K8Kのムービーも撮れるようになった。動画処理に手振れ処理が標準的に加わり,手持ちでもほとんどブレを感じない動画が撮影できる。

 また「iPhone」などのスマートフォンも,カメラ性能や動画撮影性能がどんどん向上した。コンパクトデジタルカメラコンデジ)が売れ行き不振になるほどである。特にiPhoneの作画性能は驚くべきほどだと思う。iPhone内での画像処理が人の目で見た印象に近く,夜間撮影でも実に自然である(筆者はAndroidスマホユーザーなので,残念ながらまだその恩恵に預かっていない)。3軸ジンバルと呼ばれる手振れ補正機能付きグリップを利用すれば,手振れも防げる。またgoogleフォトのアプリの機能で手振れ補正を撮影後にかけることもできる。いい時代になったものである。

 さて,素人向けのカメラは各段の進化を遂げたが,テレビカメラも進化しているはずで,4K8Kのテレビ用カメラもどんどん小型化し,テレビ中継の機動力も上がっているのだが,どうもこれを使う側のカメラマンの腕が悪くなっているような気がしてならない。

 特に,以前のNHKのカメラマンのカメラワークは恐ろしいほど上手くて,手持ちでもズームアップしても,ほとんど手振れ感を感じなかったものである。民放のカメラマンとの差はこんなところにあると思ったものだ。

 ところがここ数年は,民放もNHKも,映像の手振れが甚だしい。おそらく,プロのカメラマンではなく,ディレクターやアシスタントが小型ビデオカメラを持って取材に行っているのだろう。カメラワークについての訓練を受けていないのではないかと思わせる。ビデオカメラが小型軽量になったために,以前は肩の上に載せて安定させていた撮り方が,手だけで支える撮り方になったために,手振れがひどくなったのではないかと想像する。

 小型になったのだから,プロといえどもせめてカメラショルダーパッドなど身体の軸でカメラ本体を支えるようなカメラワークをした方がいいのではないだろうか。一脚でもいいのではないか。それとも,他局のカメラマンが手持ちだから,自分だけそんな器具を使うのは恥ずかしいのだろうか。

 テレビの映像は,プロのカメラマンが撮影していると思って視聴者は番組を楽しんでいる。その視聴者に,ベストな映像を伝えるのが,テレビ局の使命ではないのか。隣の局のカメラマンとそんなことで張り合っている暇があったら,カメラワークをもっと磨いた方がいいと考えている。それとも,自分はプロではないという意識なのだろうか。