jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「業者」という呼び方に差別感

「「業者」という言葉には、本来、侮蔑の意味はありませんが、企業によっては、発注側が上、受注側が下という差別的なニュアンスを含んでいる場合もあります。」googleで「業者」を検索すると,こういうページも出てくる。

 「業者」には「専門的な事業を営んでいる人」という意味合いがある。筆者の場合,出版業なので最終的には本を作って売るわけだが,外部の編集プロダクション,翻訳家,デザイナー,印刷会社(その中も「印刷」「製本」などの専門的な事業がある)などに業務をお願いすることになる。出版社は企画を立てて書籍の内容を集めるところまでが仕事で,そのあと,形にするのはさまざまな業者さんのおかげである。

 ところが,同じ業務を委託するのに,複数の会社と関係がある場合,見積もりを取って,最終的には安い方に発注する,というのが一般的だ。同じクオリティなら安いに越したことはない。ここで「業者たたき」「業者いじめ」が起きる。なかなか対等な仕事仲間という意識になりにくい状況が起きている。

 筆者も長年この業界にいるが,ほとんどが仕事のパートナーという意識でやってきた。近年,ネット印刷など,Web画面で見積もりを依頼するようになってからは,「パートナー」から「業者」へと心情的な格下げが起こりつつある。それでもこの専門家がいなければ本が出版できないので,筆者はみんな仕事上の仲間と思うようにしており,「業者」という言い方は基本的にしていない。

 しかし,新型コロナウイルス対応ワクチンで管理上のミスで廃棄が出てしまったケースで,「配送業者が・・・」「分配作業で業者がミス」などのニュースで「業者」という言い方が使われている場合,「市町村や病院は責任はない。責任は“業者”にある」と言わんばかりに,ニュースタイトルが踊る。

 これはマスコミのエゴである。あきらかに,自治体や病院よりも配送業者,作業請負業者,冷凍庫などの機材納品業者,会場を提供した施設業者,などを見下げて「ミスの原因は業者にあり」的なステレオタイプな記事になっている。

 たしかに,最近の運送業者は,置き配の連絡もなく,置き方もぞんざいで,筆者も「コミュニケーション力がないのではないか」と書いたこともある。しかし,これもごく一部の例である。どの企業も「完全清貧」でいくことはできないだろう。

 筆者は基本的に「業者」という言い方が嫌いなので,使わない。運送担当,印刷担当と呼び,運送会社,印刷会社と呼んでいる。したがって,ニュースタイトルに「業者」が何度も登場するのが,マスコミの編集者の見識を問いたいところである。無神経だなと思うのである。